2020年10月29日公開
OKRとは?KPIとの違いや導入するメリット・デメリットについて解説
「OKRについて詳しく知りたい」
「OKRのメリット・デメリットについて知りたい」
このように考えているマネージャークラスの方へ向けて、OKRの意味や導入の手順、KGI・KPIとの違いについて下記のポイントを中心にご紹介します。
・KGIが「100%の目標達成」を目指すのに対してOKRは「70%程度でOK」
・OKRは市場の変化に合わせやすい反面、PDCAを回し続けるコストが発生する
OKRを導入すれば、組織力の強化や従業員の成長・モチベーションアップといった効果が期待できます。
またOKRは多くの有名企業で採用されている、有名なマネジメント方法。市場環境の変化にもあわせやすいため、柔軟な運用が可能です。
「OKRを導入しようか迷っていた」と考えている方は、この記事を参考に、OKR導入を前向きに考えてみてはいかがでしょうか?
目次
OKRとは「目標管理の方法」
OKR(Objectives and Key Results)は目標管理方法の一つです。
組織の目標(Objectives)を決定し、それを達成するために必要な成果指標(Key Results)は何かを考え、実行するのがOKRの概要です。
たとえば、チームの目標(O)が「前月の売り上げを〇%以上上回る」場合、各個人に与えられる目標(OKR)下記のような目標などが考えられるでしょう。
「既存取引先に新商品を〇個紹介する」
OKRを実行するポイントは「業務の可視化」と「コミュニケーションの活性化」です。共通の目標を達成するために各社員が担当している業務を可視化し、どのようにすれば目標を達成できるかお互いにレビューします。
このように進めることで、目標達成率が上がるだけでなくコミュニケーションの活性化も期待できます。
OKRを導入している有名企業
「OKR導入を考えているけれど、本当に効果的なマネジメント方法なのか疑問だ」と考えている方もいるでしょう。そこでここでは、実際にOKRを導入している国内外の有名企業をご紹介します。
新しいマネジメント方法を導入する場合、実績豊富で安心感のあるメソッドを導入したいですよね。実はOKRは、多くの有名企業でその効果が実証されているマネジメント方法なのです。
OKRを導入している有名企業
・株式会社メルカリ
・Chatwork株式会社
・GameWith
・アクティブ・コネクター株式会社
・一般社団法人atWillWork
・Sansan株式会社
世界的大企業のGoogleをはじめ、日本国内の大手企業もOKRを導入していることが分かりました。このことから、OKRは多くの大手企業で導入された実績のある、信頼性の高いマネジメント方法であることが伺えます。
OKRとKPI・KGIの違い
「OKRは、同じ目標管理方法であるKGIやKPIと何が違うのか分からない」と悩んでいる人もいるでしょう。そこで下記では、KGI・KPIとOKRの違いについてご紹介します。
KGI・KPIは「設定した目標を必ず達成させる」ことを重視するのに対し、OKRは「目標達成へのプロセスを通じて、社員や組織の成長を促す」ことを重視しています。
またKPIは一度設定した目標はプロジェクト終了まで基本的に変更しませんが、OKRは定期的にレビューを行い、必要に応じて柔軟に目標や成果指標を変更できるという点も異なります。さらにOKRは「必ずしも目標は定量的でなくても良い」という点も注意しましょう。
KGIやKPIについてより詳しく理解したい方は、こちらの記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。
OKRの導入メリット
ここではOKRに興味がでてきた人へ向けて、自社にOKRを導入するメリットについてご紹介します。OKRを導入するメリットは3つです。
OKR導入の3つのメリット
・PDCAサイクルを回しやすい
・コミュニケーションが生まれやすい
・組織力が向上する
ここではそれぞれのメリットについて解説します。
PDCAサイクルを回しやすい
OKRは他の目標管理方法と比較して、PDCAサイクルを回しやすいというメリットがあります。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)の頭文字をとった言葉で、品質管理などでよく利用される手法です。
KPIやKGIでは基本的に一度決めた目標を途中で変更することはありませんが、OKRは定期的にレビューを行い、評価指標を修正します。言い換えるとOKRはPDCAサイクルを回しやすく、市場環境の変化にあわせた柔軟な運用が可能です。
PDCAサイクルを回すことによって、目標や行動を改善しやすい点がOKRの導入メリットとして挙げられます。
コミュニケーションが生まれやすい
OKRを導入すると、組織内でのコミュニケーションが生まれやすくなります。
共通の目標に向かってチーム全体で行動するOKRは、目標を達成する過程でメンバー同士の協力やアドバイスが生まれやすく、組織力の向上につながります。「部署内での連携が思うようにできていない」と考えているマネージャーの方は、OKRを導入してメンバー同士の交流を促してみてはいかがでしょうか。
組織力が向上する
OKRを会社全体で導入すれば、組織力の向上にもつながります。
会社で共通の目標を設定すれば、目標達成に向けて部署間での連携や協力といった流れが加速します。それによって業務効率や生産性の向上が期待できるでしょう。ただしポイントは「目標や評価指標を定量的に明確に明示する」ことです。
目標(O)や評価指標(KR)は定量的に設定し、「具体的に何をするべきか明確に示す」ことがOKR導入の秘訣です。
OKR導入のデメリット
「OKR導入のデメリットについても知っておきたい」という方へ向けて、下記ではOKR導入時に注意すべきポイントについてご紹介します。OKRを導入するデメリットは、下記の3つが挙げられます。
OKR導入の4つのデメリット
