2021年5月25日公開

MBO面談とは?実行するための手順や4つの注意点について解説

「MBOの導入を検討しているが、面談時の注意ポイントについて知りたい」

「そもそもMBO面談では何をするべきか知りたい」

 

このように考えている企業担当者の方もいるでしょう。

 

部下や従業員と目標を設定したり評価を共有したりする際には、面談が欠かせません。この時に行う面談をMBO面談と呼びます。

 

従業員が目標を決めて、達成できたかどうかを人事評価の基準にするのがMBO(Management By Objectives=目標管理制度)であり、人事評価の基準として導入している企業もあります。

 

そこで本記事では、MBOの導入を考えている方に向けて、下記の項目を中心にMBO面談について解説します。

 

・MBO面談とは

・MBO面談の目的

・MBO面談の実行手順

自社でMBOの導入を考えているなら、ぜひ参考にしてください。また「そもそもMBOについて詳しくない」という方は、MBOについて解説したこちらの記事をご一読ください。

 

MBO面談とは?

まずは、「そもそもMBO面談とは何をするものなのか」という点を解説します。

 

MBO面談とは、従業員が目標を設定したり目標達成できたかを評価してもらったりする場です。

 

MBOによる人事評価は、目標を達成できたかどうかが評価ポイントです。そのためMBO面談では、ポイントとなる目標設定と、それを達成できたかどうかを評価する機会となります。

 

■MBO面談とは

MBO面談には以下の2種類の面談があります(ただし同時に行うケースもある)。

 

・従業員が達成すべき目標を、従業員が決める「目標設定面談」

・設定した目標を達成できたか評価する「評価面談」

 

MBO面談では、「従業員が主体的に目標設定すること」「評価を納得して受け入れてもらうこと」が重要です。上司からの一方的な目標・評価の押しつけにならないよう、以下のポイントに注意しましょう。

 

■MBO面談で気をつけるべきポイント

 

・目標設定面談では、“部下が主体的に目標を決める”“上司はあくまで、部下が決めた目標を承認する”ことが大切

 ⇒部下が納得して取り組める目標となっているかどうかがポイント。上司が設定目標を誘導するのはNG。

 

・評価面談では、客観的に成果についてフィードバックする

 ⇒上司と部下の間にある“評価のズレ”を認識するのが目的。最終的には部下が納得して評価を受け入れることが大切。

 

ここまで、MBO面談の概要とポイントを簡単に紹介しました。MBO面談について、なんとなくイメージがついたのではないでしょうか。

 

しかし、実際にMBO面談を行うにあたり、「なんとなく」の知識ではうまく進められないでしょう。そこで次では、MBO面談の目的や実行するメリットについて、詳しく解説します。

 

MBO面談の目的

MBO面談を行う目的は、以下の3つです。

 

・評価の共有

・方向性のすり合わせ

・従業員のモチベーション向上

それぞれの詳細について、具体的に解説します。

 

評価の共有

上司と部下それぞれが抱いている評価の間にある差を埋めるのが、MBO面談の目的の一つです。

 

評価面談では、従業員の行動プロセスや目標達成の成果を、上司が評価します。このとき、上司はできるだけ客観的に、なぜそのような評価になったのか、定量的・具体的に説明することで、部下が持っている認識との差を埋めることが可能です。

 

従業員は「仕事を頑張ったのに、なぜ上司は自分を評価してくれないのか?」と感じがちなものです。

 

そこでMBO面談を行うことにより、そのような評価になった理由を知り、成果を出すためにはどのように行動したらいいのか、自分で考えるようになるでしょう。また、上司の評価に対する不満を抑えることにもつながります。

 

このように、MBO面談には上司と部下の間で評価を共有するという目的があります。

 

方向性のすり合わせ

目標設定面談には、「会社と従業員の方向性を擦り合わせる」という役割があります。

 

部下のやりたいことと、会社としてやってほしいことには、多少なりともズレがあるでしょう。そこで目標設定面談を実施することで、お互いの方向性のズレを緩和できます。

 

ただし方向性を擦り合わせる際には、目標の押しつけにならないように注意が必要です。「会社としては将来、あなたにこういうことをしてもらいたいと思っている」など、会社側の認識を示して、あくまで「話し合う」という姿勢で対応するようにしましょう。

