2020年10月29日公開
クラウドとは何か?知っておきたい基本と仕事に活かす5つのメリット
私たちにとっても、なじみのある「ツイッター」はクラウドを利用したサービスだって知っていますか?
「クラウドぐらい知ってるよ」
という人でも「ツイッター」がクラウドを利用したサービスだとしっかり理解して利用している人は少ないと思います。
そもそもクラウドとは「雲」という意味で形がないものを表す言葉です。そのため、言葉は知っていても、どのようなものか?認識しにくいと思います。そこでこの記事では、下記の項目を中心にクラウドについて解説します。
・日常生活で使っているクラウドサービスの具体例
・クラウドのメリット
・クラウドの問題点
・クラウド技術の未来
・企業がクラウドサービスを導入するメリット
クラウドサービスについて、具体例を上げながら解説していきます。ぜひ参考にしてみて下さい。
クラウドサービスとは何?
クラウドの正式名称は「クラウドコンピューティング」です。
そして、クラウドサービスはクラウドを利用したサービスのことです。具体的には、先程あげた「ツイッター」などのサービスのことをいいます。
クラウドとは何なのかを知るために、まずはその成り立ちや特徴・仕組みを見ていきましょう。
クラウドコンピューティングの歴史
1995年インターネットの商用利用が始まりました。その当時からASP(アプリケーションサービス・プロバイダ)による類似したサービスがありました。
そこから、2006年に当時のGoogleの最高経営責任者(CEO)エリック・シュミットによってクラウドコンピューティングが提唱されます。そして、それが今の形のクラウドの原型になっています。
クラウドの仕組み
クラウドの正体はネットワークにつながったデータセンターのことです。
その場所が見えないところにあるため、クラウド(雲)と呼ばれています。そのデータセンターにサービス(アプリ)があり、ユーザーのPC・スマホなどのデバイスでインターネットに接続してサービス・アプリを利用する仕組みです。
例えば「ツイッター」を使いたい時にはPC・スマホでインターネットに接続して「ツイッター」にアクセスすればタイムラインをみたり投稿したりできます。PC・スマホに「ツイッター」のアプリをインストールしなくても「ツイッター」を利用できますよね。
クラウドサービスの特徴
クラウドサービスには次の4つの特徴があります。
クラウドサービスの4つの特徴
・インターネットで接続すればいつでもどこからでも利用可能
・ソフト・アプリを用意しなくても良い
・PCの容量を圧迫しない
・PCの容量より通信環境の方が重要
ここでは、それぞれの特徴について、解説します。
インターネットで接続すればいつでもどこからでも利用可能
オンライン上にクラウドサービスがありますので、インターネットに接続できる環境であればどこからでもサービスを利用できます。
例えば、Gmailを利用したい場合インターネットに接続すればいつでもどこでもどんな端末(PC・スマホ・タブレット)でもメールの送受信や閲覧が可能です。
ソフト・アプリを用意しなくても良い
クラウドサービスのメリットの一つはサービス利用のために、準備する必要がないことが挙げられます。例えば、Gmailを利用するときにソフトやアプリを準備する必要はありません。
PCの容量を圧迫しない
クラウドサービスを使用して、データを管理すればどんな大きなデータを保存しても、自分のPCのHDD容量が減ることはありません。
例えば、オンラインストレージサービスであるDropBoxを利用してデジカメで撮った写真を管理すれば写真のデータはクラウド上で管理されるため自分のPCの容量は減りません。オンラインストレージサービスであれば、容量がいっぱいになったら容量を追加するのも簡単です。
PCの容量より通信環境の方が重要
データの管理は自分のPC内ではなく外にあるクラウドで管理されます。ですのでクラウドにアクセスするための通信環境が重要になります。
メールのやり取りぐらいであれば気にはならないと思いますがデータ量の多い映像を扱うストリーミングサービスでは通信環境が悪いと映像がカクカクしたり映像が乱れることもあります。大きなデータをクラウドを利用する場合には、通信環境が特に重要です。
クラウドの種類
サービスの範囲によってクラウドを3つのカテゴリに分けられます。
クラウドの3つの種類
・SaaS(サース:Software as a Service)
・PaaS(パース:Platform as a Service)
・IaaS(アイアース:Infrastructure as a Service)
ここでは、それぞれについて解説します。
