2020年10月29日公開
SaaSとは何か?これからのビジネスにおいて知っておきたいクラウドの基礎知識
「SaaS(サース)といわれても良くわからない」
「クラウドとの違いは?」
こんな疑問ありませんか?
SaaS(サース)はクラウドの一つのカテゴリです。クラウドという言葉はよく知られています。でもSaaS(サース)といわれると良くわからなくなってしまいますよね。
実は私たちが日常生活で活用しているクラウドサービスのほとんどはSaaS(サース)に分類されます。今回は下記のポイントを中心にSaaS(サース)について解説します。
・SaaS(サース)のメリットとデメリット
・PaaS・IaaSとSaaSの違い
・SaaS(サース)を使ったサービス
この記事ではクラウドの一つのカテゴリであるSaaS(サース)について具体例を挙げながら説明するので、よかったら参考にしてください。
SaaS(サース)とは何?
SaaS(サース)とは何なのか?SaaS(サース)の基本・特徴について見ていきましょう。
SaaS(サース)の基礎知識
2006年に「クラウドコンピューティング」という言葉は、当時のGoogleの最高経営責任者(CEO)エリック・シュミットによって提唱されました。
そして、2007年ころから、クラウドコンピューティングの中でソフト・アプリを提供することをSaaS(サース)と呼ぶようになりました。
ちなみにクラウドコンピューティング=クラウドについては『クラウドとは何か?知っておきたい基本と仕事に活かす5つのメリット』の記事で解説しているのでよかったら参考にしてください。
SaaS(サース)は「Software as a Service」の頭文字をとった略語です。
日本語の直訳では「サービスとしてのソフトウェア」です。
SaaS(サース)は、ネットワークにつながったコンピュータの中にあるアプリ・ソフトのこと、またはそのサービスの提供形態を表します。
SaaS(サース)の仕組みはネットワークに繋がったサービス提供者のコンピュータの中にアプリやソフトが入っています。利用者はサービス提供者のコンピュータにアクセスして必要な機能やソフト・アプリの利用が可能です。
つまり、従来は購入していたアプリやソフトをインストールする必要がありません。SaaS(サース)を利用することで、ネットワークに繋いだパソコンやスマホから必要な機能を使えます。
SaaS(サース)の特徴
SaaS(サース)の仕組みはネットワークを通じてサービスを利用することです。そのため、SaaS(サース)ならではの特徴があります。
手軽に使える
SaaS(サース)なら、必要な機能やアプリ・ソフトはサービス提供者のコンピュータの中にあります。そのため、使いたい時には、アカウントを作ったり契約するだけで利用可能です。
インターネット上ならどこでも使える|同時に使える
SaaS(サース)はインターネット上に必要な機能やアプリ・ソフトがあります。
インターネット上であれば、どの端末からでもSaaS(サース)にアクセスが可能です。つまり、自分の端末からでなくてもアクセスできます。
また、SaaS(サース)を利用するとデータの共有も簡単にできます。同時に同じデータにアクセスも可能です。さらにデータを編集すると編集箇所はすぐに同期・反映されます。
例えば、Googleカレンダーを利用してスケジュール管理する場合、一人がスケジュールを入れたら別の人が別のデバイスで反映したスケジュールの確認が可能です。
このようにSaaS(サース)を利用したサービスは、グループで作業する時にも重宝します。
SaaS(サース)の種類
SaaS(サース)のタイプによって2つに分類できます。
Horizontal SaaS(ホリゾンタル・サース)
Horizontalは「水平・横向き」を意味します。
Horizontal SaaS(ホリゾンタル・サース)は、幅広い分野で活用できる汎用型のSaaS(サース)のことです。専門分野に特化した機能はありません。異なる業界・異なる目的のために使える汎用的なツールを提供するのがHorizontal SaaS(ホリゾンタル・サース)です。
・クラウド上で動作するオフィスソフト:Office 365
・クラウドでスケジュールを管理する:Google カレンダー
・会計・人事クラウドサービス:人事労務freee
これらがHorizontal SaaS(ホリゾンタル・サース)です。
Vertical SaaS(バーティカル・サース)
Verticalは「垂直・縦方向」を意味します。深い範囲という解釈です。
Vertical SaaS(バーティカル・サース)は、専門分野に特化したSaaS(サース)です。つまり、「医療業界」とか「製造業界」など専門分野に最適化したシステムを提供します。
・医療関係のSaaS:Veeva
・損害保険のSaaS:Guidewire
・製造業のSaaS:Infor
これらがVertical SaaS(バーティカル・サース)です。
SaaS(サース)とASP
ASPもSaaS(サース)もネットワークを通じてサービスを提供する形態、またはそのサービス・ソフトそのものを表す同じ意味の言葉です。SaaS(サース)とASPの成り立ちを説明します。
1960年代からコンピュータ上にあるソフトを遠隔利用するサービス形態がありました。企業は会計・在庫管理システムなどを高いコストを支払って遠隔利用していました。PCが普及して導入コストが下がったため会社が自前でシステムを構築するようになりました。
1990年代になって通信環境が整備されてくるとインターネットを通じてソフトを提供するようになります。
1998年ころからこうした事業者・サービスのことを「ASP」(アプリケーション・サービス・プロバイダ)と呼ぶようになりました。
そして、2006年クラウドコンピューティングという言葉が定義され、その中でSaaS(サース)(サービスとしてのソフト)という言葉が生まれました。
つまり、ASPとSaaS(サース)は同じ意味の言葉です。
SaaS(サース)はクラウドコンピューティングが提唱された後に生まれたより新しい言葉だと言えます。
SaaSとPaaSやIaaSとの違い
クラウドはSaaS(サース)の他にPaaS(パース)・IaaS(アイアース)の3つに分けられます。クラウドをより深く理解するためにそれぞれの特徴を比較しましょう。
クラウドに関しては、こちらの記事を参考にしてください。
IaaS(アイアース)