 

さらに可能であれば、MBO面談とは別に1on1の機会を設け、部下のキャリアプランや目標などについて話すのもいいでしょう。このようにこまめに話す機会を設けることで、方向性のズレを解消しやすくなったり、従業員と会社の関係を改善しやすくなったりします。

 

とはいえ現実には、お互いの方向性を完全に擦り合わせたり、月1ペースで1on1を実施したりするのは難しいという場合もあるでしょう。そのためまずは「方向性を擦り合わせる」ことを目標に、できるところからスタートするのがおすすめです。

 

従業員のモチベーション向上

MBO面談を実施することで、従業員のモチベーション向上が期待できます。

 

しかしそのためには、評価面談で「客観的、定量的、かつ具体的に」フィードバックを行うことが重要です。慣れないうちは大変ですが、回数を重ねることで評価者側も慣れていき、フィードバックの精度が向上します。

 

フィードバックの精度が向上すると、従業員は「なぜ今回はこのような評価になったのか」「評価を上げるためには、具体的にどのような行動を起こすべきなのか」をイメージしやすくなるでしょう。

 

評価を上げるための行動を具体的にイメージできれば、仕事に前向きに取り組みやすくなり、モチベーションも向上します。

 

客観的かつ具体的なフィードバックは、難しく手間のかかるものですが、MBO面談を成功させる上で重要な要素です。これからMBOを導入する企業担当者の方は、具体的かつ定量的なフィードバックを心がけるよう、意識しましょう。

 

ここまで、MBO面談を導入する目的やメリットについて紹介しました。MBO面談を実施する目的について、理解できたのではないでしょうか。

 

しかしMBO面談の目的は分かったものの、「MBO面談を行う上で、具体的に何から始めたらよいのか分からない」という方もいるでしょう。そこで次は、MBO面談の実施手順について解説します。

 

MBO面談の実行手順

ここからは、MBO面談を実際に行う流れについて解説します。これからはじめてMBO面談を実施する企業担当者の方は、ぜひチェックしましょう。

 

なお、以下で紹介する手順は「評価面談と目標設定面談」を同時に実施する場合を想定しています。

 

1.アイスブレイク

MBO面談を実施するにあたり、まずはアイスブレイク(話しやすい雰囲気をつくること)を心がけましょう。

 

必要に応じて最初に雑談や世間話を交えることで場が温まり、話しやすい雰囲気が生まれます。MBOは「従業員に目標を決めてもらう」という性質上、堅い雰囲気のままでは従業員が萎縮し、つい厳しめな目標を設定してしまう傾向があります。

 

MBO面談では、あくまで「本人の意思で目標設定を行う」ことが大切です。場の雰囲気に流されて意図に反した目標を設定してしまわないよう、まずはアイスブレイクを心がけ、部下をリラックスさせましょう。

 

2.目標の確認とフィードバック

アイスブレイクの次は、前回決めた目標の確認と、目標を達成できたかどうかという点に関するフィードバックを行います。

 

部下と上司の間に評価のズレがあった場合は、部下に対して、どの程度自分を評価しているのか話してもらい、次は上司が部下をどのように評価しているのかを伝えます。

 

部下に評価を伝える際には、客観的かつ定量的・具体的に、なぜそのような評価になったのか伝えるのがポイントです。具体的になぜその評価になったのか、どうすれば評価が上がるのかという点を伝えることができれば、部下のモチベーション向上につながります。

 

3.目標の調整

前回のフィードバックが終わったら、次は今回達成すべき目標を設定しましょう。

 

ただしこの時、フィードバックを活かした目標になるよう調整することが重要です。フィードバックを次に活かさず、ただ単に目標設定するだけでは、本人のスキルアップにつながりません。

 

また目標を設定する際には、「目標を設定した理由と根拠」をセットで伝えてもらうことが大切です。もし目標の根拠が不十分と思われるのであれば、上司はさらにヒアリングを行い、根拠を明らかにするとよいでしょう。

 

4.目標の確定

フィードバックを活かし、根拠のある目標設定ができたら、最後に設定した目標に従業員が納得しているかどうか確認しましょう。

 