SaaS(サース:Software as a Service)
今までは購入してインストールしていたソフトをインターネット上で使えるようにしたクラウドサービスです。私たちに最もなじみ深いクラウドサービスだといえます。
具体的には、GmailやGoogleマップがこれにあたります。
PaaS(パース:Platform as a Service)
SaaS(サース)を開発したり稼働する環境をインターネット上で提供するクラウドサービスがPaaS(パース)です。
アプリの開発に必要な環境を構築する手間がなくアプリ開発に取り組めるので開発者にメリットがあるクラウドサービスです。
具体的には、Google App Engineや、Windows Azureがあります。
IaaS(アイアース:Infrastructure as a Service)
システムの稼働に必要なハードディスク・サーバー・ネットワークなどのIT環境をインターネット上で提供するクラウドサービスのことです。
OSやストレージの容量やスペックを選択できるため、自由なカスタマイズが可能ですが運用には専門知識が必要です。
具体的には、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)や、Google Compute Engine(GCP)があります。
日常生活で使っているクラウドサービスの具体例
実は私たちがなにげなく利用しているサービスの中にはクラウドを利用しているものがたくさんあります。どんなふうにクラウドを利用しているのか実感しやすいように具体例を図解と一緒に紹介します。
オンラインでアクセスできるWEBメール
皆さんがよく使うGmailやYahooMailなどのWEBメールも、よくあるクラウドサービスの1つです。
Gmailを例に上げると、Gmailを利用するためにはPCやスマホでインターネットで、Gmailにアクセスしてメールを送受信できます。受信したメールはクラウド上にあり、どこからでもアクセスして確認できます。
Gmailを利用するためにPCにソフトやアプリをインストールする必要はありません。
Googleアカウントを作成して、Gmailにアクセスすればよいだけです。クラウド上にあるGmailにアクセスしてサービスを利用する仕組みです。
オンラインストレージ
インターネットに接続していればどこからでもデータをとりだせるDropboxやEvernoteもクラウドサービスです。
従来であれば自分のハードディスクにデータを入れていたと思いますが、オンラインストレージを利用すればネット上にある自分の箱の中に画像やデータを入れておいて自由に出し入れできます。
ストリーミングサービス
映像や音楽・配信するサービスもクラウドを利用しています。
例えば、Netflixは映像配信サービスです。映像と顧客の管理はクラウド上でされています。ユーザーは見たい映像コンテンツをダウンロードせずにアクセスすれば視聴できます。
ゲームもクラウド上にコンテンツがあってゲームにアクセスして遊ぶことができます。クラウドを使用するようになってソフトを買ったりダウンロードする必要がなくなりました。
クラウドのメリット
クラウドを使用すると得られるメリットは大まかにいって以下の2つです。
クラウドの2つのメリット
・手軽に導入できる
・メンテナンスフリー
それぞれのメリットについて、みていきましょう。
手軽に導入できる
初期投資なしで利用できます。クラウド側でソフト・サービスを用意しているのでユーザーは事前に準備する必要はありません。
例えば、Gmailを利用するためにアプリを準備する必要がないですよね。
料金に関しては、Gmailをはじめ多くの無料のサービスがあります。料金がかかる場合は使用した分だけ支払う形です。映像配信サービスのNetflixや音楽聴き放題のApple Musicのように月額定額(サブスク形式)サービスもあります。
メンテナンスフリー
クラウドサーバー側がソフト・サービスを用意しているので、バックアップや更新などのメンテナンスが不要です。データの容量も自由に追加可能なのもメリットです。
トラブルに対応しなくて良い反面、自分で対応できないので信頼できるクラウドサービスを選ぶ必要があります。
クラウドの問題点
使いだすと便利なクラウドですが、使用する前に知っておいたほうが良いポイントがありますので説明します。
サービス停止のリスク
クラウドのサーバー側(提供者)にソフトやサービスの管理を依存しているので、サービスが停止した時に困ります。極端な事例と思いますがサービスが停止してしまったらサービスの変更やデータの移行をしなければなりません。
