2021年4月21日公開
リファラル(リファーラル)採用とは?優秀な人材を確保する方法
「採用活動のコストが嵩んでしまっている」
「どうすれば優秀な人材が確保できるのかわからない」
新卒採用・中途採用を成功させるために色々と試しているが、どうもうまくいかないと悩んでいる担当者も多いでしょう。優秀な人材を確保するためのアプローチはさまざまです。そこで今回は、優秀な人材を採用するための手法の一つでもあるリファラル(リファーラル)採用について、以下のポイントを解説します。
・リファラル採用のメリットとデメリット
・リファラル採用のコツや注意点
リファラル採用に取り組む際の参考にしていただければと思います。
目次
リファラル(リファーラル)採用とは?
リファラル採用とは、一言で表すと「紹介採用」のことです。下記の項目を中心に、まずはリファラル採用の基本を解説します。
・リファラル採用とは「自社の社員による紹介採用」
・縁故採用と何が違うの?
具体的なリファラル採用のメリットや成功するコツを理解するためにも、時代背景から基本の考え方までを整理していきましょう。
採用手法として期待されているリファラル採用とは
株式会社LiBが実施した「『緊急事態宣言』後の企業の中途採用活動」に関するアンケート調査結果は下記の通りです。
引用元:『緊急事態宣言』後の企業の中途採用活動」に関するアンケート調査
アンケートの結果から、約7割の企業が中途採用を実施し、その中で期待している採用手法にリファラル採用をあげていることがわかりました。人材採用手法として、リファラル採用に対して期待している企業が多いと言えるでしょう。
リファラル採用とは「自社の社員による紹介採用」
リファラル採用とは紹介採用だとお伝えしましたが、厳密に言うと「自社の社員に人材を紹介してもらう」採用方法です。社外の人から紹介されるのとは違い、自社のことを理解した人材が紹介する点に意味があります。
リファラル(referral)には「推薦」という意味も含まれており、社員の人材ネットワークを頼ることで質の高い人材の採用が可能です。
縁故採用との違い
リファラル採用は縁故採用と同じではないかと思う人もいるかもしれません。しかし縁故採用は、紹介者の血縁者を採用するという意味合いが強い方法です。
それゆえ紹介者が社内において重要なポジションだった場合、紹介された人材を雇わざるを得ない状況になってしまう恐れがあります。縁故採用とはスキルや適性よりも、人の「縁」を優先して採用する方法のため、純粋によい人材を獲得できない恐れがあります。
リファラル採用のメリット
ここでは、リファラル採用のメリットとして以下の4つを紹介します。
・認識の不一致を防止
・潜在的な優秀人材の確保
・マッチング精度の高さ
コスト削減
リファラル採用なら、新しい人材を採用するための経費はほとんど不要です。
リファラル採用を促進するために、社内向けのキャンペーンを開催する場合はその費用が発生します。リファラル採用は基本的に、社員の人材ネットワークを使って応募者を集めます。それゆえ、他の採用手法に比べるとかなりのコスト削減に繋がるでしょう。
認識の不一致を防止
リファラル採用の場合、既に自社で働いている社員が現場の様子を紹介します。
それゆえ入社後のミスマッチが生じにくく、早期離職のリスク回避に繋がります。「こんなはずではなかった」という事態を防げれば、会社は教育に専念し、採用された人材もその会社特有の知識や仕事の進め方を学ぶことに集中できるでしょう。
潜在的な優秀人材の確保
潜在的な優秀人材というのは、転職市場に出ていない人材のことです。
転職を希望しているわけではないものの、より良い環境、報酬、やりがいなど、新しい提案をすることで、誘われた側がメリットと感じる場合があります。転職を希望している人材だけが採用対象とは限りません。しかし、そういった人材は普通に募集をかけても見つかることは稀です。
リファラル採用であれば、そのような潜在的な優秀人材を見つけられる可能性が高くなります。
マッチング精度の高さ
会社が求める人材と採用される人材の能力や働く動機・希望がマッチングしやすいのも、リファラル採用のメリットと言えるでしょう。
前述した認識の不一致を防ぐのは、リスク回避という意味合いが強いでしょう。しかし理想と現実の認識にズレがなければ、リスク回避というメリットだけでなく、前向きでモチベーションの高い人材の確保にも繋がります。
リファラル採用のデメリット
リファラル採用には十分なメリットがある点は、実感していただけたのではないでしょうか。しかし、メリットだけではなくデメリットも理解しなければ、適切な運用ができません。
デメリットになりえる以下の3つについて解説します。
・職場の人間関係
・大量採用できない
紹介者との関係
縁故採用ではないにしても、従業員からの「紹介採用」であることに変わりありません。よって、紹介者への配慮は必須と言えます。
例えば不採用となった場合の対応や、反対に採用となった際は採用した人材のポジション、配置、周知の仕方などには注意が必要です。
採用時はうまく会社に馴染み、紹介者も採用された人材も順調に働き出したとしても、将来どちらかが退職した際には、もう一方も同様に退職を検討する恐れがあります。気にしすぎもよくありませんが、他の従業員との関係とは違う点には気をつけなければいけません。
職場の人間関係
リファラル採用を始めたばかりの時期や、会社が求めたわけではないが、結果的に優秀な人材がリファラル採用によって入社が決まった場合などは注意が必要です。
どちらにも共通しているのは、従業員がリファラル採用になじみがない点です。本当に会社として優秀な人材を採用したつもりが、「なんだコネか」「なぜ特別扱いを」といった不信感を、社員の一部が募らせてしまう恐れがあります。そうなってしまっては、誰にとってもよい結果になりません。
