2022年5月18日公開

ワークエンゲージメントを高めることでウェルビーイングな働き方を実現しよう!

ワークエンゲージメントが高い社員は、仕事に対して誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組む傾向があります。またある調査によれば、ワークエンゲージメントが高い人の方が幸福感を感じていることが分かりました。

 

そのため企業が個々の社員のワークエンゲージメントを高める施策を実施することで、ウェルビーイングな働き方の実現につながるだけでなく、生産性の向上や離職率の抑制などが期待できます。

 

そこでここでは下記の項目を中心にワークエンゲージメントについて解説します。

 

・ワークエンゲージメントの意味や特徴

・ワークエンゲージメントを高めるメリット

・ワークエンゲージメントの高め方

・ワークエンゲージメントを高めるために企業ができること

個々の社員のワークエンゲージメントを高めることは、一朝一夕にできないからこそ、計画を立てて実施していく必要があります。では早速ワークエンゲージメントの意味や特徴についてみていきましょう。

 

ワークエンゲージメントとは

ワークエンゲージメントとは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態を指す言葉で、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが提唱した概念です。

 

ワークエンゲージメントを構成する3つの要素

ポジティブで充実した心理状態は、活力、熱意、没頭の3つの揃った状態で、一時的な状態を指すのではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と定義されています。

 

活力:仕事から活力を得ていきいきとしている

熱意:仕事に誇りとやりがいを感じている

没頭:仕事に熱心に取り組んでいる

参考:厚生労働省令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-

 

そのためワークエンゲージメントが高い人は、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態が続いていると考えられます。

 

ちなみに株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「ワークエンゲージメント実態調査」によれば、ワークエンゲージメントが高い人たちの方が、幸福感や適応感を感じている人が多いことが分かりました。

引用元:株式会社リクルートマネジメントソリューションズが実施した「ワークエンゲージメント実態調査」

 

この調査結果から、ワークエンゲージメントは個々の社員のウェルビーイングを考える上で重要な要素だといえます。

 

ワークエンゲージメントの特徴

ワークエンゲージメントはバーンアウトの対極にある状態です。そのため、バーンアウトが仕事への態度や認知が否定的で、活動水準が低い状態だとすると、ワークエンゲージメントは仕事への態度や認知が肯定的でかつ活動水準が高い状態です。

 

ワークエンゲージメントに似た言葉に、ワーカホリズムがあります。ワーカホリズムとワークエンゲージメントは共に活動水準が高い状態です。しかしワーカホリズムは仕事への態度や認知が否定的です。そのため、ワークエンゲージメントが仕事を楽しんで取り組む状態だとすると、ワーカホリズムは仕事が楽しくない、仕方なくやっている状態だと言えます。

 

職務満足感はワークエンゲージメントと同じく、仕事への態度や認知が肯定的ですが、活動水準が低いため、仕事に没頭していない状態を指します。

 

スピルオーバーとクロスオーバー

ワークエンゲージメントを考える上で重要になってくるのがスピルオーバーとクロスオーバーです。

 

スピルオーバーとは、個人の経験したストレス反応が 領域を超えて伝播されることです。つまり、家庭、プライベートが上手くいかずストレスを感じていると、そのストレスは仕事にも及びます。そして、家族やプライベートが上手くいっていると、仕事が捗り、成果を上げやすいということです。仕事とプライベートは影響し合うということです。

 

参考:ワーク・ライフ・バランスとメンタルヘルス

 

クロスオーバーとは、ポジティブな感情やネガティブな感情が周囲に伝播することです。

 

例えば、上司のワークエンゲージメントが高いと、部下のワークエンゲージメントが高くなる傾向があります。一方でネガティブな感情が周囲に伝播するため、上司のワークエンゲージメントが低いと、部下のワークエンゲージメントが低くなる傾向があります。つまりワークエンゲージメントは互いに影響を与え合うので、注意が必要です。

 

ワークエンゲージメントを高めるメリット

企業が主体的に従業員のワークエンゲージメントを高める取り組みをするメリットは下記の通りです。

 

・生産性の向上

・離職率の低下

・顧客満足度の向上

ここではそれぞれのメリットについて解説します。

 

