2020年10月29日公開
AI(人工知能)とは何か?知っておきたいAIの基本から未来まで
AI(人工知能)というとどんなイメージがうかびますか?
「自動で学習するロボット」
「チェスや囲碁で人間に勝った高性能コンピューター」
ニュースでもAIについての話題がのぼることもあるため、AIという言葉はよく知られています。また、私たちも知らず知らずの内にAIを活用したサービスを利用しています。
それでもAIとは何ですか?と言われると、はっきり答えるのはなかなか難しいですよね。
そこで今回は、AIについて下記の項目を中心に解説します。
・身近なAIの活用デバイス・アプリ
・AIの未来の話
この記事では、AIとは何なのかが理解できるように書いていますので、ぜひ参考にしてください。
AIについて
AIについて基本から仕組み・AIの進化歴史を見ていきましょう。
AIの基本情報
AI(人工知能)の正式名称はArtificial Intelligenceです。
AI(人工知能)は人間の「考える」ことをコンピューターで実行するシステムのことです。
ちなみに現在のAI技術では、膨大なデータを処理・分析して高精度で正しい答えを導き出すことが可能です。
例えば、囲碁のトッププロに勝った人工知能AlphaGoは、自分自身と数千万回対局することによって最良の一手を導き出します。
実は、AIの正式な定義については、研究者の中で共通していないのが現状です。
総務省は平成28年の情報通信白書の中の人工知能学会ホームページ「人工知能のFAQ」では、AIについて下記のように定義しています。
知的な機械・特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術
引用元:平成28年の情報通信白書の中の人工知能学会ホームページ「人工知能のFAQ」
また、日本大百科全書(ニッポニカ)では次のように解説しています。
「これまで人間にしかできなかった知的な行為(認識、推論、言語運用、創造など)を、どのような手順(アルゴリズム)とどのようなデータ(事前情報や知識)を準備すれば、それを機械的に実行できるか」を研究する分野である。」
引用元:日本大百科全書(ニッポニカ)
つまり、人間と同じように考え学び行動するコンピューターシステムを作成することがことがAI(人工知能)技術の理想形だと言えるでしょう。
AIの特徴
システムがAIであるかどうかを定義するのには、AIの特徴を整理すると分かりやすいです。AIの特徴は次の通りです。
上記の特徴を持つものがAIであると判断できます。
AIと機械学習と深層学習(ディープラーニング)との違い
AI・機械学習・深層学習の違いは下記の通りです。
AIの研究が進むにつれて課題がありました。その課題の克服方法として機械学習が開発され、その先にディープラーニングがあります。
AIの歴史
1950年10月イギリスの数学者アラン・チューリングが発表した論文「計算する機械と人間」の中で機械を「知的」と呼ぶ基準を提案しました。
その基準は人が機械と会話して人か機械かの区別がつかない場合、その機械は知的であるとすることです。(チューリング・テスト)
これが、人工知能の概念の元となりました。
AIの3つブーム
AIの60年以上に渡る進化のなかで技術革新とともに、大きな波が3回ありました。
【第一次ブーム】1956年に開催されたダートマス会議にて「人工知能」という言葉が誕生
初期のAIのプログラムでは「推論」と「探索」で問題に対応する回路が採用されていました。
例えば、迷路で進んでいくと分かれ道にでます。そこから進んで行き止まりになったら戻って正しい道を探すという「探索」という手法が基本の回路です。ただし、この時点では、明確なルールとゴールがないと動作しないという弱点がありました。
【第二次ブーム】「エキスパートシステム」の研究が進む
1980年代 コンピュータに専門知識をルールとして入れることによって問題に対応するみました。
「エキスパートシステム」とはコンピュータに専門知識をいれることによってコンピュータが専門家の代わりを務めるシステムです。
例えば、医療知識をルールとしてコンピュータに教え込むとコンピュータが医療診断ができます。
これによって、医療・法律・会計・金融・製造などの分野でエキスパートシステムのコンピュータが利用されました。ただし、人間の一般常識+専門知識が膨大なデータ量でコンピュータに学習させる(書き込む)のが困難であること、例外や矛盾した課題に対応できない問題がありました。
【第三次ブーム】深層学習(ディープラーニング)の研究が進む
2000年代から機械学習が発展して深層学習(ディープラーニング)の研究が進みました。
ディープラーニングは、分析基準をAIが自主的に見つけ出し自動でデータを処理できます。自ら分析基準を定めることができるため、例外やルールの矛盾にも対応できるようになりました。これによって、不確実な出来事に対応できるようになりました。
AIの飛躍的な進化の要因
