成果主義とは?導入する3つのメリットとデメリットを実例付きで解説

自社の業績を伸ばすため「成果主義を導入して、売上アップや生産性の向上を狙えないか」と考えている方も多いのではないでしょうか?

 

「成果主義」という言葉はニュースなどでよく聞くのですが、具体的にどのような制度なのかを正確に把握している人は、意外と少ないようです。

 

そこでここでは、下記の項目を中心に成果主義のメリット・デメリットと過去の失敗事例についてご紹介します。

 

・成果主義とは「結果」だけを評価するものではない
・成果主義の導入は生産性アップを期待できるが、「結果主義」に陥りやすい
・成果主義を導入して成功した企業と失敗した企業の事例

成果主義は、うまく導入すれば業績アップといった効果が期待できます。しかし導入に失敗すると、将来の会社業務に大きな支障が発生しやすい仕組みです。

 

まずは冷静に、成果主義について理解を深めてみることをおすすめします。

 

成果主義とは?

成果主義とは、仕事の成果やプロセスを評価して人事評価を行う制度です。

 

例えば「一年間で一億円以上を売り上げることが目標」と設定します。この場合、目標が達成できたか、目標達成のためにどのような貢献を行ったかが評価の対象です。

 

注意すべきは、「成果主義は最終的な成績しか評価しない」という点。成果主義は結果だけでなく、目標達成を目指した仕事のプロセスも評価対象となります。

 

成果主義と年功序列の違い

年功序列とは、勤続年数や年齢によって人事評価を行う仕組みです。

 

仕事の内容や成果ではなく「働いた年数」や「社員の年齢」が人事評価の対象となるため、長期的に働くインセンティブとなる一方で、あまり仕事ができなくても評価されやすいというデメリットがあります。

 

従来の日本企業では年功序列が一般的でしたが、90年代のバブル崩壊以降から徐々に成果主義・結果主義を導入する企業が増えています。

 

成果主義と結果主義の違い

結果主義とは、最終的な仕事の成果・成績のみ評価する制度です。成果主義と結果主義は混同しがちな制度なので、違いを下記表にまとめました。

 

結果主義は最終的な仕事の成績のみ評価するため、公平かつ明瞭に人物評価できるのがメリットです。

 

一方で、成果を数値化しにくい経理・総務といった間接部門、また成果が出るのが数年先になることも多い研究部門などは導入が難しいでしょう。

 

また「後輩の指導や有効な仕事の進め方の共有を行わず、自分でノウハウを独占すれば高評価を得られる」という考えを持つ社員も発生しやすいデメリットがあります。

 

成果主義を導入するメリット・デメリットとは?

成果主義についてより具体的に理解するため、成果主義のメリットとデメリットについてご紹介します。

具体的にどういうことなのか、下記で詳しく解説します。

 

成果主義を導入するメリットとは?

ここでは、成果主義を導入するメリットについてご紹介します。

 

 

評価基準が明確になる

成果主義の導入は、人事評価基準の明確化・透明化につながります。

 

成果主義を導入することによって「具体的に何をすれば評価されるか」が明確になるため、社員は自分が何をすれば高評価されるのか、具体的にイメージが可能です。

 

これは社員のモチベーションアップにつながるのはもちろん、透明性のある評価制度のため社員の不公平感を緩和する効果が期待できます。

 

「若手や中堅社員のモチベーションが低い」と悩んでいる場合、成果主義を導入して評価方法を明示してみてはいかがでしょうか?

 

人件費を適正配分できる

成果主義の導入は、人件費の適正配分につながります。

 

仕事のできる人や成果をあげることに貢献できる人が評価される、これが成果主義の特徴です。よって仕事ができる人ほど出世や昇給につながり、さらにモチベーションの向上という好循環が生まれるもの。

 

成果主義は人件費の適正配分だけでなく、社員のモチベーションアップを促す効果があります。

 

生産性アップが期待できる

成果主義を導入することで、生産性の向上が期待できます。

 

成果主義を採用すると、社員は仕事で成果をあげるために行動しやすくなるでしょう。無駄な業務や必要のない業務を減らそうとする社員が現れ、仕事の効率が上がり、業務効率の改善へとつながります。

 

「人事評価を改善して会社の生産性を改善したい」と考えている方は、成果主義の導入を考えてみてはいかがでしょうか?

 

人事評価制度に関しては、『人事評価制度とは?人事評価制度の基本から自社に合った作り方まで徹底解説』を参考にしてください。

 

成果主義を導入するデメリットとは?

