2021年5月5日公開
健康経営優良法人とは?認定基準やメリットについてわかりやすく解説
「健康経営優良法人ってどんな法人のこと?」
「認定されるにはどうするべきなんだろう」
健康経営に取り組む中でこのような疑問を感じたことはありますか?
健康経営優良法人とは、経済産業省による健康経営に取り組む法人の顕彰制度で優良と認定された法人を指します。認定にはさまざまな条件が求められますが、認定によるメリットには企業成長にとって大きな価値があります。そこでこの記事では健康経営優良法人について以下3点をまとめました。
・認定を受ける方法
・押さえておきたい注意点
詳細についても画像を用いてわかりやすく解説します。制度内容を今一度確認したい方や、申請を検討している方はぜひ参考にしてください。
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度とは、経済産業省が健康経営に取り組む法人を顕彰し、その中でも特に優れている法人を審査し、優良法人として認定する制度です。
つまり健康経営優良法人として認定を受けるには、制度へ申請を行い審査に通過する必要があります。そのためまずは健康経営優良法人認定制度の内容に関する正しい理解が不可欠です。そこで以下2つの項目について解説していきます。
・認定を受けるメリット
制度内容について正しく理解しておきましょう。
優良な健康経営を実施する法人を顕彰する制度
健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が認定する優良な健康経営を実践する法人を顕彰する制度です。
健康経営は従業員の心身の健康を維持・増進する取り組みで、実施によって生産性向上や企業の業績向上に期待できます。健康経営優良法人認定制度の設立によって、優良な健康経営に取り組む法人が「見える化」され、社会的な評価・認定を受けられる環境が整っています。
そのため企業は健康経営の実施によって業績向上に期待でき、さらには取り組みへの評価によって社会的価値の向上にも期待できるでしょう。この認定制度には、2つの部門の存在や認定される称号にも様々な種類があります。健康経営に取り組む企業は制度内容を詳しく理解しておきましょう。
法人規模に応じて2つの部門がある
健康経営優良法人認定制度には、大規模法人部門と中小規模法人部門があります。部門によって認定要件の内容は異なります。
そのためまずは自社がどちらの部門に適しているかを見極めましょう。
大規模法人部門・中小規模法人部門の区分
2つの部門における区分は以下の通りです。
・大規模法人部門:従業員数
・中小規模法人部門:従業員数または資本金の額または出資の総額が基準に相当すること
業種ごとに基準値は異なるため、表を参考に自社が当てはまる区分を探してみましょう。
健康経営銘柄とは
健康経営銘柄とは、健康経営優良法人認定制度において、経済産業省と東京証券取引所が共同で健康経営に優れた企業を選定し認定される銘柄です。
選定対象となるのは、健康経営優良法人へ申請を行った東京証券取引所の上場会社です。原則として1業種1社が選定され、認定によって健康経営を普及拡大していく「アンバサダー」のような役割が求められます。
健康経営銘柄に認定されるメリットの1つとして、株価の上昇があります。なぜなら健康経営の実践が認められることで、投資家から信頼性や将来性のある企業として評価されるためです。実際に選定企業の株価は、東証株価指数より高いまま推移していることからも大きな価値が感じられるでしょう。健康経営銘柄の認定は、社会的信用の獲得や企業イメージの向上につながります。
ホワイト500・ブライト500とは
ホワイト500・ブライト500とは、大規模・中小規模それぞれの部門において、健康経営優良法人に認定された法人のうちの上位500法人を指します。
ブライト500は中小規模法人部門における優良な上位500法人であり、健康経営優良法人2021から設定された新たな冠です。優良法人の中でも特に高い評価が得られることから価値ある冠と捉えられるでしょう。
健康経営優良法人に認定されるメリット
認定による代表的な3つのメリットがこちらです。
・企業イメージの向上
・社員のモチベーションアップ
1つずつ詳しく紹介します。
社内意識の向上
優良な取り組みを行う企業として国からの認定を受けることで、従業員の意識改革が期待できます。健康経営は心身の健康増進によって生産性向上を目指す取り組みであり、すぐさま効果や変化を得るのは困難です。
変化や成果が現れにくいと従業員にとっては、取り組みへのモチベーション維持が難しいある場合もあるでしょう。しかし取り組む姿勢や内容、小さな変化を評価されることによって、「自分の行動が認められている」と前向きに捉えられます。従業員の意識が向上されると、健康経営への取り組みもより効果的になるでしょう。