最近のAIの進化は目覚ましいものがあります。その要因として次の2つのことが挙げられます。
・データ量の増加
IoT技術(モノのインターネット)によって得られる情報量が格段に上がりました。
人間でいえばたくさんの経験を積むことができるようになったということです。処理する情報量が増えたことによって導き出す答えの精度が高くなりました。
・コンピューターのスペックの向上
近年の3D画像の進化はものすごいですよね。実写と変わらないくらいのリアリティがあります。この3D画像(グラフィック)の映像描画を担当するのがGPUです。
よく聞くCPUはコンピュータ全体を制御する頭脳です。その中でGPUは3D画像(グラフィック)の処理の役割を持つ半導体チップです。3D画像(グラフィック)の処理には一度に大量の演算をする必要があります。3D画像(グラフィック)の進化はGPUの進化によってもたらされました。
ディープラーニングは大量の演算を求められます。そこで一度に大量の演算をする特徴を持つGPUがディープラーニングに活用されるようになりました。そしてディープラーニングを搭載したAIの進化が加速しています。
AIの種類 強いAIと弱いAIって何?
弱いAIとは1つの行動を行うAIのことです。人間の知性の一部を担うAIです。現在我々が使っているAI技術はこの弱いAIに分類されます。
これに対して強いAIとは人間の心にあたる部分があって理知的に振る舞うことができるAIなことです。現段階では「ドラえもん」や「鉄腕アトム」のようにSFの世界ようなものを強いAIといいます。
自動車を自動運転をするAIを例にあげると、AIが信号や道路状況みて走行や停止の判断や、歩行者をみて「ぶつかること」と予測して衝突を回避できますが、人間のように「危ない」とか「ぶつかったらけがをさせてしまう」という心の働きはないです。
心や感情の働きは現代のAIの技術の高いハードルの一つです。
AIの機能 3つのカテゴリ
現代ではAIは様々な分野で活用されています。それぞれの分野を紹介していきます。
これらの機能を複合的に組み合わさってAIは組み立てられています。
識別系AI
画像や音声を認識して判別する機能です。それにより、画像の検索や翻訳が可能になります。音声認識・動画認識・画像認識・言語解析の機能を持つのが、識別系AIに分類されます。
予測系AI
データを分析して数値から予測する機能です。履歴からおすすめを表示するレコメンド機能や広告配信のなどで活用されています。数値予測・マッチング・ 意図予測・・ニーズ予測の機能を持つのが予測系AIです。
実行系AI
データを元に記事を作成する機能やお掃除ロボットがこれに当たります。デザイン作成・表現生成・行動最適化・作業の自動化の機能を持つのが実行系AIです。
AIの機能のランク
AIの機能を4つの段階に分けることができます。
レベル1:制御
AIの初期の段階としてのAIは制御のプログラムです。
例えば、エアコンを例にあげます。AI搭載のエアコンは部屋の温かい場所とそうでない場所を判別して温度のムラがでないよう調節が可能です。この場合は、AIが温度を制御しています。AIがあらかじめ設定された制御のプログラムを実行することで、室内の温度の制御を可能にします。
レベル2:古典的なAI
次の段階では、多数のデータをとりこむことによってより複雑な課題に対応できるAIです。
しっかりとしたルールの中でのみ複雑な課題に対応できます。囲碁の場合、最善とされる決まった打ち方を大量にプログラムに取り込んでおいてその中から打ち手を探すプログラムがこの段階です。AIがあらかじめ設定したルールに従ってプログラムを実行します。
レベル3:自動学習
機械学習ができるAIです。人が設定すればAIが自動的にデータを分類・処理ができます。囲碁のゲームでいえば最善とされる手をプログラミングしなくても対戦データを蓄積することによって最善の一手を見つけ出すAIです。
レベル4:自主学習
機械学習から一歩進んだディープラーニングを搭載したAIです。多数のデータの中から特徴を自ら選び取って分類・処理できます。
囲碁のゲームではAlphaGoです。AlphaGoは盤面を画像認識をして自ら分析点を設定(ディープラーニング)して盤面全体を見渡して形勢判断を行い、対戦データの蓄積と組み合わせて最善手を導き出していました。
AI自らの判断で分析基準を設定できるので不確定要素にも対応できます。
身近なAIの活用デバイス・アプリ
日常生活でも使えるAIの活用デバイス・アプリを具体例を出して紹介します。
スマートスピーカー 対話AI
メジャーなデバイスになりつつあるスマートスピーカーは音声認識AIの技術を利用しています。
スマホやPCを使わなくても天気や交通情報を調べたり音楽をかける・買い物をするなどが話しかけることでできます。代表的なものに、「Amazon Echo」「Google Home」「Apple HomePod」があります。
スマートレジサービス 画像処理AI
パン屋さんのレジでトレイにのせたパンを自動で識別してお会計するシステムを見たことありませんか?
