2021年12月9日公開

メンタル・ヘルスマネジメント検定って人事担当者に必要?活用法を解説

メンタルヘルス分野は組織全体の人材と関わる人事担当者こそ学んでおきたい内容です。関連資格の中でも「メンタルヘルス・マネジメント検定」は、合格に向け取り組む受験者が年々増加している注目の検定です。

 

その一方で、下記のような疑問に感じている方も多いかもしれません。

 

「メンタルヘルス・マネジメント検定って本当に必要?」

「どんな風に役に立つんだろう」

 

そこで今回は、メンタルヘルス・マネジメント検定について以下項目について紹介します。

 

・検定の概要

・検定の活用方法

・試験概要を踏まえた勉強方法

受験を検討していた方や、活用方法を詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定とは

メンタルヘルス・マネジメント検定の概要として以下項目についてまとめました。

 

・検定の内容

・管理職だけでなく人事担当者にも勧める理由

・他メンタルヘルス関連資格との違い

1つずつ詳しく解説していきます。

 

心の健康管理に関する知識や対処法を取得する検定

そもそもメンタルヘルスとは心の健康を表し、不安定な状態になると精神疾患につながる可能性もあるため適切なケアが必要とされています。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場で働く人たちの心の不調の未然防止を目指し、活力ある職場づくりに役立てられる知識や対処法を取得できる検定です。

 

メンタルヘルス対策は、厚生労働省が公表している指針によって政府からも推進されています。厚生労働省が公表する「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づいた指針です。

 

目的として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されることが掲げられています。

 

この指針によって大阪商工会議所と施行商工会議所が主催者となり行われているのがメンタルヘルス・マネジメント検定であり、年々受験者数が増加する注目度の高い検定です。

 

参考:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは

参考:メンタルヘルス対策

 

管理職だけでなく人事担当者にも勧める理由

メンタルヘルス・マネジメント検定の受験を通した学びは、部下や同僚の心の変化にいち早く気づけるスキルとなります。そのため迅速かつ適切な対応ができ、心の不調を未然に防ぐことや健康増進に活用することが可能です。

 

これらの対応は部下のマネジメントを行う管理職だけでなく、人事担当者にも必要性の高い能力の1つです。なぜなら組織全体の人材管理を行う人事担当者は、管理職や上司がカバーしきれない課題や問題に取り組む役割を担っているためです。

 

例えば採用や教育、評価などより良い組織を目指した人材の活性化に取り組む人事担当者こそ、メンタルヘルス・マネジメント検定への取り組みが推奨されます。

 

他メンタルヘルス関連資格との違い

メンタルヘルス・マネジメント検定の特徴として、受験のしやすさが挙げられます。他メンタルヘルス関連資格では受験資格が設けられていることが多いものの、メンタルヘルス・マネジメント検定は誰でも受験が可能です。

 

例えば他メンタルヘルス関連資格として「産業カウンセラー」を取得する場合には以下の条件があります。

 

・試験日に20歳に達している者で協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座を修了した者

 

メンタルヘルス・マネジメント検定には年齢や学歴などにも制限がないため、役職や職務に問わずメンタルヘルスの基礎知識を学ぶことができます。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定は3つのコースがある

メンタルヘルス・マネジメント検定は「Ⅰ種」「II種」「Ⅲ種」と3つのコースに分かれています。それぞれ対象や目的が異なるため、自らに適したコースを検討してみましょう。

 

各コースの対象や目的

各コースの対象と目的がこちらです。

 

参考:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは

 

自らの職務や、メンタルヘルス対策を行う対象者によってコースを選択しましょう。

 

 

各コースにおける到達目標

各コースには具体的な到達目標が掲げられています。メンタルヘルスマネジメントの学びによって目指したい姿を思い浮かべながら、確認してみましょう。

 

引用元:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の活用方法

メンタルヘルス・マネジメント検定の特徴を踏まえた活用方法を紹介します。受験に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の特徴

検定における3つの特徴がこちらです。

 

・第一次予防(疾病の未然防止と健康増進)に重点を置いている

・ラインによるケア(上司から部下など)と 組織全体によるケアを促進する

・産業保健に加え人事労務管理の観点を重視した内容である

心の不調が起こる前の「未然防止」と、心の健康にとってより良い環境を整える「健康増進」に重点を置いた学習が可能です。また上司などの管理監督者から従業員に向けたラインによるケアだけでなく、社内全体でのメンタルヘルス対策の推進を目指せる特徴があります。

 

さらに産業医学の側面だけでなく人事労務管理の観点からもアプローチできる手法を学べるため、人事担当者にとっても活用しやすい内容を学ぶことができるのです。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の活用方法

自身の職位や職種に当てはまるコースを選択し学習することで、職場内での役割に応じたメンタルヘルスケアを実践できます。部下を持つ上司はもちろん、人事労務管理の観点も重視された内容であるため人事担当者にとっても活用しやすい検定です。

 

特にⅠ種は対象が人事労務管理スタッフと設定されているため、より実践的な学習が可能です。またⅢ種であれば自分自身に対するケアについて学べるため、自らのメンタルヘルス対策にも活用できます。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の試験概要

検定の試験概要について、以下の項目を紹介します。

 