IaaS(イアース、アイアース)とは、「Infrastructure as a Service(サービスとしてのインフラ)」の略です。
仮想化技術を活用してサーバー・ネットワーク・OS・ストレージなどのIT環境を提供するクラウドサービスのことをいいます。OSなど何も入っていない空のコンピュータを提供するイメージです。
SaaS(サース)を開発するためのプラットフォームから構築します。自由度が高く拡張性にも優れています。ビジネス規模の拡大にも柔軟に対応できますが、専門知識が必要です。
PaaS(パース)
PaaS(パース)とは「Platform as a Service(サービスとしてのプラットフォーム)」の略語です。ソフトウエアを開発するための環境を提供します。OSやWEBサーバー・アプリケーションサーバなどのミドルウエアが構築されたコンピュータを提供するイメージです。
SaaS(サース)を開発するためのプラットフォームを借りる形態です。プラットフォームの構築が必要ありません。システム管理のコストと時間もかかりません。SaaS(サース)の開発に集中できるシステムです。
ちなみに、IaaSとPaaSは、このようにイメージすると、より理解しやすいでしょう。
オリンピックを開催するために既存の競技場を活用する→ PaaS(パース)
SaaS(サース)のメリットとデメリット
SaaS(サース)には多くのメリットがありますが、知っておきたいデメリットもあります。ここでははSaaS(サース)のメリットとデメリットを説明します。
SaaS(サース)のメリット
SaaS(サース)のメリットは3つです。
SaaS(サース)の3つのメリット
・導入する負担が少ない
・管理する必要がない
・システムがアップデートしていく
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
導入する負担が少ない
クラウドサービス全体のメリットでもありますが、まず初期投資が必要ありません。
ネット上にソフトやアプリがあるので設備投資・システムの構築が最小限ですみます。このように時間とコストの負担軽減が可能です。
管理する必要がない
インターネットでアクセスすれば常に最新状態のソフト・アプリを使用できます。
ソフトの管理はサービス提供者が行います。会社でSaaS(サース)を導入した場合、セキュリティ・管理部門に人・時間・コストなど資源を割かなくていいのはメリットです。
システムがアップデートしていく
自社で構築したシステムは最適化されているため使いやすいですが、大きく進化しません。SaaS(サース)の場合は、提供先のさまざまなユーザーからのニーズを受けてシステムがアップデートしていきます。
このようにSaaS(サース)を利用することで、たくさんのニーズを反映したシステムを利用できます。
SaaS(サース)のデメリット
SaaS(サース)のデメリットは3つです。
SaaS(サース)の3のデメリット
・自由にカスタマイズできない
・インターネットありきのサービスなので通信障害などに弱い
・データの保存は人任せ
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。
自由にカスタマイズできない
SaaS(サース)のサービスは提供されているものを利用するので、自分の使い勝手に合わせて変更できません。
SaaS(サース)を導入したのに効果が感じられなかったということがないように目的にあったSaaS(サース)を選ぶ必要があります。
インターネットありきのサービスなので通信障害などに弱い
通信障害の時にはSaaS(サース)に接続できないので、システム自体が使えなくなってしまいます。通信環境に関しては対策しようがありません。
もし通信障害に備えるとしたらプライベートクラウドを構築する必要がありますが、コストがかかるのでSaaS(サース)導入のメリットが薄れてしまいます。
データの保存は人任せ
データの管理はSaaS(サース)提供者であり、データ管理の専門家に預けるので安心です。
信用問題がありますので、最大限の注意を払ってデータを保存してくれます。
しかし、契約内容によりますがトラブルがあっても責任をとってはくれません。失ったデータは帰ってこないので、本当に大切なデータは自分で管理が推奨です。
SaaS(サース)を活用したサービス
SaaS(サース)を活用したサービスは私達も利用しているものがたくさんあります。
ここでは具体的なサービスを紹介します。
Dropbox
Dropboxはオンラインストレージサービスです。
主要なOSをサポートしてブラウザ版・モバイル版もあるのでインターネットに接続したすべてのデバイスで利用できます。データを保存・共有する目的に最適です。
例えば 、Dropboxを使えばPCとクラウドでデータを同期して、スマホでもそのデータにアクセスできます。
TwitterはSNSです。ツイートと呼ぶ短い文章や画像・リンクを貼って投稿できます。広い範囲に情報が拡散するのが特徴です。
自分が興味ある投稿にリツィートしたりフォローすることで手軽に気の合う人と繋がります。
全世界に広がるTwitterのデータ管理には、クラウドが使用されています。
office365
Office365ドキュメント編集オンラインツールです。
Microsoftが提供している「Word」・「Excel」などのOfficeソフトをインターネット上で利用できます。料金は月額定額制です。作成したデータはクラウド上で管理されさまざまなデバイスからアクセスして編集できます。
Gmail
GmailはWEBメールサービスです。通常のメールソフトでできることがブラウザでできます。
Googleアカウントを開いてインターネットに接続していればいつでもどこでもどのデバイスでもアクセスしてメールの送受信ができます。
まとめ
SaaS(サース)はネットワークを通じてソフト・アプリを利用できるクラウドサービスの一種です。
この記事ではSaaS(サース)について下記の6項目について説明しました。
・SaaS(サース)の特徴・種類
・クラウドの3つのカテゴリー
・SaaS(サース)のメリットとデメリット
・SaaS(サース)を活用したサービス
SaaS(サース)は自由なカスタマイズ性はないものの目的にあったものを選べば大きなメリットを享受できます。この記事を参考にして自分にあったSaaS(サース)を活用して下さい。