これは画像処理AIの技術を活用したシステムです。レジにAIを導入することでレジ作業の効率化・人件費を削減・レジでの混雑が解消されます。
専門家を補助するAI
さまざまな分野で専門家をサポートするAIがあります。
・金融では資産管理や投資の判断をするAI投資
・来客の動向をモニターにして顧客の行動を分析・需要予測をしてコンサル
このように専門家をサポート・代役を務めるAIが活用されています。
インフラになりつつあるAI
社会の基盤にAIをとりいれる動きもあります。
「市内に設置された交通カメラから車の流れを把握し、AIが未来の渋滞の発生が最小となるように、信号の点灯間隔を変更することで渋滞の発生を最大51%、平均10%削減することに成功しています」
このように社会のインフラである交通や電力の調整などでも、AIが活用されています。
AIの未来の話
AIが進化して世の中はどう変化していくでしょうか?
AIが作り出す未来は誰にも予測できませんがAIが人間の脳に追いつく推測がされています。
AIが人の脳を追いこす時 シンギュラリティ
シンギュラリティとは技術的特異点といいます。これまでAI技術が加速度を増して進化してきましたがその進化の先に「自らを改良し続けることで人間が想像できないほどの優秀な知性を獲得したAIが誕生する」ことをシンギュラリティ(技術的特異点)といいます。
シンギュラリティの到来を主張するレイ・カーツワイル博士は、下記のように述べています。
・2045年頃には、1000ドルのコンピューターの演算能力が一般的な人間の脳の100億倍になる
・この時点で人間が想像できない優秀な知性を獲得したAIが誕生するとしています。
このような優秀な知性をもったAIによって引き起こされる影響や問題を、2045年問題といいます。
AIの普及が進むと失われる仕事と生まれる仕事
将来AIやロボットで代替可能の職業について分析したレポートを元に、AI(人工知能)の普及で失われる仕事と、AI(人工知能)の普及で生まれる仕事について紹介します。
AI(人工知能)の普及で失われる仕事
機械を使って処理できる仕事はAIに代替されると考えられます。
はデータ処理の早いAIの得意分野です。実際現代でも導入されて人材不足を補っています。
AI(人工知能)の普及しても残る仕事
人と接する仕事や創造を司る仕事はAIの普及によっても残ると考えられます。
人間の心や感情に影響がある仕事はAIにとって難しい分野です。
AI(人工知能)の普及で生まれる仕事
AI(人工知能)の普及によって失われる仕事もあれば生まれる仕事もあります。
はこれから重要性を増してきます。
参考サイト:野村総研のレポート
まとめ
この記事では下記の内容を中心に、AIについてまとめました。
・身近なAIの活用デバイス・アプリ
・AIの未来の話
はたしてシンギュラリティは本当に到来するのか?
AIの普及によって社会構造も変わる可能性があります。そんな時私たちはどう生きるのか?がとても重要です。つまり、今後変わりゆくAI時代に適した生き方を変えていくことが求められると言えるでしょう。