【従業員体験(EX)】重要性を理解し働き手に選ばれる企業を目指す

従業員体験(EX)という概念を耳にしたことはありますか?向上に取り組むことで「働き手に選ばれる企業」として価値を高められる新たな概念です。しかし下記のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

 

「従業員体験って何?」
「取り組むことでどんな効果が生まれるの?」

 

疑問を持ったままでは取り組みを検討するのは困難でしょう。そこでこの記事では従業員体験について以下の項目を中心に紹介します。

 

・従業員体験(EX)の概要
・向上による効果
・向上させる方法
・企業事例

概要や方法を正しく理解することで、自社への導入イメージを掴みやすくなります。企業の導入事例も紹介するため、取り組み際の参考にしてください。

 

従業員体験(EX)とは?

従業員体験とは「Employee Experience」の日本語訳で、「EX」とも呼ばれる概念です。従業員が企業で働く中で得られる経験を指し、経験を通して感じたことや思ったことなどの感情的な側面も含むことが特徴です。

 

日本においては「従業員満足度」が同じような意味合いで捉えられています。企業は従業員体験を向上させることで従業員のモチベーションを高め、生産性向上や業績向上に期待できます。この章では従業員体験の概念をさらに詳しく理解するために、以下の項目を中心に紹介します。

 

・注目される背景
・従業員体験は企業が高めるべき新しい概念

1つずつ確認しておきましょう。

 

従業員体験(EX)が注目される背景

従業員体験は、日本が抱える経済的課題を改善する1つの方法として注目され始めました。具体的な課題としては以下2つが挙げられます。

 

・労働力の流動化
・労働人口の減少

日本の労働市場では人材の流動性が高まっています。実際に数年前と比べると、転職で会社を移る人材を多く見かけるでしょう。そのため企業が継続的発展を目指す際には、従業員に選ばれ定着させることが大きな課題の1つとなっています。

 

また少子高齢化により労働人口は減少し続け、2040年には現在から20%もの減少が予想されています。

引用元:みずほ総合研究所「少子高齢化で労働人口は4割減」

労働人口の減少によって人手不足に悩まされる企業は、従業員一人ひとりの生産性向上への取り組みが必要です。従業員のパフォーマンス向上は、人手不足が深刻化する中で企業の存続にも大きく影響していくでしょう。

 

従業員体験(EX)は企業が高めるべき新しい概念

従業員一人ひとりが労働生産性を高めなければならない現代において、従業員に働きがいを感じてもらうことは企業にとって重要な取り組みです。

 

なぜなら、働きがいの感じられない職場では意欲的に働くことは難しく、従業員は転職も視野に入れる可能性があります。能動的な働きでは生産性向上には期待できず、従業員の離職はさらなる人手不足へと繋がるでしょう。

 

従業員体験の向上は従業員がその企業で働く価値を感じられ、業務へのモチベーションを高められる効果が期待されています。その結果企業は生産性向上や業績向上の実現に近づけるため、従業員体験は企業が高めるべき概念と捉えられるでしょう。

 

従業員体験(EX)の向上による3つの効果

従業員体験の向上によって以下3つの効果が得られます。

 

・従業員満足度の改善
・定着率の向上
・生産性の向上

1つずつ詳しく紹介します。

 

従業員満足度の改善

従業員体験の向上は会社で働くことの満足感を高めるため、従業員満足度の改善につながります。

 

従業員体験には従業員が経験を通し得られる感情的な側面も含まれるため、向上の取り組みによって従業員の満足感に大きく影響するのです。例えば、働きやすい職場環境の整備は従業員のやる気を高め、業務効率を向上させます。

 

その結果従業員は業務への達成感を得やすく、会社で働くことへの高い満足感が得られるでしょう。従業員体験の向上は、従業員の感情面にも焦点を当てた取り組みによって従業員満足度を改善させます。

 

定着率の向上

企業で働く価値の実感によって、従業員の定着率向上に期待できます。

 

従業員の目線で働きやすい環境を実現する従業員体験向上の取り組みは、従業員が企業に対して愛着を感じられ、企業に属して働いていることへの価値を感じられます。反対に、職場において「大事にされていない」と感じる場合、従業員は働く場所を変えることを検討する可能性もあるでしょう。

 

働く価値を感じられる職場は企業への貢献意欲にもつながるため、長きに渡って企業に定着し業務に励む人材の獲得にもつながります。

 

生産性の向上

業務への高いモチベーションによって、従業員一人ひとりの生産性向上に近づきます。

 

やる気を持って主体的に働ける環境は学びや気づきが多く、新たなスキルの獲得も可能です。経験やスキルを活かした働きによって業務効率は向上され、達成感も大きく感じられるでしょう。

 

達成感はさらなるモチベーションの高まりを生み出し、従業員の働く環境として好循環が生まれます。業務効率の向上やスキルの獲得は高い成果につながり、結果として生産性向上を実現するでしょう。

 

従業員体験(EX)を向上させる手法

従業員体験を向上させる2つ手法がこちらです。

 

・デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用
・Employee Journeyの設計

それぞれ内容や得られる効果を紹介します。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用

デジタルトランスフォーメーションとは、テクノロジーの活用で会社を変革させ新たなデジタル社会での競争に打ち勝つ力を身につけることです。

 