・目標設定や導入に時間がかかる
・社員と会社のミスマッチが顕在化するリスクがある
・頻繁に改善を行う必要がある
・目標設定が間違っている場合、モチベーションの低下を招いてしまう
それぞれのデメリットについて、下記で詳しく解説します。
目標の設定・導入に時間がかかる
OKRを導入するときに一番コストが発生する工程は、目標(O)と評価指標(KR)の設定です。
達成すべき目標があやふやだったり、間違っていたりするといったリスクを回避するためにも、目標や評価指標の設定には十分時間をかけて決める必要があります。
精度の高いOKRを導入するには、最初の導入に時間がかかることを覚えておきましょう。
社員と会社の目標がミスマッチすることもある
KGIやKPIが目標管理という側面が強いのに対して、OKRは「会社のビジョンや価値観」を社員全員に共有させるという側面が強いです。
よってOKRでは、あえて100%達成するのが難しい目標を設定することで、社員を成長させたりビジョンの共有を図ったりする狙いがあります。ただしこの場合、会社の目指す方向性と個人の価値観が合わないと、社員のモチベーション低下リスクや退職リスクが高くなります。
OKR導入によって、組織力の向上や価値観の共有が期待できます。一方で価値観のミスマッチがある社員は退職してしまうリスクがある点に注意しましょう。
頻繁に改善を行う必要がある
KGI・KPIは基本的に、一度決めた目標や指標を変更しないのに対して、OKRでは常にPDCAを回すコストが発生します。
定期的なレビューを実行することで評価指標をアップデートし、周りの変化に合わせやすいのがOKRの特徴でした。しかし、定期的に改善を行うことを強いられるOKRは、運用コストが高くなりがちです。
定期的なレビューを実施するには時間を取られます。また評価指標をアップデートした後は社員が慣れておらず、業務が一時的に非効率になることも考えられます。
定期的なレビューを実施して環境の変化にあわせやすいのがOKRの強みですが、過度なレビューはかえって非効率を招くことも覚えておきましょう。
目標設定が間違っている場合、モチベーションの低下を招いてしまう
OKRの目標や評価指標が間違っていることで、従業員のモチベーションの低下してしまうことも。そのためには、適切な目標設定が欠かせません。不適切な目標設定の特徴は下記の通り。
不適切な目標の特徴
・曖昧な行動指標の設定
・実現不可能な目標の設定
・現場の実情を無視したトップダウンの目標設定
これらの特徴に当てはまる目標を設定すると「具体的に何をするべきか」を決めにくく、従業員のモチベーション低下を招きます。
OKRを導入する時は「70%程度なら達成できる」程度の評価指標を設定しましょう。
OKRの導入手順
「さっそくOKRを導入してみたい」と考えているマネージャーの方へ向けて、下記ではOKRの導入手順についてご紹介します。
OKRは、「目標(O)の設定」と「評価指標(KR)の設定」の順番で導入します。ただし最初に組織全体のOKRを設定し、次に部署ごと、個人ごとにOKRを分解していきましょう。
OKRの導入手順
①組織(会社)全体の目標(O)を設定
②組織(会社)全体の行動指標(KR)を設定
③改善サイクルを決め、実行する
目標と評価指標の設定方法について、下記で詳しく解説します。
目標(O)を設定する
OKRの目標(O)を設定する時は、下記のポイントに注意しましょう。
目標(O)を設定時の4つのポイント
・定性的な目標でもよい
・ただしゴールを具体的に明示する
・チャレンジングな目標で良い(70%前後の達成率で問題ない)
・目標(O)は1つに絞るのが望ましい
KGI・KPIと異なり、OKRでは「社会貢献を目指す」といった定性的な目標でも問題ありません。ただし、あまりに抽象的な目標は評価指標を設定しにくいので、「具体的にどのような状態になるとゴールなのか」を明確にしましょう。
また目標(O)はできるだけ1つに絞る、多くても3~5個以内に収めることをおすすめします。
評価指標(KR)を設定する
OKRの評価指標(KR)を設定する時は、下記のポイントに注意しましょう。
評価指標(KR)を設定時の3つのポイント
・社員の意見を参考にする
・目標(O)と評価指標(KR)に関連性があるか注意する
・計測可能な指標を設定する
実現不可能な指標を設定してしまわないために、必ず社員へのヒアリングを実施しましょう。また、設定した評価指標が、目標達成と関連性があるかにも注意が必要です。
例えば「売り上げ日本一を目指す」が目標の場合、評価指標が「仕入れ原価の低減」だと関連性が薄いでしょう。
より具体的にするために、評価指標では「新規開拓〇件以上」など、具体的に数字で管理できるものが望ましいです。
改善サイクルを決める
OKRの設定が終わったら、最後に改善サイクルを決めましょう。
速いと数週間に一度のペースでレビューを行うこともありますが、速すぎる改善サイクルは業務の負担になり、かえって業務が非効率になるリスクもあります。
改善サイクルは1カ月~四半期に一度のペースで実施するのがおすすめです。ただし、改善サイクルのペースは会社や業務内容によって最適解が異なります。自社業務を考慮し、負担にならないペースでのPDCAサイクル実施が求められます。
まとめ
今回は下記のポイントを中心に、OKRについて解説しました。
・OKRは有名企業でも導入されている
・OKR導入で、社員のモチベーションアップや業務効率の改善といった効果が期待できる
KGIやKPIが「目標を定量的に、100%達成を目指す」のに対して、OKRは「目標は定性的でも問題なく、達成率よりも社員の成長やコミュニケーションの促進を期待したい」という場合におすすめです。
つまり、「評価指標は定量的にする」「目標(ゴール)を具体的に設定する」といった注意点こそありますが、OKRは企業のマネジメント方法として最適だと言えるでしょう。
組織力の強化を考えているマネージャーの方は、この機会に自社でOKRの導入を考えてみませんか?