2020年10月29日公開
KGIとは何か?意味や使い方を詳しく解説
「KGIについて理解を深めたい」
「弊社でもKGIを活用したい」
このように考えている企業担当者の方へ向けて、本記事ではKGIの意味や使い方について、下記のポイントを中心に解説します。
・KGIを設定するときには注意すべきポイントがある
・KGIの達成には、KPIやKSFといった概念も重要になる
KGIを設定すれば、社員のモチベーション向上や業務の見える化といったメリットを享受できます。この機会にKPIを設定し、組織力の向上を目指してみませんか。
目次
KGIとは?利用するメリットを紹介
KGI(Key Goal Indicator)とは、「重要目標達成指標」と呼ばれるマネジメント用語の一つです。
簡単に言い換えると、「組織(会社)が目指すべき最終的なゴールを、具体的に設定しよう」という概念のことをいいます。
経営理念などは会社の目標や理想を掲げているものの、具体的にどのような状態がゴールなのかイメージしにくいです。
一方で、KGIなら達成すべきゴールを具体的に明示するため、具体的なゴールのイメージや達成に必要なことをイメージしやすいというメリットがあります。
KGIとは「達成すべき目標」のこと
KGIとは「重要目標達成指標」、つまり達成すべき目標そのものです。KGIの一例としては、下記のような例が挙げられます。
KGIの導入例
・1年後に1日当たりの店舗来場者を、いまの2倍にする
・半年後のECサイトからの売り上げを、前月の1.5倍にする
・レストランの売り上げを、1年後に今月の2倍にする
KGIを設定する時に重要なことは、目標をできるだけ具体的に、定量的にすることです。
上記のKGI導入例でいうと、「いつ」と比較して「いつまでに」「どれだけ」数字をのばすのかを明確にすることが、KGIを設定するうえで重要なポイントです。
KGIを導入するメリット
KGIを導入するメリットは、下記の通りです。
KGIを導入するメリット
・社員のモチベーション向上
・組織力の強化
・業務の見える化
具体的にどのようなメリットがあるのか、下記で詳しくご紹介します。
社員のモチベーション向上
KGIを設定すると、社員のモチベーション向上が期待できます。
仕事の目標が曖昧になればなるほど何をすべきか分からず混乱し、モチベーションの低下につながります。そこでKGIを導入することで、目標を明確化し、社員のモチベーションや士気を上げる効果が期待できるでしょう。
ただし達成すべき目標があまりに過酷だと、モチベーションアップの効果が現れないこともあります。
「少し頑張れば、なんとか達成できるだろう」と思える目標を設定することが、社員のモチベーション向上につながります。
組織力の強化
組織内で同じ目標を共有することは、組織力の向上にもつながります。
例えばKGIが「前年より純利益を10%増やす」であれば、営業・総務・経理・工場ともに一丸となって同じ目標に向かって頑張るきっかけになります。
「KGIを達成する」という目標を社内で共有するため、従来よりも部署間の連携がスムーズになる効果が期待できます。
業務の見える化
KGIの設定は、業務の見える化を促進するきっかけになります。
「売り上げを10%増やす」「純利益を10%増やす」といったKGIを達成するためには、個々の社員がいま何をするべきか、業務内容を明確にする必要があるでしょう。
「KGIを達成するには、日々の仕事で何を達成する必要があるのか」を考えることでKGI達成に必要な要素を抽出します。それを日々の業務に落とし込む過程で業務の見える化が進み、KGIを達成しやすくなるでしょう。
KGIと関係の深い用語
KGIを導入・達成するためには、「KSFの洗い出し」や「KPIの設定」といったプロセスが必要です。これらの用語はKGIとも関係性が深く、目標達成するために、理解しておくといいでしょう。
そこで下記では、KGIと関係の深い用語について詳しくご紹介します。
KPI
KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指数」のこと。簡単に言い換えるとKPIは、「KGIを達成するために何をすればよいのか」というプロセスを明確にした指標です。
たとえばKGIが「売り上げを前月比10%アップ」なら、KPIは「新規開拓を1日3件おこなう」「すべての既存顧客に、新しい商品の売り込みをかける」といったことが考えられます。
KPIについてより理解を深めたい人は、こちらの記事も参考をしましょう。
KSF
KSF(Key Success Factor)とは「所要成功要因」のこと。簡単に言い換えるとKSFは、「KGIを達成するためには何が必要か」「KPIには何を設定すべきか」を決めるための要素です。
たとえばKGIが「純利益の前年比10%アップ」の場合、KSFには「仕入原価の削減」「売上高のアップ」という要素が挙げられます。
これらのKSFをもとに「仕入原価の前年比〇%削減」「売上高の前年比〇%アップ」というKPIを設定。こうすることで、KGIの達成可能性を高めることができます。
