2022年10月13日公開
【実態調査】心理的安全性が高い職場を作るために経営者が知っておきたいこと
LB MEDIAのコンセプトは『幸せ×組織』です。ある日、えるビーちゃんは『企業の1on1と職場の心理的安全性に関する調査』から、報酬や賞与、周囲からの謝意や称賛などが、みんなが働く上での幸せに影響することがわかったけど、経営者はどう思っているのかなと思いました。
そこで今回も、株式会社ロジック・ブレインが実施した『経営者への企業の1on1と職場の心理的安全性に関する調査』について、企業への入社時から「ヒト」に関するあらゆる業務を数多く経験してきた堀田達哉氏に、根掘り葉掘り聞いてきました!
ー登場人物ー
堀田 達哉氏(ほった たつや)
株式会社エムアイディジャパン 執行役員人事部長
ディスカバリーCSパートナーズ株式会社 代表取締役社長
1975年新潟県上越市生まれ47歳。国立長岡工業専門学校時代に現エムアイディジャパン代表取締役三井慶満に出会い、創業期に参画。店舗責任者、FC(フランチャイズ)スーパーバイザーを経て、組織フェーズの変化に伴い、改革推進室、人財開発部を立ち上げ、採用・教育研修・人事・評価など一通り従事。現在執行役員人事部長を務める。2022年人事コンサルタントとしてディスカバリーCSパートナーズ代表取締役に就任。
えるビー
LB MEDIAのインタビュー記事に出没。得意技はインタビューの時に、なんで?どうして?とどんどん突っ込むこと。趣味は名言集め。今年の目標はLINEスタンプになること。
目次
心理的安全性とは?
心理的安全性とは「対人関係においてリスクある行動を取った時の、結果に対する個人の認知の仕方」のことで、「ネガティブに受け取られる可能性のある行動を取っても、このチームなら非難されることはない」と思えるなら、そのチームは心理的安全性が高いといえるそうです。
仕事に対してどのようなことに幸せ(やりがい・楽しさ)を感じるのか?
えるビー| 経営者に対して『従業員は仕事に対して、どのようなことに幸せ(やりがい・楽しさ)を感じていると思いますか?(上位3つまで)』、企業にお勤めの方(以下会社員)に対して『仕事に対して、どのようなことに幸せ(やりがい・楽しさ)を強く感じますか?(上位3つまで)』と質問をした結果は、下記の通りでした。
えるビー|経営者側は、従業員は『報酬や賞与(40.18%)』『顧客など社外からの謝意・称賛(39.1%)』『上司や同僚など社内からの謝意・称賛(35.39%)』を得られた時に、幸せ(やりがい・楽しさ)を感じていると回答した人が多いという結果です。その一方で、会社員側は『報酬や賞与(50.25%)』『顧客など社外からの謝意・称賛(28.19%)』『上司や同僚など社内からの謝意・称賛(24.63%)』を得られた時に、幸せ(やりがい・楽しさ)を感じると回答した人が多いことが分かりました。
えるビー|経営者側は『自分に対する人事評価(30.05%)』『役職(社会的地位)(13.29%)』『組織貢献や社会貢献(10.75%)』を仕事に対して幸せ(やりがい・楽しさ)を与える要因としてあげている人が多いにもかかわらず、会社員にとっては『自分に対する人事評価(22.75%)『役職(社会的地位)(6.03%)』『組織貢献や社会貢献(4.15%)』という結果で、経営者が思っているほどの影響を与えていないことが分かりました。
それよりも『良好な職場環境(人間関係)(24.33%)』『仕事を終えた時の達成感(22.06%)』の方が影響を与えると考えている人が多かったという結果です。
このように、経営者と会社員の間では、仕事に対して幸せや楽しさ、やりがいを感じる理由に関して、認識の違いがあるようです。この結果を受けて、どのように思いますか?
堀田 達哉氏|上位項目では、両者の価値観が同じように見えます。しかし下位項目では、仕事に対する幸せや楽しさは、立場によって「業務結果指向」と「業務プロセス指向」の違いがあると感じました。
えるビー|なるほど!たしかにそうですね。ほかに何か気になる点はありますか?
堀田 達哉氏|「良好な職場環境」と「仕事を終えた時の達成感」の項目ですね。結果を出すためには、個の能力もありますが、良好な人間関係や職場環境、仕事の質も重要です。だからこそ、良好な人間関係や職場環境により「仕事の質が高まる」→「結果につながる」と考えているのではないかと思いました。
心理的安全性が高い職場とは?
えるビー|経営者に対して『どのような職場・労働環境であれば、従業員が安心して(心理的安全性を持って)意見が言えると思いますか?(上位3つまで)』、会社員に対して『どのような職場・労働環境であれば安心(心理的安全)して意見が言えますか?(上位3つまで)』と質問をした結果は、下記の通りでした。
えるビー|経営者側は、従業員は『本音を言える(27.08%)』『どのようなアイデアでも言える(26.3%)』『チームの中に助け合いがある(25.61%)』という場合に、従業員が安心して(心理的安全性を持って)意見が言えると回答した人が多かったです。一方で、会社員側は『本音を言える(30.76%)』『チームの中に助け合いがある(30.17%)』『人格や発言が否定されない(27.99%)』という場合に、安心して(心理的安全性を持って)意見が言えると回答した人が多いことが分かりました。
えるビー|経営者側は『どのようなアイデアでも言える(26.3%)』『困難なことにもチャレンジできる(23.36%)』『指摘やネガティブなことも言い合える(22.09%)』を、従業員が安心して(心理的安全性を持って)意見が言える条件だと回答した人が多い傾向にあります。一方、会社員においては『どのようなアイデアでも言える(18.06%)』『困難なことにもチャレンジできる(12.36%)』『指摘やネガティブなことも言い合える(13.75%)』という結果です。これらの項目は、経営者が思っているほど、心理的安全性の影響を受けていないことが分かりました。
それよりも『いざという時は上司が部下を守ってくれる(18.69%)』『たわいもない雑談ができる(16.2%)』の方が、心理的安全性に影響を与えると考えている人が多かったという結果です。
このように、経営者と会社員との間では、心理的安全を感じる環境に対して、若干認識の違いがあるようです。この結果については、どのように思いますか?