次は、成果主義を導入するデメリットについてご紹介します。

 

結果主義になりがち

成果主義の導入に失敗するパターンでよくあるのが、成果主義と結果主義の混同です。

 

結果主義は仕事の成果のみを人事評価の対象とする制度のことです。

 

それゆえ、間接部門など成果を数値目標に落とし込みにくい部門では導入が難しく、また成果をあげるのが難しいという側面があります

 

「成果主義を導入したつもりが結果主義に陥ってしまった」とならないよう、業績への貢献度や仕事のプロセスといった定性的な部分も評価対象とするよう注意しましょう。

 

評価指標の設定が難しい

成果主義を導入する時に、最初に実施する「評価指標の設定」が意外と難しいです。

 

成果主義では「個人に合わせた目標」を設定する必要がありますが、設定した目標の達成難易度が高いか低いかは、設定する上司によって差がついてしまうことも。

 

そのため、不公平感を感じたり、「自分に課せられた設定は高すぎる」と不満を抱かせたりするリスクがあります。

 

また、個人ごとに適切な目標を設定するのは労力のかかるプロセスです。よって、目標を設定するたびにマネージャーへ大きな負担がかかります。

 

「部下から不公平に思われない」かつ「個人のレベルにあった目標」を設定する必要があるため、成果主義の導入には、評価指標の設定が難しいというデメリットがあります。

 

チームワークが希薄になりがち

成果主義を導入すると、チームワークが希薄になりがちです。

 

成果だけでなくプロセスも評価するのが成果主義ですが、どうしても「成果」をあげることが重視されがちです。また設定された目標だけを達成すれば良いと開き直り、乱暴なマネジメントを行ってしまうリスクも考えられます。

 

成果主義を導入する時は、数値目標だけでなく、会社への貢献度といった定性的な評価指標を盛り込まないと、チームワークの希薄化につながりかねません。

 

「成果主義を導入したけど、会社の雰囲気が悪くなったのを感じる」という人は、会社への貢献や部下の育成といった定性的な部分も評価できてきているかチェックしてみることをおすすめします。

 

成果主義の成功例と失敗例

「成果主義を導入した日本企業は、本当に成功したのか」
「成果主義を導入した事例を参考にしたい」

 

このように考えている方へ向けて、成果主義の成功例と失敗例をご紹介します。

 

成果主義にはメリット・デメリットありますが、うまく導入すれば効果が期待できる仕組みです。ここでは、実際に成果主義を導入して成功または失敗した実例を紹介します。

 

成功例1:ホンダ

本田技研工業株式会社(以下ホンダ)では、成果主義の考え方に基づく「年俸制」が、役職者に対して適用されます。

 

これによって「課長」「部長」といった役職者は、企業業績への貢献度に応じて年収がダイナミックに変動。管理職は成果がシビアに問われるようになりました。

 

ホンダはこの制度の狙いを「給与は毎年上がるものという意識から成果・実績主義へシフト」と発表。年功序列制度の廃止や社員の意識改革に積極的に取り組んでいます。

 

一方で「標準的な生活費を十分にカバーできる報酬体系」「育休・介護休暇の取得者がハンデにならない」といった配慮も行われている点もポイントです。

参考元:Hondaの賃金・評価制度

 

成功例2:花王

花王株式会社(以下花王)は、成果主義の導入に成功した日本企業として有名です。

 

今の成果給制度ができたのは2000年頃ですが、もともとは1960年代から「目標管理に基づいた評価制度」の導入を検討し、試行錯誤を繰り返していました。

 

花王では「結果の出にくい研究部門は長期的な成果で判断」「成果の出やすい生産現場でも、仕事への習熟度なども評価」など柔軟な評価制度を設定。これによって結果主義に陥ることなく、成果主義を導入できました。

参考元:ITmediaビジネスONLiNE

 

失敗例1:富士通

富士通株式会社(以下富士通)は、1993年ごろに成果主義を導入した企業として有名です。

 

しかし成果主義を導入した結果、「失敗を恐れて新しいチャレンジをしなくなる」「成果を出しやすい部署にいると評価されやすい」「成果を出すことを優先するあまり、アフターケアなどがおろそかになった」という弊害が生まれました。

参考元:東洋経済ONLINE

 

失敗例2:日本マクドナルド

日本マクドナルドは以前、成果主義導入のため「定年制の廃止」を打ち出したことで話題となりました。

 

しかし日本マクドナルドによると、定年制を廃止した結果「ベテラン社員が自分の成果をあげることを優先してしまい、若手へのノウハウ継承がうまく進まなかった」とコメント。そのため、同社は2012年から、定年制を復活させています。

参考元:JCASTニュース

 

まとめ

今回は下記のポイントを中心に、成果主義について解説しました。

 

・成果主義を導入する時は「結果主義」にならないよう注意が必要
・評価指標の作成にはコストがかかる
・仕事のプロセスや人材育成なども評価指標に盛り込むべき

成果主義を導入するときは、所属している部署やプロジェクトで有利不利が発生しないよう、定性的な部分も評価指標に盛り込む必要があります。また評価指標は個人ごとに設定する必要があるため、作成コストも決して低くありません。

 

成果主義を導入してうまくいった企業は、「役職者へ成果主義を導入」「部署やプロジェクトごとに評価指標を柔軟に設定する」といった対策を行っています。

 

成果主義の導入を考えている方は、導入に成功した企業を参考にしてはいかがでしょうか?

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