・受験方法

・出題内容

・問題構成と試験時間

・合格基準と合格率

受験を検討している方は予め確認しておきましょう。

 

受験方法

試験方法には、公開試験と団体試験の2種類があります。それぞれの違いは以下の通りです。

 

 

自らに適した方法を選択しましょう。

 

参考:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは

 

出題内容

出題内容は、いずれのコースにおいても厚生労働省策定の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に構築されています。

 

また公式のテキストが出版されており、テキストの内容と内容を理解した上での応用力が問われます。出題内容の具体的な項目としては以下の通りです。

 

引用元:メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは

 

問題構成と試験時間

問題構成と試験時間はコースごとに異なります。

 

 

Ⅰ種のみ選択問題に加え論述問題も出題されます。

 

論述問題は、実務を遂行する上で必要な知識や応用力、総合判断力が問われます。そのためⅠ種を受験する際にはより入念に学習に取り組みましょう。

 

合格基準と合格率

コースごとの合格基準と合格率を紹介します。

 

合格基準

 

合格率

 

Ⅰ種は他コースに比べ難易度が高くなっていることが伺えます。Ⅰ種は論述問題が配点50点であり合格基準として25点以上が設定されているため、論述問題の正答率が合否に大きく関わってくるでしょう。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の勉強方法

検定の勉強において、活用すべき教材やおすすめの勉強方法をまとめました。自らのライフスタイルに適した方法を検討してみてください。

 

テキスト(問題集)・過去問について

活用すべき教材として挙げられるのが検定公式のテキストです。2020年度の試験は公式テキスト第4版に準拠して出題されています。今後も公式テキストに準拠した出題が予想されるため、学習の際にはぜひ活用しましょう。

 

併せて活用したいのが、公式ホームページで公開されている受験対策講座です。オンデマンドとリアルタイム配信の2種類から受講が可能であるため、受験をする方は欠かさずにチェックしましょう。

 

また過去問題は公式パンフレットに記載がありますが、各コース1問のみとなっています。

 

参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験 パンフレット

 

その他の公式問題集などは発売されていないため、教材としては公式テキストと対策講座の2つがおすすめです。

 

おすすめの勉強方法2選

おすすめの勉強方法を2つ紹介します。それぞれのメリット・デメリットと併せて確認し、自らに適した方法を選択してください。

 

独学

1つ目は、公式テキストや対策講座を活用し独学で勉強する方法です。時間や場所に縛られず自分のペースで学習できるため、多忙な方に適している学習法でしょう。また公式テキストを活用した学習は、試験の出題内容として公式テキストの内容と内容を理解した上での応用力が問われることから検定合格に有効です。

 

デメリットとしては、自らでスケジュール管理を徹底しなければならない点が挙げられます。検定合格のためには計画的に学習に取り組みましょう。

 

通信教育

2つ目は、通信教育を提供するユーキャンやTACを利用した学習方法です。オリジナルのテキストや講座、サービスによって合格に向け心強いサポートが受けられます。

 

例えば、メールや郵便で気軽に相談できる「質問サービス」や、添削課題によって苦手を克服できる「添削指導」などのサービスが用意されている通信教育もあります。

 

デメリットとしては独学に比べ費用がかかるため、余裕がある場合に選択すると良いでしょう。

 

メンタルヘルス・マネジメント検定の受験に関するQ&A

受験に際してよくある疑問を解説します。試験に挑む方は改めて確認しておきましょう。

 

①受験資格はあるの?

学歴・年齢・性別・国籍に制限はありません。

 

また検定における3つのコース(Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種)から希望するコースを自由に選択し、受験することが可能です。Ⅰ種と Ⅱ種、Ⅱ種とⅢ種を同日に受験することも可能となっています。

 

②受験料はいくら?

公開試験と団体試験、また受験するコースによって受験料は異なります。

いずれのコースも団体試験の方が安価に設定されています。

 

③受験者数はどのくらい?

公開試験における受験者数は毎年3万人前後です。過去5年間の推移を見ると、受験者数は増加傾向と捉えられます。

 

 

④試験日程は毎年決まっている?

試験日が統一されている公開試験は、毎年3月と11月に実施されています。注意点として、3月の公開試験で受験できるコースはⅡ種とⅢ種のみです。

 

団体試験は、企業や団体の都合に合わせて日時と場所の設定が可能です。

 

⑤合格後の流れは?

受験から合格までの流れは、公開試験と団体試験で多少異なります。

 

・公開試験

 試験日から約1ヶ月後に「成績票照会期間」と「成績票郵送希望者受付期間」が約1ヶ月間設けられる。合格証発送も試験日から約1ヶ月後となっている。

 

・団体試験

 解答用紙返送した後、2〜3週間程度で成績票と合格証が発送される。

 

まとめ

今回は、メンタルヘルス・マネジメント検定について以下項目について紹介しました。

 

・検定の概要

・検定の活用方法

・試験概要を踏まえた勉強方法

メンタルヘルス・マネジメント検定は、役職や職務にかかわらず幅広い方が職場のメンタルヘルスケアに役立てられるおすすめの検定です。より良い職場環境作りを目指す方は、ぜひ受験を検討してみてください。

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