2021年12月9日公開
フィードバックとは?定義や目的、現場ですぐに使えるフレームワークまで解説
すでに日々の業務でフィードバックを実施していると、以下のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
適切にできているのか?
成果が出ているのか?
そこでこの記事では、下記の項目を中心にフィードバックの基本について解説します。
・フィードバックの定義や目的
・フィードバックのやり方
・フィードバックで使えるフレームワーク
・フィードバック実施時の8つのポイント
では、早速フィードバックの定義や目的について確認しましょう。
フィードバックとは
フィードバックの定義や目的に加え、効果、コーチングやティーチングとの違いについて解説します。
フィードバックの定義
フィードバックとは、もともと工学用語です。出力値が目標値に届くように、結果を入力側に戻すという意味で使われます。
そしてその意味が転じて、ビジネスシーンでは、相手の行動や成果に対して、改善点や評価点を伝えることで軌道修正し、より良い結果へ導くための手法を指すようになりました。
フィードバックの目的
フィードバックを行うことで、目標達成を支援したり、成長を促したりすることが可能です。それゆえ多くの企業では、業務中にフィードバックが行われています。
ここではフィードバックの目的について解説します。
目標達成を支援
フィードバックとは、相手の行動や成果に対して改善点や評価点を伝え、それにより相手の行動を軌道修正します。特に、目標に向けて間違った努力や行動を続けている場合に、有効な手法です。
例えば、目標に向かって行動しているが成果が出ない人がいた場合、フィードバックにより、成果が出る行動をするように促します。それによりフィードバックを実施しなかった場合に比べると、目標達成できる可能性が高まるでしょう。
また、フィードバックを繰り返すうちに、自然と成果が出る行動を選択できるようになるという結果も期待できます。
人材育成
上司と部下の間で、フィードバックを定期的に実施することで、上司は部下の問題や課題を把握しやすくなります。それだけでなく、フィードバックを受けた部下も、自分の行動に対して振り返りを行うことで、自分自身で改善点に気がつくきっかけにもなるでしょう。
このような理由からも、適切かつ定期的にフィードバックを行うことで、部下の成長を促すことが可能です。
モチベーションやパフォーマンスの向上
定期的に上司からフィードバックを受けることで、部下は上司が自分のことをしっかり見てくれていると感じられるようになるでしょう。
フィードバックを受けて部下が自分の良い点を知ることで、「自分はできる」という自己肯定感につながり、自信が生まれます。その結果、モチベーションの向上が期待できます。
フィードバックとコーチングとの違い
フィードバックとコーチングは、混合されやすいですが別物です。
コーチングとは、クライアントが自分で思考し行動する習慣を身につけるための会話スキルを指します。さまざま角度から質問することで、自分の内面と向き合い、考えを整理し、自発的に行動できるよう支援するのが目的です。
つまりフィードバックは、コーチング中にクライアントに気づきを与え、自発的な行動を促すために使われる手法の一つだといえます。
フィードバックとティーチングとの違い
ティーチングとは人に教える技術です。ティーチングは、対象者に対して知識を伝えたり、アドバイスしたりする行為を指します。
ティーチングで教えたことができているかどうか確認し、できていない場合にフィードバックを行うことで、できるように軌道修正が可能です。
このようにフィードバックとティーチングでは、伝える内容や実施するタイミングが異なります。
フィードバックのやり方
ビジネスの現場では、上司から部下に対してフィードバックを行うケースが多いでしょう。ここでは、フィードバックの流れや種類について解説します。
フィードバックと構成する3つ要素
フィードバックを実施する際には、下記の流れを意識して行うといいでしょう。
上記の流れで実施することで、スムーズにフィードバックを実施できます。それぞれの段階で伝える内容は下記の通りです
フィードアップ
フィードアップの段階では、目的や目標の確認を行います。そのため、事前に目標までの進捗を確認してください。フィードアップの段階で目的や目標の確認を行うことで、フィードバックの精度を高められます。
