2022年10月25日公開
セールス・イネーブルメントの基本ー意味やメリット、導入時の課題などを解説ー
営業の現場では、ずば抜けた成果を出せる人もいれば、まったく成果を上げられない人もいます。それだけでなく、成果を上げている担当者がいたとしても、そのノウハウに再現性がなく、組織全体の営業力が底上げできないという問題を抱えるマネージャーも多いでしょう。
さらにはテクノロジーやAIの発展によりMAやSFAなどのサービスを活用しやすくなったことや、新型コロナウイルス流行によりオンライン化への移行が進んだことで、今まで以上に顧客情報を効率的に収集できるようになりました。しかしその一方で、ITシステム・ツールの導入が目的になってしまい、顧客データを活用できていないケースも多いのではないしょうか?
セールス・イネーブルメントは、これらの問題を解決する手段として注目を集めています。そこで今回はセールス・イネーブルメントについて、下記の項目を中心に解説します。
・セールス・イネーブルメントの意味や従来の人材育成との違い
・セールス・イネーブルメントのメリット
・セールス・イネーブルメント導入時の課題
・セールス・イネーブルメント導入を支援するTOiTOiとTENPiNとは
では早速、セールス・イネーブルメントの意味や従来の人材育成との違いについて、みていきましょう。
目次
セールス・イネーブルメントとは
セールス・イネーブルメントは、営業担当部署全体のパフォーマンスを向上させ、組織力を強化する手法として、日本でも注目を集めつつあります。
日本におけるセールス・イネーブルメントの第一人者でもある山下貴宏氏は、著書『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』(かんき出版)の中で、セールス・イネーブルメントを下記のように定義しています。
「成果を出す営業社員を輩出し続ける人材育成の仕組み」
営業における成果とは、営業目標の達成です。つまりセールス・イネーブルメントとは、営業担当者が営業目標を達成できるようになる仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
それゆえセールス・イネーブルメントでは、人材の育成だけでなく、SFA・CRMといったITツールの活用などによって営業活動の属人化を防ぎ、組織力の強化を図ります。
従来の人材育成との違い
セールス・イネーブルメントでは、営業担当者の育成が重要な位置を占めます。営業担当者を育成する際には、座学による新人研修後にOJTを実施するのが一般的です。しかし、配属後のフォローは現場任せになってしまうため、OJTの担当者の力量によって個々の営業担当者の成果が左右されます。また研修が成果につながっているのか効果測定を行うケースも少ないでしょう。
一方でセールス・イネーブルメントでは、MA・SFA・CRMといったツールで収集した顧客情報に基づいて、営業の現場が中心となり営業に特化した体系的なプログラムを作成します。そして新人に限らず、営業担当者全員に対して研修やトレーニングを実施します。さらに研修によって、各営業担当者が成果を出せているかについて効果測定も行います。
従来の人材育成とセールス・イネーブルメントとの違いは、以下のようにまとめられます。
セールス・イネーブルメントは、従来の人材育成とは異なり、現場主体で全営業担当者を対象に研修やトレーニングを実施するだけでなく、効果検証と改善を繰り返す仕組みなのです。
そして、これらの取り組みによって、全ての営業担当者が営業目標を達成できることを目指します。
セールス・イネーブルメントのメリット
欧米ではセールス・イネーブルメントを導入している企業が増えていますが、日本では導入している企業がまだ少ないのが現状です。ここではセールス・イネーブルメントのメリットについて解説します。
営業力と組織力の向上
セールス・イネーブルメントで重きを置かれているのが育成です。セールス・イネーブルメントでは、営業活動における成果を起点に育成プランを作成し、効果検証を実施しながらPDCAサイクルを回します。これにより、従来の人材育成に比べると、成果が出やすい仕組みになっています。
成果が出ている人の知識や経験、成功事例をベースに育成プランを作成するため、属人化してしまいやすい営業のノウハウがチーム内で共有されるでしょう。これらの理由から、セールス・イネーブルメントを導入することで個々の担当者の営業力が向上し、その結果、組織力の向上を期待できます。
