中小企業が2025年の崖に向けて、まず取り組んでいきたいことは?

経産省が2018年に発表した『DXレポート』の中で、2025年以降に起こり得るリスクについて言及されたことで、「2025年の崖」という言葉が注目を集めました。このリスクを避けるためには、中小企業でもDXの推進が欠かせません。

 

しかしながら2020年12月に発表された『DXレポート2』によれば、95%の企業はDXにまったく取り組んでいないか、取り組み始めた段階である点が明らかになりました。そこで今回は、2025年の崖やその対策について下記の項目を中心に解説します。

 

・2025年の崖の意味とその要因

・中小企業がDXを進めるための3つのアクション

・DXの推進を成功させるための3つのポイント

まずは2025年の崖の意味とその要因について確認しましょう。

 

2025年の崖とは

2025年の崖とは、経産省が2018年に発表した『DXレポート』の中で指摘したもので、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムをそのままにしておくことで、2025年以降、年に最大12兆円の経済損失が生じるリスクのことです。

 

引用元:DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

 

レガシーシステムにかかるコストの増大が、このような危機が起きる要因として考えられます。

 

レガシーシステムとは、古くなった技術や仕組みをもとに構築された基幹システムです。多くの企業では、メンテナンスを繰り返しながら長年同じ基幹システムを使い続ける中で、システムが肥大化・複雑化し、ブラックボックス化しています。

 

そのため、これらの保守点検費用が増大するだけでなく、団塊の世代の退職にともない、レガシーシステムを維持するエンジニアも不足しつつあります。つまり、既存の基幹システムを維持し続けるだけで、多くのコストが企業にのしかかる恐れがあるのです。

 

今後、市場のデジタル化が進んでいくと考えられます。『DXレポート』の中では、従来のサービス市場とデジタル市場の割合が、2017年の9:1から2025年には6:4になると予測されています。つまり既存のシステムを使い続け、システムを刷新できなければ、競争力が低下するだけでなく事業機会を失う結果に至る可能性があるのです。

 

これらの理由により、2025〜30年において、年に最大12兆円の経済損失が生じると推定されています。『DXレポート』は、これらの問題に対して警鐘を鳴らすだけでなく、2025年の崖を超えるためにはDXの推進が必須だと提言しています。

 

参考元:DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~

 

中小企業がDXを進めるための3つのアクション

2018年に経産省が『DXレポート』を発表したことで、DXへの注目が集まりました。しかし2020年12月に発表された『DXレポート2』によれば、95%の企業はDXにまったく取り組んでいないか、もしくは取り組み始めた段階だと明らかにされました。

 

そこで経産省は、企業がDXに向けた具体的なアクションを設計できるように、DXを「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つの段階に分解して定義しました。

 

参考元:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 DXレポート2

 

デジタイゼーション

デジタイゼーションとは、アナログ・物理データをデジタル化することです。そのため既存の業務プロセスの変更には着手せず、アナログデータをデジタルデータに変換します。具体的には下記の通りです。

 

・紙資料のデジタル化

・情報管理のクラウド化

・RPAの導入

・社内コミュニケーションツールの導入

デジタル技術を活用してこれらの取り組みを実施することで、業務効率化やコスト削減が期待できます。またこれらの取り組みをサポートするサービスを導入することで、デジタイゼーションを実現できます。

 

『DXレポート2』では、デジタイゼーションから順に取り組む必要はないとされています。しかし、これらの取り組みをサポートするサービスも数多く登場しているため、デジタイゼーションから実施するのが現実的でしょう。

 

デジタライゼーション

デジタライゼーションとは、個別の業務・製造プロセスのデジタル化です。自社内だけでなく、外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体をデジタル化することで、組織全体のビジネスモデルを一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより適した方法を構築します。具体的には下記の通りです。

 

・インターネットサービスを利用して、タクシーを配車するアプリ

・Web上でドラマや映画を配信するサブスクリプションサービス

・IoTやロボットの活用による業務全体のオンライン化

・CRMやSFAツールを活用した、顧客に対するフォロー体制の構築

つまりデジタライゼーションは、デジタイゼーションと異なり、ビジネスプロセスを変革し、それによって新たな利益や価値を生み出す機会を創出することだといえます。

 

デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供や新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取り組みを指す概念です。つまりデジタルトランスフォーメーションとは、ビジネスモデルだけでなく、業務の進め方・組織体制・企業風土などを変革し、競争上の優位性を確立することを指します。

 

そして企業が競争優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ、素早く変革し続ける能力を身に付けることが重要です。

 

参考記事:DXデジタルトランスフォーメーションとは何か?コンサルタントが分かりやすく解説

 

DXの推進を成功させるための3つのポイント

ここでは、DXの推進を成功させるためのポイントについて解説します。

 

企業がまずは取り組むべきアクションから着手する

『DXレポート2』では、DX推進に向けた対応について、コロナ禍でも従業員・顧客の安全を守りながら事業を継続するために、企業が直ちに取り組むべきアクションとして提案しています。

 

DX推進に向け直ちに取り組むべきアクション

これらの取り組みを実施する際には、市販されている製品・サービスの活用を検討するといいでしょう。また迅速かつ全社的に導入するためには、経営トップのリーダーシップが重要です。

 

参考:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 DXレポート2

 

DXの推進は必須だという社内の空気感を醸成する

DXを推進するには、業務を単にデジタルに置き換えるだけでなく、ビジネスモデルや組織文化の変革が必要です。

 

例えば、端末やデータの社外持ち出しを全面的に禁止するセキュリティポリシーや、リモートでの勤務を認めない就業規則など、社内での執務のみを前提にした制度や慣習を変革するには、社員の協力が欠かせません。

 

最初は特定の部署だけで行う取り組みだったとしても、最終的には全社を巻き込んだものに発展していきます。だからこそDXを推進する上で、「DX推進は必須だ」という社内の空気感を醸成する必要があります。

 

参考:総務省『令和3年情報通信白書 第1部デジタルで支える暮らしと経済』

 

IT人材確保

日本の企業は、基幹システムの開発をベンダー企業に任せているケースが多いでしょう。しかしその結果、自社内にITのノウハウが蓄積されず、システム開発を自社内で進められないのが現状です。より柔軟かつ迅速に対応するためには、社内にIT人材の確保が欠かせません。

 

IT人材を確保するためには、ジョブ型人事制度を拡大したり、副業や兼業を行える環境を整えたりすることが有効です。また既存の社員が常に新しい技術を学ぶ意欲を持てるように、専門性を評価する仕組みやリカレント学習の仕組みを導入するといいでしょう。

 

まとめ

今回は、2025年の崖やその対策について下記の項目を中心に解説しました。

 

・2025年の崖の意味とその要因

・中小企業がDXを進めるための3つのアクション

・DXの推進を成功させるための3つのポイント

2025年の崖に向けて、中小企業でもDXの推進が欠かせません。成功させるためには、全社的な取り組みや改革が必要となるため、経営トップのリーダーシップが鍵を握るでしょう。

 

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