堀田 達哉氏|職場環境に対して、経営者と会社員という立場の違いによって求めている内容に違いがある、環境に対する認識の差があると感じました。「上司が部下を守ってくれている」「たわいもない雑談ができる」など、チームの一員として組織環境やチーム状態が大事だという反面、経営者は仕事や業務の結果につながる有益な「経営参画」を求めていると感じました。
えるビー| 経営者は、従業員の求めているものや環境に対する認識を正確に把握することが重要ですね。
よい状態で仕事をするには心理的安全性が大事!
えるビー| 経営者に対して『従業員が良い状態で仕事に取り組むためには、職場の心理的安全性を高めることが重要だと思いますか?)』、会社員に対して『良い状態で仕事に取り組むためには心理的安全性が重要だと思いますか?』と質問をした結果は、下記の通りでした。
えるビー|このように経営者の92.8%、会社員の89%が、良い状態で仕事に取り組むには心理的安全性が重要だと回答しています。このことからも、経営者、従業員ともに心理的安全性が重要だと考えているようです。
このアンケート調査をみて、どのように思われましたか?
堀田 達哉氏|「とても思う」と答えている方のパーセンテージの開きに、なるほどと感じました。心理的安全性という言葉の認識差もあると思いますが、心理的安全性が担保された職場は、より良い人間関係を構築し、チーム全体の総合力が高まることで、仕事の結果につながるという表れなのだと思います。
えるビー| たしかに、このアンケート結果からも、心理的安全性の重要性が分かりますね!
心理的安全性が低いことで生じる問題
えるビー| 次に、『心理的安全性が低い職場・環境だと、どのようなことが引き起こされてしまうと思いますか?』と質問した結果は、下記の通りでした。
組織として機能せず、問題が発生
30代男性製造業| 企業の成長が鈍化する。
30代男性製造業| 失敗をごまかす、あるいは隠す。またチャレンジ精神が生まれない。
40代男性製造業|労災などが起きやすい。整理整頓がなされない。
40代男性サービス業| 弱い立場にある従業員へのいじめが起きたり、コミニュケーションの取りづらい職場環境になってしまうと思います。
50代男性製造業| 陰で非難中傷を繰り返すことになる。
50代男性製造業|コンプライアンスが欠如し、不祥事が多発する危険性が生まれる。
60代男性製造業|隠蔽やモラルダウンに伴う不祥事が起こる。
えるビー|心理的安全性が低いと、トラブルが多発してしまうようですね。それだけでなく、メンタルヘルスに悪影響を与えると答えた方も多いようです。
社員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす
20代女性サービス業|パワハラが起き、うつになってしまう人がいるかもしれないと思う。
30代女性サービス業|仕事へのモチベーションが下がり、仕事に対する気力や労力が低下する。
40代男性製造業| 従業員の仕事へのモチベーションの低下、ストレスが増える。
40代女性サービス業| 体調不良。精神状態が安定せず、仕事に集中できない。
40代男性サービス業| うつ病、メンタルの不安定。
40代男性サービス業| 出社拒否、うつ病の発症。
60代男性製造業| 互いに信頼関係が築かれず、言い合いやケンカが絶えない職場で心身ともに疲弊する環境になってしまう。
えるビー|心理的安全性が低いと、大変なことになってしまいそうですね…。これらの回答を読んで、どのように思われますか?
堀田 達哉氏|「心理的安全性」の大切さを皆様が認識されていると感じました。経営者にとって、誰もが望んでいない職場環境や仕事の結果になってしまう前に、どのようにアクションすれば「誰もが幸せな組織環境を作る」ことにつながるのかと考えることは、とても大切なことだと思います。
えるビー|たしかに…誰もが望んでいない職場環境や仕事の結果になってしまわないように、先手を打つのが経営者の大事な仕事ですね。
まとめ
えるビー|立場に関係なく「従業員が良い状態で仕事に取り組むためには、職場の心理的安全性を高めることが重要」だと考えていることがよく分かりました。ただし、ちょっとしたところで経営者と会社員では、求めていることや認識が違う傾向があるようです。
経営者が従業員のことを深く知り、「誰もが幸せな組織環境を作る」ためのアクションを常に起こしていくことが、最終的にはチーム全体の総合力が高め、仕事の成果につながっていきそうですね!
今回のインタビュイーの堀田氏が参加するロジック・ブレインAWARDを2022年11月12日(土)に開催します。
堀田氏は、現場の責任者を務めながら全社の新卒採用や教育プログラム、評価制度構築も手掛けるほど、社内の「ヒト」に関する業務を数多く経験しています。その知見に基づき、時代にあった理想の人事を実現するために、今、現場でどんなことが求められているのかについてお話していただきます。詳しくはこちらよりお申し込みください!