フィードバック
フィードバックの段階では、目標に対する過去の行動の振り返りを行います。このタイミングで改善点や良い点を伝えます。さらに、目標達成に向けて必要な情報を伝えるといいでしょう。
フィードフォワード
最後のフィードフォワードの段階では、フィードバックにおける過去の行動の振り返りを受け、未来に向けて次にどのような行動を取るか決めます。この時に、具体的かつすぐに行動できるアクションプランを複数用意し、取捨選択するといいでしょう。
フィードバックを実施する際には、フィードアップ→フィードバック→フィードフォワードの順に進めるようにすると効果的です。
フィードバックの2つの種類
フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックの2種類があります。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックとは、できている点や良い点を意識的に探して伝えることです。肯定的な言葉を相手に伝えることで、気持ちを前向きにさせ、モチベーションを引き出す効果が期待できます。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックとは、改善点や問題点を伝え、深掘りして対策を考えるやり方です。そのため、同じような失敗を繰り返してしまうような場合に効果的です。
ポジティブフィードバックに比べると、否定的な言葉や批判的な言葉を使ってしまいがちです。そのため、言葉選びを間違うと、批判や叱責を受けたように部下が感じ、精神的なダメージを与えてしまう恐れがあります。
だからこそ、ネガティブフィードバックを行う際には、部下の個性やタイプ、状況に合わせた言葉選びや配慮が必要です。
フィードバックで使えるフレームワーク
フィードバックの際には、フレームワークを意識することで、部下の理解度が格段に上がります。ここでは、フィードバックで使えるフレームワークを紹介します。
SBI型
SBI型は、下記の流れで話を進める手法です。
上記の流れで話を進めることで、原因と結果を把握しやすくなります。また、SBI型では状況や行動を振り返るため、内省を促す効果が期待できるでしょう。さらに、置かれている状況も含めて解決策を探ることになるため、信頼関係を構築しやすいというメリットもあります。
FEED型
FEED型は、下記の流れで話を進める手法です。
上記の流れで話を進める中で、行動を確認しながらフィードバックを行うことが可能です。冒頭で事実確認し、認識を合わせてから会話を進めるので、要らぬ誤解を招いてしまう事態も防げます。
KPT型
KPT型は、下記の流れで話を進める手法です。
上記の流れで話を進めると、現状の問題や課題を明確にし共有できるため、自発的な行動を促せるというメリットがあります。
サンドイッチ型
サンドイッチ型は、下記の流れで話を進める手法です。
ネガティブフィードバックで話が終わってしまうと、相手のやる気を削いでしまったり、信頼関係が壊れてしまったりする恐れがあります。
サンドイッチ型は、ネガティブフィードバックをポジティブフィードバックで挟んで話を進めます。そのため、ネガティブフィードバックを行いやすいというメリットがあります。
ペンドルトンルール
ペンドルトンルールは、下記の流れで交互に話をしながら進める手法です。
まず、何について話すか双方で確認します。その上で、良かった点や上手くいった点について、部下(対象者)側が話をします。部下(対象者)の話を受けて、上司(評価者)側が、良かった点や上手くいった点について褒めます。
部下(対象者)が改善点について話し終わったら、補足したいことがあれば上司(評価者)側がこの時に伝えます。改善点まで話が終わったら、改善点をベースに行動計画を立て、振り返りをして終了です。
このようにペンドルトンルールなら、部下(対象者)側に積極的に話をさせることで、自発的な行動を促せます。
フィードバック実施時の8つのポイント
フィードバック実施時のポイントについて解説します。
目標に結びつけて行う
ビジネスのシーンでフィードバックを実施する場合、必ず目標に結びつけて行いましょう。目標に結びつけずにやみくもに行うと、何のためにフィードバックを行っているのかが不明瞭になり、フィードバックの時間が無駄になる恐れがあります。