生産性の向上

社員のワークエンゲージメントが高いと、生産性の向上が期待できます。(独)労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(2019年)」によれば、ワークエンゲージメントスコアが高い個人ほど、労働生産性が向上していると感じる傾向が高いことが分かりました。

 

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

また、同調査によれば、ワークエンゲージメントスコアが高い個人ほど、仕事に対する自発性や他の従業員に対する積極的な支援(役割外のパフォーマンス)を行っている割合が高いことが分かりました。

 

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

この調査結果から、個々の社員のワークエンゲージメントが向上することで、生産性の向上が期待できるだけでなく、お互いに助け合いながら自律的に動くチームを作ることが期待できます。

 

離職率の抑制が期待できる

社員の定着率や離職率とワークエンゲージメントは関連性があると考えられています。(独)労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(2019年)」によると、ワーク・エンゲイジメントを向上させることが、定着率の向上や、離職率を低下させていることが分かりました。

 

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

人材不足企業でも同じ傾向がみられているため、社員の定着率や離職率が課題となっている企業は個々の社員のワークエンゲージメントを高めるための施策を行うことで、これらの問題を解決できる可能性があります。

 

顧客満足度の向上

顧客満足度とワークエンゲージメントにも関連性があることが分かっています。(独)労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(2019年)」によると、ワークエンゲイジメントを向上させることは、 顧客満足度の上昇につながる可能性があることが分かりました。

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

これらの調査結果からも、個々の社員のワークエンゲージメントを高めることは、企業にとってもメリットがあるといえるでしょう。

 

ワークエンゲージメントの高め方

ワークエンゲージメントを向上させる要因には、仕事の資源と個人の資源の2つがあります。

参考元:ワーク・エンゲイジメントに注目した組織と個人の活性化

 

仕事の資源とは具体的には下記の通りです。

仕事の資源

・上司や同僚のサポート

・仕事の裁量権

・パフォーマンスに対するフィードバック

・上司によるコーチング

・課題の多様性

・正当な評価

・キャリア開発に対する支援

仕事の資源と個人の資源は密接に関係しています。そのため仕事の資源を高めると、個人の資源も高まると考えられています。また、仕事の資源と仕事の要求度のバランスも重要です。仕事の要求度とは具体的には下記の通りです。

 

仕事の要求度

・仕事のプレッシャー

・対人関係における情緒的負担

・精神的負担

・肉体的負担

つまり、仕事の資源と仕事の要求度のバランスが取れていなかった場合、ストレスを感じやすくなってしまうため、ワークエンゲージメントが低下してしまう恐れがあります。

 

仕事の資源と個人の資源が充実し、さらに仕事の資源と仕事の要求度のバランスが取れることでワークエンゲージメントが高まり、その結果ポジティブなアウトカムに繋がると考えられています。

 

ワークエンゲージメントを高めるために企業ができること

個々の社員のワークエンゲージメントを高めることは、社員だけでなく、企業にとってもメリットがあります。そこでここではワークエンゲージメントを高めるために企業ができることについて解説します。

 

実態を把握する

ワークエンゲージメントを高めるための施策を行う際には、まずは実態把握から実施しましょう。(独)労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(2019年)」によると、企業側と社員側ではワークエンゲージメントに対する認識にギャップがあることが分かりました。

 

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

つまり、企業側が認識しているより、社員側は「働きがい」を感じることが出来ていない可能性が高いです。そのため、まずは実態を把握し、その上で必要な施策を行う必要があります。

 

ワークエンゲージメントを測定するために尺度として代表的なものがUWES(ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度)です。UWESは、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らによって開発され、活力・熱意・没頭の3つの要素に関する質問で構成されています。日本版UWESや短縮版UWESもあるため活用してみるといいでしょう。

 

日本版UWESや短縮版UWESの質問項目は下記の通りです。

 

引用元:ワーク・エンゲイジメント尺度の紹介 – 島津明人研究室

 

◉印がついている質問は短縮版UWESの質問項目です。これらの質問に対して、下記の7段階から当てはまるものを回答してもらいます。

 

