5Gとは何か?速さと機能で社会を変える通信テクノロジー

「5Gってよく聞くけど何がどう変わるかわからない」
「5Gは速いって聞くけどどのくらい速いの」

 

2020年春に5Gサービスが始まってスマホの対応機種が続々登場しています。しかし、実際どんな特徴か、自分にとって5Gにはどんなメリットがあるのか理解している人は多くないと思います。「5G」は「4G」に変わる次世代通信規格です。自動運転や遠隔医療を可能とする技術として注目を集めています。この記事では、下記の項目を中心に5Gについて説明します。

 

・5G(第5世代移動通信システム)について
・4Gからの進化したポイント
・5Gの完成形
・5Gを使ってできること
・知っておきたい5Gの注意点

5Gはこれからのデジタル環境における基盤となる技術です。しっかり理解してメリットを十分生かして活用できるように参考にして下さい。

 

5G(第5世代移動通信システム)とは?

ここでは5Gの特徴を確認して、移動通信システムの進化の歴史を振り返りながら理解を深めていきましょう。

 

5Gについて

5Gは「5th Generation」の略語で「ファイブジー」と読みます。携帯電話の通信で使われる移動通信システムの「第5世代」を示す言葉です。

 

2018年10月に米国ベライゾンが世界初5Gサービス「Verizon 5G Home」を提供。そこから、2019年に欧米を中心に商用サービスがスタートし、日本では2020年春からサービスが開始しました。

 

5G標準仕様を定めた3GPPはレポートの中で、5Gの特徴を活用できるユースケースをまとめています。

参考元:3GPP

 

光回線よりも高速で大容量・低遅延であることから、ビジネスの現場ではDXの基盤となる技術として期待されています。

 

 

5Gの特徴

5Gを定義する3つの要素は、高速・大容量、低遅延そして、多数同時接続の3つです。

ここでは、それぞれの要素について解説します。

 

高速・大容量

5Gは利用する周波数帯域幅を拡大・アンテナ技術の向上による効率の改善により、10Gbps(10000Mbps)の通信速度を実現可能です。これは4G に比べて10倍のスピードです。

 

さらにIMT-2020の要件に基づき、最大20Gbpsの通信速度を実現するように設計されています。高速であるだけでなく5Gで送受信できるデータ容量は、4Gの1,000倍です。通信効率が向上することで8K動画をライブ配信が可能になり、VRやARを用いたサービスがさらに進展します。

 

低遅延

低遅延とは通信によるタイムラグが少ないことです。5Gでは無線インターフェースを簡略化することで伝送時間間隔を短縮、MEC(モバイル・エッジ・コンピューティング)の採用により遅延は4Gの約10分の1、つまり0.001秒程度です。

 

エッジコンピューティングとは

サーバーを端末に近いエッジに配置することで通信時間を短縮すること

 この低遅延により、自動運転・遠隔医療を実現します。

 

例えば、自動運転を考えてみます。時速100キロで走行して障害物を発見してブレーキをするケースでは、4Gではブレーキが発動するまで1.4m走行します。同じ条件で5Gでは2.8cmまで短縮できる計算になります。

 

このように5Gの低遅延の技術により自動運転や遠隔医療を実現できます。

 

多数同時接続

多数同時接続とは1つの基地局に複数の端末を同時に接続することです。1Gでは1つの基地局に12台の端末を接続します。

 

5Gではデバイスと基地局の通信を簡略化するグランドフリーという技術により4Gの10倍、100万デバイス/km²が同時接続可能です。

 

2025年には7500億のIoTデバイスが接続するとの試算がされています。その受け皿に5Gの多数同時接続が必要とされています。

参考元:SECURTY today『2020年のIoTランダウン:統計、リスク、およびソリューション』

 

移動通信技術の進歩の歴史

移動通信技術とは移動可能な通信システムのことです。初代は移動電話から始まり、進歩してきました。移動通信技術の進歩の歴史をみてみましょう。

 

このようにほぼ10年周期で移動通信技術は進歩するとともに、通信速度が加速度を増して向上しているのが分かります。さらに5Gの発展は続きます。

 

4Gからの進化したポイント

4Gからどこが進化したのかを3つのポイントに絞って紹介します。

 

圧倒的スピード

一般的に5Gに関して認知されていることは、通信スピードが早くなることです。

 

 

具体的に数字をあげると、4Gの通信速度は100Mbps〜1Gbps程度です。条件にもよりますが、実測値 約200Mbpsです。それに対して、5Gでは理論値最高の通信速度は20Gbpsに達するとされ、実測値 約1800Mbps(1.8Gbps)です。

 

一般的な光回線の速度は、下り約1Gbpsで4k動画の視聴も問題ないレベルであることを考えると5Gの速さが際立ちます。

 

2時間の映画をダウンロードする場合、4Gでは数分かかるものが、5Gでは数秒で完了する計算です。インターネットで検索をしていてなかなかページを開けないといったストレスから開放されます。

 

2つの種類の周波数を使用する

4Gでは3.6GHz(3600MHz)以下の周波数帯を利用していました。5Gでは下記の2つの周波数を使うように定義されています。

 

周波数の数字が大きいほど高周波数帯といいます。高周波数帯では帯域幅が広くなります。高周波数帯であるミリ波ではデータの通る道が広くなり、やりとりがスムースになります。高速・大容量通信が可能となります。

 

ただミリ波の活用には電波の特徴やインフラ整備の課題があり一般に普及する目処がたっていません。

 

アンテナ技術

5Gのアンテナ技術は超多素子アンテナを採用しています。

 

送受信双方で最大128本のアンテナ素子を使用することで、多くのデータを送受信可能になります。一定の方向に向けて電波を送るビームフォーミングの技術と組み合わせて、高速大容量の通信を可能にします。