従業員体験を向上させる手法としては、テクノロジーやシステムの導入によってコミュニケーションを活性化させる狙いがあります。

 

例えば、いつでも気軽に上司やチームメンバーと連絡ができるプラットフォームの導入によって、従業員同士の交流を促進させます。チャット形式で連絡ができるプラットフォームであれば、これまで以上に他従業員との連絡が取りやすく、業務の相談や報告を通したコミュニケーションの活性化が可能です。

 

日々柔軟に連絡が取れる環境の整備は、信頼関係の強化や従業員の高い自立性を促すでしょう。デジタルトランスフォーメーションの活用は、活発なコミュニケーションが生まれる職場作りを叶え、企業への安心感や貢献意欲を持った従業員体験の向上につながります。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)に関しては、こちらの記事を参考にしてください。

 

Employee Journeyの設計

Employee Journeyの設計は、従業員が抱える問題を見つけ、改善策を検討し実行する一連の流れをサポートします。従業員の立場に立って必要な施策を検討できるため、従業員体験の向上において効果的な取り組みです。具体的な方法は以下の通りです。

 

①入社から退職までに従業員が経験する出来事を時系列で可視化させる
②配属や育成、評価など各フェーズにおいて従業員の期待や困難などの感情を予想する
③各フェーズにおいて従業員体験の向上のために必要な取り組みを検討する

Employee Journeyの設計による従業員体験の向上には、従業員の目線に立つことが重要です。従業員と同じ目線に立って取り組むことで、より具体的で効果的な施策を打つことができます。

 

そのため設計に取り組む前には対象となる従業員の設定を入念に行いましょう。例えば、新入社員や特定の部署などある程度従業員像を設定することで、従業員の感情を予想しやすくなり、効果的な施策を打つことが可能です。

 

従業員体験(EX)を高めている企業事例

従業員体験を高めている代表的な企業がこちらです。

 

・Airbnb
・株式会社セールスフォース・ドットコム
・freee株式会社

詳しく内容を解説しますので、自社での取り組みの参考にしてください。

 

Airbnb

Airbnbでは、「エンプロイーエクスペリエンス」という専門部署によって従業員体験の向上に励んでいます。

 

例えば、デジタル環境の設備や社員食堂の運営など従業員が働きやすく満足度が高まる施策を打ち出し実行しています。専門部署の設立には、「従業員体験の向上は企業の成長につながる重要な取り組みである」と捉えていることが伺えます。

 

実際に2016年にはGlassdoor社による発表において「働きがいのある会社」第1位に選ばれ、2019年の売上高は約48億ドル(約5100億円)でした。Airbnbの事例から、従業員体験の向上が企業成長の要因の1つであることが伺えるでしょう。

 

参考元:ferret「日本の人事部はAirbnbに学べ!エンプロイー・エクスペリエンスの最大化こそが “人事のミッション”」

 

株式会社セールスフォース・ドットコム

独自の目標設定とフィードバックアプリの導入によって、従業員の働き方にアプローチしているのが株式会社セールスフォース・ドットコムです。

 

従業員が定める目標は働く上での道筋となるよう設計されており、指針や優先度をリアルタイムで確認できる仕組み作りによって、目標からブレのない業務を実現します。またフィードバックを行うアプリを独自に開発し、従業員が高いパフォーマンスを実現できるようサポートしています。

 

このアプリの導入によって従業員は上司や同僚から感謝や称賛の気持ちをフィードバックとして受け取ることが可能です。そのため従業員は「自分の行いが認められている」という実感を得られやすい環境で働くことができます。

 

周囲の従業員との柔軟なコミュニケーションの活性化によって、業務へのモチベーション向上や成長の機会の増加へとつながるでしょう。このような取り組みを行う株式会社セールスフォース・ドットコムは、Vorkers社による「働きがいのある企業ランキング」で2018年度の第1位を獲得しています

 

参考元:@Engagement「部下がマネジャーを4段階で毎月評価する Salesforceが成長し続けてきた目標とフィードバックの仕組み | JinJiのトリセツ」

 

freee株式会社

freee株式会社では、定型業務の負担を減少させ従業員の新たな取り組みやアイディアを促進させる取り組みを行っています。

 

社内には「メンバーサクセスチーム」という総務人事チームを設立し、テクノロジーの活用によって少ないリソースで確実な事務処理を行う環境を整えました。

 

その結果、1週間かかっていた業務を24時間で完了させるなど従業員の負担を大きく削減することに成功しました。他の定型業務も同様に負担を減少させ、余裕ができた分では総務人事としての枠を超えた新たな業務を行っています。

 

テクノロジーの活用によって従業員の個性を活かした働き方の実現は、従業員にとって視野の広がりや成長へとつながり、従業員体験が向上されている企業と言えるでしょう。

 

参考元:freee株式会社「380人分の人事労務を0.7人月で回し、社員とのコミュニケーションに集中する」

 

まとめ

今回は従業員体験について以下の項目を中心に紹介しました。

 

・従業員体験(EX)の概要
・向上による効果
・向上させる方法
・企業事例

従業員体験の向上は、人材の定着や生産性向上によって企業の成長を支える重要な取り組みです。現在日本が抱える経済的課題を踏まえると、企業は「働き手から選ばれる」という価値を育まなくてはなりません。まずは自社における現状を改めて確認し、施策の検討に取り組みましょう。

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