KSFについてより詳しく理解したい人は、こちらの記事もチェックしてみましょう。
OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、「達成すべき目標と、目標達成のための主要な成果」と訳されます。
「目標(ゴール)を決めて、達成するために必要なことを考える」という意味ではKGI・KPIとOKRは似たような概念です。
OKRについてより詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてみましょう。
KGIの導入手順
「KGIをさっそく導入してみたい」と考えている企業担当者の方へ向けて、下記ではKGIの導入手順についてご紹介します。
今回は、レストランの経営を例にして、具体的なKGIの導入方法を解説します。
KGIの設定
まずはKGIを設定しましょう。KGIを設定する時に気を付けるべきポイントは、下記の3つです。
(営業利益〇%アップ、売上高〇臆円達成など)
・現実的に達成可能な目標か
(売り上げを前年比の10倍にする、など達成困難な目標は避ける)
・比較基準は明確になっているか
(前年比、前年比など比較基準が明確になっているか)
レストランの経営であれば、「前年同月比と比較して、売上高を10%アップさせる」などがKGIとして適切です。
KGIの設定ができたら、次はKSFを設定しましょう。
KSFの決定
KSFは、「KGIを達成するにはどのような要素を重視するか」を洗い出すことで発見できます。
「前年同月比で売上高を10%アップ」をKGIに設定しているレストランであれば、KSFには下記の要素が挙げられます。
・席の回転率を上げて、1日当たりの客数を増やす
・ランチメニューを強化して集客力を上げる
KSFの洗い出しが終わったら、次はKPIを設定しましょう。
KPIを設定
洗い出したKSFに基づいて、KPIを設定しましょう。
KGIを「前年同月比で売上高を10%アップ」に設定しているレストランで、洗い出したKSFをもとに設定するなら、下記のようなKPIが挙げられます。
・商品の〇%値上げ、またはセットメニューを充実させて客単価を〇%引き上げる
・席の利用時間を1時間までに制限する
(1日で1席〇グループ以上が席を利用できるようにする)
・ランチメニューを増やして客単価を上げる
(またはランチメニュー提供時間を延ばして集客力を上げる)
上記の例はあくまで例えですが、このようにKGIを導入することで目標達成率のアップを期待できます。
KGI導入の失敗例
最後に、KGI導入の失敗例でよくある共通のポイントをご紹介します。KGI導入に失敗するケースの多くは、下記3つのどれかに当てはまっているケースが多いです。
・KGIの実現可能性が低い
・KGIとKPI・KSFの関連性が低い
具体的にどういうことなのか、下記で具体的に解説します。
KGIが定量的に設定されていない
KGIの設定ミスで多いパターンが、目標が定量的に設定されていないこと。
目標が具体的に設定されていないのでKPI設定もうまくできず、「なんとなくやっている感」だけが残ります。
KGIは定量化できるもの、かつ比較する対象や期間を明確にして設定しましょう。
設定したKGIの実現可能性が低い
すぐに達成できる目標も良くないですが、高すぎる目標をKGIに設定することもおすすめできません。
現状を無視した目標設定やあまりに無理な目標をKGIにすると、早い段階で「このKGIは達成不可能だ」と分かってしまい、従業員のモチベーション低下につながります。
KGIは「もう少し頑張れば100%達成できそうな目標」を設定することが大切です。
KGIとKPI、KSFの関連性が低い
KGIとKPI・KSFの関連性が薄いことも、KGI導入の失敗例によくあるパターンです。
KGIとKPI・KSFの関連性が薄いパターン
・KGIが「売り上げを〇%伸ばす」のに対して、KPIは「仕入価格の低減」となっている。
・KGIが「クレーム件数を前月比〇%以下にする」のに対して、KPIは「コールセンターのマニュアルを充実させる」などズレている。
KGIを導入する時はKPIとKSFのつながりが十分にあるか、どこかで論理の飛躍がないか、十分チェックしましょう。
まとめ
今回は下記のポイントを中心にKGIについて解説しました。
・KGIを導入するならKPIやKSFについて理解する必要がある
・KGIには共通の失敗パターンがある
KGIを導入すれば、組織力の強化や社員のモチベーションアップなど様々なメリットを享受できます。
ただし、KGIを設定する時は、できるだけ目標を定量的かつ明確にする必要があります。またKGI(目的)とKPI(手段・方法)の関連性が薄いと、KGIのメリットをうまく活かせないので注意が必要です。
「業務効率を向上させたい」「組織の団結力をあげたい」と考えているなら、この機会にKGIを活用したマネジメントを行ってみてはいかがでしょうか?