MBOはあくまで「従業員が主体的に目標を設定して取り組む」ことが重要です。しかし従業員の納得感を無視して目標を設定すると、MBOはただのノルマ管理の手法となってしまいます。

 

目標を確定する上で、従業員が納得しているか、前向きに取り組めそうかを必ず確かめることが大切です。

 

MBO面談で注意すべき4つのポイント

MBO面談で注意すべきポイントは以下の4つです。

 

・アイスブレイクを心がける

・他の従業員と比較しない

・客観的なフィードバックをする

・上司が部下の目標を管理しない

ここまでいくつかポイントを解説してきましたが、改めてここで注意点について詳細を解説します。MBO面談は注意点を守らないと、ただのノルマ管理の手法になってしまうためです。

 

基本的な点も多いですが、MBO面談の実施時に必ず守らなければいけない項目ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

 

1.話しやすい雰囲気をつくる

MBO面談を始める時には、従業員が積極的に話しやすいよう、アイスブレイクを心がけましょう。

 

MBO面談の前に簡単な雑談を挟んだり、世間話をしたりすることで、お互いの緊張感が解けて、円滑に面談を進めやすくなります。

 

2.他の従業員と比較しない

MBO面談でフィードバックを行う際には、他の従業員と比較しないよう注意しましょう。

 

客観的な根拠を述べようと、つい「ほかの人はこれぐらいタスクをこなしている」などと言ってしまいがちです。しかしほかの人と比較して目標を設定すると、一方的なノルマの押しつけになってしまいます。

 

MBOはあくまで「従業員が主体的に目標設定する」点が重要です。やむを得ず、他の従業員の実績を目安として紹介せざるを得ないケースもあるかもしれないですが、できるだけほかの人との比較で評価しないよう心がけましょう。

 

3.客観的にフィードバックする

MBO面談を実施するにあたり、できるだけ客観的なフィードバックを心がけましょう。

 

 

MBOの目的は、社員が自発的に設定した目標に向かってチャレンジして成長することです。そのため、MBO面談を行うタイミングで主観的な評価を行ったり、他の社員と比較したりすると、部下に不満や不信感を与えてしまうリスクがあります。

 

MBO面談時に部下の納得を得ながら評価を伝えるためには、「客観的かつ定量的に」フィードバックを行う点が重要です。客観的なデータを示した上で評価を伝えれば、本人も納得して受け入れやすくなります。

 

MBO面談を実施する際には、必ず客観的に評価を伝えましょう。

 

4.上司が部下の目標を管理しない

最後に、MBOにおいて上司が部下をコントロールして目標を設定させるのは、絶対にNGです。

 

MBOの目的は「従業員に主体的な目標設定を行わせ、自己成長を促す」ことです。もし一方的に上司が目標を設定したり、上司が目標設定を誘導したりすると、MBOがただのノルマ管理の方法となってしまいます。

 

MBOを導入しようと決めた理由は、「従業員に成長してもらいたい」「仕事に前向きに取り組んでもらいたい」というケースも少なくないでしょう。MBOを導入する目的をもう一度振り返り、MBOが従業員のノルマ管理の方法になってしまっていないか、再点検することをおすすめします。

 

まとめ

今回は下記のポイントを中心に、MBO面談について解説しました。

 

・MBO面談の目的は「適切な部下の目標設定とフィードバック」

・フィードバックは具体的に、定量的に伝えるべき

・MBOでもっとも大切なポイントは「部下が主体的に目標設定する」こと

MBO面談でもっとも大切な目的は、部下が主体的に目標設定を行い、納得感とともに目標達成に向けて行動してもらうことです。ここを間違えると、MBOがただのノルマ管理手法となってしまうので、十分に注意しましょう。

 

また、フィードバックを伝えたり設定目標を修正してもらう場合には、客観的、具体的かつ定量的な根拠を添えることが大切です。曖昧な指示やフィードバックは、従業員が混乱する要因になります。

 

MBOは、人事評価の基準として有用なものです。MBO面談を活用して、従業員に前向きに仕事に取り組んでもらい、成長を促していきましょう。

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