このような事態にならないように、フィードバックの開始時には、まず目標の確認を行うといいでしょう。
具体的に伝える
フィードバックを行う際には、具体的に伝えてください。
例えば、上司が部下に対してフィードバックを行う際に、その内容が主観的だったり抽象的だったりすると、部下側に伝わりにくいでしょう。また場合によっては、こちらの意図に反した受け止め方をされる恐れがあります。
具体的に伝えることで、部下側は、改善点やこれからやるべき項目をイメージしやすくなり、自発的な行動を促す結果につながります。
具体的かつ客観的に伝えるためにも、上司は日頃から部下を観察しておく必要があります。
リアルタイムに伝える
人は過去の行動に対して指摘されても、細かいところまで覚えていないケースが多いものです。それゆえ、時間を置いてからフィードバックを実施すると、改善点やこれからやるべき項目をイメージしにくいでしょう。これではフィードバックの効果が半減してしまいます。
そのため、気がついた時にすぐにフィードバックをしてください。
リアルタイムにフィードバックが行えるように、日頃から小まめにコミュニケーションを図るといいでしょう。
行動に対して行う
フィードバックの際には、性格や人格ではなく行動に対して行います。性格や人格に対してフィードバックされると、相手は自分を否定されたと感じてしまいます。そしてそのような状況が続くと、相手が心を閉ざしてしまう恐れがあります。
相手が心を開いていない状態でフィードバックをしても、成果が出づらいでしょう。このような事態を避けるために、フィードバックの際には、必ず行動に対して行うようにしましょう。
実現可能な提案をする
フィードバックの目的は、目標や目的に対する軌道修正を行うことです。フィードバックによって、行動を促せなければ意味がありません。
そのため、フィードバックの際に、今の実力やスキルでは実現が難しい内容を提案してしまうと、自分にはできないと感じ、行動する前にやる気を失わせる恐れがあります。
このような事態に陥らないように、フィードバックの際には実現可能な提案をしましょう。
一方的に伝えない
フィードバックを行う際には、相手の意思を確認しながら進めましょう。
特に上司から部下に対してフィードバックを行う際には、上司側は、部下の話を聞かず一方的に話を進めないように注意してください。一方的に話を進めると、フィードバックの内容に対して不満を持つ恐れがあります。
フィードバック後に自発的な行動を促すには、納得感が欠かせません。
フィードバックで成果を出すためにも、理解度や意思を確認しながら進めましょう。
シチュエーションや態度に配慮する
フィードバックの内容によっては、精神的に傷つけてしまう恐れがあります。特にネガティブフィードバックを行う際には、感情的に受け取られてしまいがちです。
また人によっては、大勢の前でフィードバックを受けることにより、フィードバックする側が思っている以上に精神的にダメージを受けてしまうケースもあるでしょう。
フィードバックによって精神的ダメージを与えないようにするために、シチュエーションや態度に配慮して行ってください。
心理的安全性を確保する
フィードバックで成果を出すためには、日頃から心理的安全性を確保しておく必要があります。
心理的安全性とは、対人関係においてリスクのある行動を取った場合の、結果に対する個人の認知の仕方を指します。つまりネガティブに受け取られる可能性のある行動を取っても、このチームなら非難されることはないと思えるチームや職場の環境は、心理的安全性が高いといえます。
仮に、心理的安全性が確保されていない状況でネガティブフィードバックをしてしまうと、反発を受けたり、前向きに捉えてもらえなかったりする恐れがあります。そのため、効果的なフィードバックを行う上で、心理的安全性の確保は欠かせません。
まとめ
今回は下記の項目を中心に、フィードバックについて解説しました。
・フィードバックの定義や目的
・フィードバックのやり方
・フィードバックで使えるフレームワーク
・フィードバック実施時の8つのポイント
フィードバックは、業務内で行うケースが多いでしょう。だからこそ、適切なフィードバックは部下やチームの成果に直結します。この機会に、ご自身のフィードバックのやり方について見直してみてはいかがでしょうか?