 

そして、活力・熱意・没頭の3つの要素の平均値をワークエンゲージメントスコアとして算出します。

 

個々の社員の業務量を見直す

業務量が多すぎると、ワークエンゲージメントが低下する可能性があります。

 

例えば人手不足の企業は、十分な人員を確保している企業に比べると、ワークエンゲージメントスコアが低い傾向にあります。つまり人手不足の企業は、社員の業務量が多くなりすぎている可能性があり、その結果ワークエンゲージメントが低い可能性が考えられます。

 

そのため、個々の社員の業務量を見直すこともワークエンゲージメントを高める施策として有効です。仮に業務量が多すぎるような場合は、必要な人員を確保できるように努めたり、業務フローの見直しや業務をサポートするITツールなどを導入したりするといいでしょう。

 

企業の理念などや担当業務の意義を伝える

仕事の在り方を改善することも、ワークエンゲージメントを高めることにつながります。(独)労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(2019年)」によれば、企業の理念等や担当業務の意義等を理解した上で、企業の組織風土に好感をもっている人の方がワークエンゲージメントが高いことが分かりました。

 

引用元:厚生労働省『第Ⅱ部 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について

 

そのため、企業の理念などを学ぶ時間を設けたり、1on1の際に自分の仕事の意義や重要性を伝えたりするといいでしょう。

 

ワークエンゲージメントに関する研修を実施する

ワークエンゲージメントに関する研修を実施するのも有効な方法です。ここでは日本におけるワーク・エンゲイジメント研究の第一人者である慶應義塾大学総合政策学部の島津明人教授の研究室が公開している4つのプログラムを紹介します。

 

職場環境へのポジティブアプローチ

職場環境へのポジティブアプローチでは、社内で活き活きとした職場づくりを進める際に、どこから着手し何を行えば良いのか具体的に解説しています。 職場環境のポジティブアプローチの企画・実施に関わる可能性のある方向けのマニュアルです。これからワークエンゲージメントに関する施策を実施する際に、まず目を通しておくといいでしょう。

 

参考記事

職場環境へのポジティブアプローチ

 

CREWプログラム実施マニュアル

CREWプログラムは、“お互いを知るための対話”=“CREWセッション”を積み重ねていくプログラムです。CREWとは下記の略称です。

職場の人間関係にアプローチし、お互いを知り、お互いに丁寧に敬意をもって接するような関係性の構築をはかり、よりいきいきと働きやすい職場風土の醸成を目指します。

 

参考記事

CREWプログラム実施マニュアル

 

ジョブ・クラフティング研修プログラム

ジョブ・クラフティングとは、働いている方がやりがいを持って働けるように、働き方を工夫する手法です。ジョブ・クラフティング研修を実施することで、個々の社員が自分の業務に対して、自発的意義や意味を見つけることにつながり、その結果ワークエンゲージメントの向上が期待できます。

 

参考記事

ジョブ・クラフティング研修プログラム

 

思いやり行動向上プログラム

職場における思いやり行動とは、職場内で 誰かが困っていたり、忙しそうにしていた時に、自発的にその人を助けてあげることです。思いやり行動向上プログラムでは、職場内で思いやり行動が増えていくことを目的として作られたプログラムです。思いやり行動向上プログラムを実施することで人間関係や職場環境の改善が期待できるため、その結果ワークエンゲージメントの向上が期待できます。

 

参考記事

思いやり行動向上プログラム

 

具体的なプログラムの実施方法は、それぞれのマニュアルに記載されているため、社内研修などで実施する際に参考にしてください。

 

まとめ

今回は下記の項目を中心にワークエンゲージメントについて解説しました。

 

・ワークエンゲージメントの意味や特徴

・ワークエンゲージメントを高めるメリット

・ワークエンゲージメントの高め方

・ワークエンゲージメントを高めるために企業ができること

 

ワークエンゲージメントを高めることは、社員一人ひとりのウェルビーイングにつながるだけでなく、離職率の抑制や生産性の向上にもつながります。ぜひこの機会に自社でワークエンゲージメントの向上につながる取り組みを実施してみてはいかがですか?

 

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