採用してから配慮が足りず、退職されてしまっては意味がありません。このような事態が起こらないように、職場の人間関係には十分に注意しましょう。
大量採用できない
新しい人材を採用したい時に、必ずしも採用候補者が見つかるとは限りません。
人材が欲しいタイミングで、まったく集まらないという事態もありえるでしょう。大手企業でも、全社員に対して紹介ノルマを作らない限り、同じタイミングで多くのリファラル採用を実現するのはほぼ不可能で、現実的ではありません。
このように大量採用をしたい場合には、リファラル採用は不向きです。
リファラルリファーラル採用で優秀な人材を確保するコツ
リファラル採用のメリット・デメリットについて解説してきました。ここからは、実際にリファラル採用で優秀な人材を確保するためのコツを紹介していきます。ポイントは以下の4つです。
・紹介者への選考情報の伝え方
・ダイレクトソーシング
・SNSやHPの充実
紹介のハードルを下げる
社員による紹介がなければ、リファラル採用は成り立ちません。人材紹介手順を簡略化し紹介しやすい仕組みを作る、人材紹介に対してノルマを課すといった精神的な負担を増やさない、などの工夫が必要です。
リファラル採用は入り口となる「社員の紹介」がなければ始まらないため、社員の紹介に対するハードルを下げるようにしましょう。
紹介者への選考情報の伝え方
人材を紹介してくれた社員に対して、伝えること、伝えなくていいことを考慮して対応しましょう。
特に一番デリケートなのは不採用となった時です。リファラル採用とはいえ、不採用になることは当然あります。不採用になった理由を紹介者に伝える際は、「応募者の希望やキャリアアップを実現できる環境が提供できないと考えたため」「ぜひ入社してもらいたい素敵な人材だったが、○○な理由で今じゃないと判断した」など、具体的に伝えることが必要です。
紹介者に対して紹介後のケアを丁寧にすれば、他の社員も安心して知人を推薦、紹介できます。そうすることで人材を紹介したいという話が発生しやすくなり、優秀な人材が集まりやすくなります。
ダイレクトソーシング
中には、紹介したい優秀な人材がいても、自分から声をかけてその人物との関係を悪くしたくないというケースもあります。
その時に使える方法がダイレクトソーシングと呼ばれる手法です。社員からその人物の名前を聞き、企業がSNSなどを通じてダイレクトにアポイントを取ります。
ダイレクトソーシングを導入することで、社員からの貴重な情報を無駄にせずに済むでしょう。
SNSやHPの充実
自社の社員から紹介を受けた人は、応募する際に紹介者から聞いた話だけを鵜呑みにせず、どういう会社なのか調べるのが通常でしょう。その時にもっとも見られるのが、ホームページやSNSといったWeb上にあがっている情報です。
リファラル採用に着手するのであれば、自社がオープンにしている情報の中に誤った情報が含まれていないか、より魅力的に感じられるものになっているか、気をつけましょう。
リファラル(リファーラル)採用の成功事例
ここからは、具体的なリファラル採用の事例をご紹介します。
株式会社ファンリード【コミュニケーションの障壁を下げる】
ICTサービスプロバイダーである株式会社ファンリードの事例です。課題はエンジニアの採用で、社員の紹介するハードルを下げることにより、11人のリファラル採用に成功しています。
具体的には、仲間を自社に招き入れるための文化を社内に根付かせるために、会社本部の人間と他の社員との月1回の定例会や、会社主催の飲み会などを実施。それにより社員同士の親睦を深めました。
自社の社員が自社を紹介したくなる文化を作るために、人事に関わる社員と一般の社員がコミュニケーションをしっかりと取り、社員が自社を紹介したくなるように仕向けた好例だと言えます。
参照サイト:リファラル採用の成功事例 | 成功企業8社の事例集 | Vol2
富士通株式会社【紹介のしやすさを重視、リファラル採用で入社後のギャップを無くす】
テクノロジーソリューション大手の富士通株式会社では、新しい採用チャネル開拓のため、約3万3千人の社員に対してリファラル採用を導入しました。リファラル採用の導入後、紹介入社者の入社後の大きなギャップを無くし、優秀な人材の確保と定着に成功しています。
社員にはそれぞれ自分事だと認識してもらうため、「紹介のしやすさ」を重視した制度の設計を行いました。大勢の社員に対して、制度を導入する際に想定される懸念を無くすため、選考プロセスには紹介者が関与しないことや、インセンティブの導入などを実施することで、声をかけやすい環境を整えています。
参照サイト:リファラル採用の成功事例 | 成功企業8社の事例集 | Vol2
リファラル採用の注意点
最後にリファラル採用の注意点として「法律」に関わるポイントをお伝えします。
リファラル採用は厳密に言うと、採用業務を社員に業務として委託して行うものです。業務とせずに行う場合には、厚生労働大臣の許可を得るために、届け出が必要になります。
またインセンティブ制度を設ける場合、インセンティブの内容は就業規則や雇用契約書に明記しなくてはなりません。インセンティブの金額が高額になりすぎると、給与やそれに準ずるものに該当せず、職業安定法に抵触し罰則を受ける可能性があるため気をつけましょう。
まとめ
今回は下記の項目を中心に、リファラル採用について解説しました。
・リファラル採用のメリットとデメリット
・リファラル採用のコツや注意点
しっかりと制度が根付き、社内にリファラル採用を進める風土が整えば、人材不足に悩む機会は減るでしょう。そのためには紹介のハードルを下げ、丁寧に周知し、会社側が仕組みを整えることが大切です。ぜひこの機会にリファラル採用に取り組んでみませんか?