成果を可視化
営業の成果を起点とする育成プランを作成するセールス・イネーブルメントでは、育成への投資がどの程度成果につながったか検証することを前提として実施します。そのため、成果を可視化できるようになるのです。多くの企業では育成施策に対する投資効果を計測せず、研修しただけで終わっているでしょう。
しかし、投資効果を計測することで、より投資効果が高い施策を見極めたり、成果の出ない施策は取り止めたりできます。それによって育成予算を効果的に使えるようになるでしょう。
データ活用による営業活動の全体最適化
セールス・イネーブルメントでは、SFA・CRMといったITツールで収集した顧客データを活用します。社内に点在している顧客データを統合し、共有します。これにより、例えばマーケティング部がセミナーやWeb広告などで獲得した見込み客に対して、営業部がフォローできず受注できないといったケースを防ぐことに繋がるでしょう。
このように、社内にある顧客データを活用し、営業部と他部署との連携や営業プロセスの見直しにより、営業活動の全体最適化を図ります。
セールス・イネーブルメント導入時の課題
株式会社ブレーンバディが実施した「セールス組織に関する調査レポート」によれば、71.3%が「セールス・イネーブルメントが自社の営業課題を解決するために効果がある」と回答しています。
引用元:株式会社ブレーンバディ「セールス組織に関する調査レポート」
また71.8%が「セールス・イネーブルメントが将来必要になる」と答えています。このように今後、特に新規の法人営業ではセールス・イネーブルメントが必要不可欠になっていくでしょう。
引用元:株式会社ブレーンバディ「セールス組織に関する調査レポート」
しかしながらセールス・イネーブルメントを導入する際には、育成や営業プロセスなど、営業に関するあらゆる業務の見直しが必要です。そのため仕組みを作り、成果を出すまでには時間がかかってしまう恐れがあります。仮に自社において顧客情報の収集や統合ができていなければ、それらを管理するシステムの導入を検討する必要もあります。
また、新しい営業プロセスやシステムが現場に浸透するまでは、一時的に作業負荷が増し、業務過多が発生します。そのためセールス・イネーブルメントを実施する際には、一定の準備期間を設け、現場の理解を得てからスタートするようにしましょう。
具体的な施策については下記の記事で紹介しているので、参考にしてください。
セールス・イネーブルメント導入を支援するTOiTOiとTENPiNとは
株式会社ロジック・ブレインのクラウドHRMシステムTOiTOiと、クラウドCRMシステムTENPiNなら、セールス・イネーブルメントの導入サポートが可能です。
TOiTOiは、社員の個性をAIで分析して行動傾向を把握し、それぞれの特性に合わせて最適なマネジメントを支援します。具体的には、以下のような機能の利用が可能です。
上記の分析結果だけでなく、ビッグファイブ診断や1on1の記録なども一元管理できます。それにより、営業担当者の育成をサポートします。
TENPiNは、顧客の個性・性格・意思決定の傾向をAIで導き出し、顧客との最適なコミュニケーションを提案します。それにより営業ノウハウの属人化を防ぎ、顧客の立場に立った営業プロセスの構築やコンテンツの作成を支援します。
TOiTOiとTENPiNの導入時には、ロジック・ブレインの認定を受けた認定パートナー、トレーニングパートナー、コンサルティングパートナーが、問題解決までしっかりとサポートします。
まとめ
今回は下記の項目を中心に、セールス・イネーブルメントについて解説しました。
・セールス・イネーブルメントの意味や従来の人材育成との違い
・セールス・イネーブルメントのメリット
・セールス・イネーブルメント導入時の課題
・セールス・イネーブルメント導入を支援するTOiTOiとTENPiNとは
セールス・イネーブルメントは、各営業担当者の底上げと組織力の強化を図りたい場合に最適な手法です。今後、特に新規の法人営業ではセールス・イネーブルメントは必要不可欠になっていくでしょう。株式会社ロジック・ブレインのTOiTOiとTENPiNなら、営業担当者の育成だけでなく、顧客情報の活用までサポートします。もしご興味があれば下記よりお問い合わせください。