企業イメージの向上
求職者や金融機関、投資家などの社外における高い評価が得られます。社内の取り組みは外から見えにくいため、単なる実施ではなかなか評価が得られません。
その点優良法人の認定は、経済産業省からの公表やプレスリリースやホームページでの掲載などを通し、第三者機関からの評価獲得を社外に示すことが可能です。企業イメージの向上は、新たな人材の獲得や資金調達などさまざまなメリットにつながるでしょう。
社員のモチベーションアップ
優良法人の認定を得る過程において企業は効果的な健康経営に取り組むため、従業員は働きがいを感じられやすくモチベーションが高まります。
認定要件には細かな項目が設定されており、企業は現状の課題や取り組むべき事柄を把握しやすくなっています。そのため認定を目指す中で労働環境は改善され、従業員にとって働きやすい環境となるでしょう。労働環境が整った職場では意欲的な勤務が行われ、さらなる生産的向上を目指せます。
健康経営優良法人の認定を受ける方法
認定を受ける方法として、ここでは「健康経営優良法人2021」における条件やスケジュールをもとに解説していきます。条件やスケジュールはその都度異なるため、申請の際は改めて経済産業省のホームページなどを確認しましょう。
【健康経営優良法人2021】5つの認定要件
健康経営優良法人2021では、申請において認定要件を満たす必要があります。認定要件となる5つの項目がこちらです。
2.組織体制
3.制度・施策実行
4.評価・改善
5.法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)
それぞれの内容は大規模法人部門と中小規模法人部門で異なります。内容によっては必須項目や最低限満たさなければならない項目数が定められているため、部門に合わせて確認しておきましょう。
・大規模法人部門
引用元:健康経営銘柄2021選定基準及び健康経営優良法人2021(大規模法人部門)認定要件
・中小規模法人部門
引用元:経済産業省「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)認定要件」
申請時期によって要件も変更になるため、申請時には事前に確認してください。
【健康経営優良法人2021】申請から認定まで
申請から認定までのスケジュールと具体的な流れを紹介します。あくまでも「健康経営優良法人2021」における予定であるため、申請の際にはその都度確認が必要です。
【健康経営優良法人2021】全体スケジュール
申請受付から審査、発表、認定までの予定がこちらです。
申請受付には期限があるため、遅れることのないよう注意が必要です。また今後申請を検討している企業は、発表された優良法人の実施内容などを確認すると自社の取り組みの参考となるでしょう。
【健康経営優良法人2021】具体的な流れ
認定を受けるまでの具体的な流れを、健康経営銘柄と健康経営優良法人に分けて示しています。申請の前に、健康経営度調査の実施や「健康宣言」を行う必要があります。
自社が区分される部門を把握した上で、あらかじめ必要な取り組みを確認しておきましょう。
健康経営優良法人の認定における注意点
認定における注意点として以下の項目を押さえておきましょう。
・中小規模法人部門への申請には「健康宣言」を行う必要がある
それぞれ解説していきます。
法人格がない団体や個人事業主は申請ができない
申請を行う際には法人格を有していることが条件となります。具体的には、「国内法に基づく法人」であり「国税庁から法人番号が付与されている」ことが必要です。個人事業主や法人格がない場合は申請ができないので注意しましょう。
中小規模法人部門への申請には「健康宣言」を行う必要がある
健康経営優良法人の中小規模法人部門の申請には、加入する保険者が行う「健康宣言」への参加が必要です。
「健康宣言」とは、従業員の健康づくりへ取り組むことを組織自らが宣言することを指します。事業所は、健康保険組合連合会や国保組合などの保険者が実施する「健康宣言」事業に参加し、「健康宣言」を行います。
優良法人認定への申請を行った際には、認定事務局から保険者に対し「健康宣言」の参加や実施の確認が行われるため、忘れずに行いましょう。
まとめ
今回は健康経営優良法人について、3つの項目に沿って解説しました。
・認定を受ける方法
・押さえておきたい注意点
健康経営優良法人の認定を受けるためには、自社の区分における要件を満たし、適切な申請を行う必要があります。認定に必要な要件は決して容易な条件ではありませんが、取り組むことで健康経営の実現に近づきます。まずは認定要件を確認し、自社に不足している項目から取り組みを始めてみましょう。