自分ではなくサーバーの意向でタイミングを決められてしまうので、もしご自身が多忙な時にサービスの停止が重なってしまったら対応できなくなってしまいます。
停電にも弱いです。インターネットで接続するのが前提なので電気が止まってしまうとどうにもなりません。
便利な反面こわいセキュリティ問題
クラウドのデータセンターには大切なデータが入っているとされているので、ハッキングの対象になることもあります。
セキュリティーのレベルは、クラウドサーバー側に依存するので、自分でコントロールができません。しっかりとしたセキュリティー対策をしたクラウドサーバーを選ぶ必要があります。
クラウドを過信しすぎず、本当に重要なデータは自分でバックアップしておきましょう。また、通信回路の暗号化などの対策も有効です。
クラウド技術の未来
現在でもすでにクラウドは社会生活に浸透し活用されているようにみえます。しかしこれからはさらにモノとモノがつながるインターネット(IoTの技術)の普及によりさらに集まるデータが増加すると見込まれています。
そのデータの受け皿としてクラウドは、これからの社会に必須のツールとなっていきます。
IoT(モノがつながるインターネット)とは、例えば交通事情によって定時運行が難しいバスにセンサーをつけてインターネットで接続します。そしてそのバスの現在の位置をリアルタイムでバス停やアプリで確認できるシステムのことです。
IoTについては、こちらの記事を参考にしてください。
令和元年版 情報通信白書によれば、
です。
引用元:令和元年版 情報通信白書
Googleのレポートによると、
・2020 年パブリック クラウド サービスへの全世界支出額は、 2,770 億ドルに達する
・2024年までに90%の企業が何らかの形でクラウドを使用する
・2025年には世界の総データ量は現在の5倍になる
引用元:Googleのレポート
クラウドの普及により膨大なデータを集積して、AI(人工知能)技術が分析・ビッグデータの活用とつながります。クラウドがベースとなって最先端技術がリンクして技術革新が加速していきます。
企業がクラウドサービスを導入するメリット
企業がクラウドサービスを導入すると得られるメリットを5つ紹介します。
企業がクラウドサービスを導入する5つのメリット
・システム構築が楽
・社内設備を簡素化
・コスト削減
・新しいシステムに対応、導入するのが早くなる
・実は災害対策にもなる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
システム構築が楽
クラウドを利用する大きなメリットは、初期投資を抑えられるということです。
従来のように自前でサーバーを用意しソフトウエアを購入・システムを構築するには、利用決定から利用開始するまでに多くの時間がかかり、コストもかかりました。一方で、クラウドサービスを利用すればクラウドサーバーにあるシステムを利用できます。
つまり、自前でシステムを準備するのに比べ、クラウドシステムを利用した方が、システム構築が楽になります。
社内設備を簡素化
社内でITインフラを整えなくても、クラウドを利用することで社内のデータを一元管理し、どこからでもアクセスできるようになります。
データはクラウド上で管理されるため社内設備を整える必要はありません。
コスト削減
クラウドを利用すれば社内設備を簡素化できるので、社内設備を維持管理するコストが削減できます。メンテナンスの人件費や保守設備が削減に繋がり、その結果、運用管理の負担が減ります。
新しいシステムに対応、導入するのが早くなる
クラウドサーバーによってインフラは、常に最新の状態に保たれます。また、一時的にサーバーを拡張したり縮小したりが柔軟にできます。
従来はサーバーの増強にはコストと時間がかかりました。クラウドであればアクセスが集中したときには一時的にサーバー増強させることで対応可能です。
実は災害対策にもなる
クラウドサービスでは、データを自社以外の場所で管理します。
自社が災害に見舞われた際には、データは他の場所で管理されていることになります。そのため、災害時の備えになり、データ消失のリスクが減少します。
まとめ
この記事では下記の6点についてまとめました。
・日常生活で使っているクラウドサービスの具体例
・クラウドのメリット
・クラウドの問題点
・クラウド技術の未来
・企業がクラウドサービスを導入するメリット
クラウドには導入する多くのメリットがありますが、同様に従来のように自前でシステムを持つメリットもあります。また、その双方のメリットを享受できるハイブリッドクラウドというシステム構築方法もあります。目的にあったクラウドサービスを利用して、企業の発展にお役立て下さい。