 

5Gの完成形

5Gのシステム構成は2つのタイプがあります。

スタンドアローン型(SA)を採用した5Gでは、さらなる高速化とネットワークスライシングが可能になります。ネットワークスライシングとは用途に合わせてデータを分割してデータのやり取りをスムーズにする技術です。

 

例えば、ドローンに高精度カメラを取り付けて撮影すると場合が考えてみましょう。

 

ドローンを操縦するためには低遅延が求められるのでデータを細かく分割(スライス)して、通信容量の少ないデータを送信。低遅延のデータやりとりを行いドローンの操縦を行います。同時に高精度撮影のために高速大容量データスライスでデータをやりとりするというように、用途によってデータを最適化してやりとりする技術です。

 

これまでは1つのネットワークを使用していましたが、ネットスライスでは用途によってネットワークを使い分ける仕組みです。こうした技術を基盤として実現する自動運転や遠隔医療が期待されています。

 

5Gを使ってできること

5Gの3つの特徴、高速大容量・低遅延・多数同時接続によって実現可能となる技術を具体的に見てみましょう。

 

5Gとドローン

ドローンは土木、建設、農業などさまざまな分野で活用されています。現在のドローンはコントローラーの電波の届く距離に可動距離が制限されています。ドローンが5Gで接続すれば距離の制限が拡張され、活用の幅が広がります。

 

5G対応のゴーグルを装着してドローンを操縦すれば、低遅延の映像を見ながら遠距離を操作可能です。それによりドローン配達サービスや遠隔監視、遭難捜索などの距離が広がります。

 

このように5Gとドローンは、物流や農業の分野でさらに活用が進むでしょう。

 

VR仮想現実・AR拡張現実

VR仮想現実とは人工的に作られた空間を人間の五感を刺激することで現実のように体感させる技術です。一方で、AR拡張現実とは実際の映像にCGを組み合わせて仮想空間を作り出す技術ことをいいます。

 

具体的にVR仮想現実やAR拡張現実によってできることは下記の通りです。

 

・スポーツ観戦ではテレビ放送のように情報を取得しながら自由視点で観戦
・スポーツ面では仮想空間で練習場所を確保する
・産業面では安全に触れることができない部品を点検する、修理手順を示すなどが可能
・ショッピングでは商品管理をリアルタイムで自動化・共有するスマートシェルフ
・顧客の行動データから自動でおすすめをモバイルやデジタルPOPで紹介する
・エンターテイメントの分野ではホログラムでコンサートを楽しむこともできる

このように様々な分野での活用が期待できます。

 

産業における5G

製造分野で5Gを活用するメリットはワイヤレス化です。

 

製造の現場ではロボットによる自動化が進んでいます。精密な製造工程ではタイムラグが許されないので、これらの接続は有線です。5Gで接続できればワイヤレスとなりシステムのレイアウトが自由になり、スマートファクトリーが実現します。

 

スマートファクトリーでは、例えばロボットが重い物を持ち上げ、人間がそれを取り付けることを行います。このためにロボットが周辺機器や工場と常時通信接続している必要があります。そのためワイヤレスで高信頼である5G接続が求められます。

 

5Gを使って商品管理をすれば、サプライチェーンにおける商品管理を個々に行いリアルタイムで共有できるため、データを統合することでサプライチェーンの流通を円滑になるでしょう。

 

スマートシティのインフラとコネクテッド・カー

スマートシティとはIoTを活用してインフラを管理する新たな都市の形のことです。

 

スマートシティにはあらゆる場所にIoTセンサーが組み込まれていて相互通信をします。コネクテッドカーのテクノロジーを紹介します。

 

例えば道路・信号・標識・車などが5Gで接続して相互で通信をすることで交通状況を管理します。

 

これができれば交通渋滞や事故が減少して交通が安全になり、更に排出ガスが減ることで環境にも良い影響を与えます。

 

遠隔医療

5Gの技術は遠隔医療を向上させます。ウェアラブルヘルスデバイスは心拍数、血中酸素、ストレス、心電図、体温、紫外線をどれだけ浴びているかなどを観察できます。

 

 

ウェアラブルヘルスデバイスを5G で接続すればリアルタイムで体の様子をモニタリングできます。このように患者を遠隔で診療する環境が整ってきています。

 

高齢者の一人住まいには安全上のリスクがあります。そこで遠隔カメラやセンサーで高齢者をモニタリング可能です。人工知能(AI)の予測とモニタリングを組み合わせることで行動を分析。転倒の危険を予測して事前に警告することも可能です。

 

手術の現場では専門家との連携が行えます。例えば手術において小型の手術顕微鏡を体内に挿入し、その映像を8K解像度でライブストリーミング可能です。5Gで接続することでその映像をリアルタイムかつ、低遅延で共有でき、専門家とスムーズに連携できます。このように医療のさまざまな場面で5Gは活用されています。

 

知っておきたい5Gの注意点

メリットの多い5Gですが、ここでは知っておきたい5Gの注意点を確認しておきましょう。

 

高周波数帯の電波は広く遠くまで飛ばない

電波は高周波数帯になれば(ミリ波)直進する性質が強く障害物で遮られる特徴があります。また雨や霧などの水の影響も受けやすいとされます。その対策として基地局がたくさん求められます。そのための設備投資が必要になりインフラ普及の足かせとなります。

 

インフラ整備とデバイス対応

5Gのメリットである高速度・低遅延・多数同時接続を享受するためには、インフラの整備が必須です。

 

現状では4Gとシステムを共有できるNSAタイプの5Gの普及がすすめられています。インフラと同時にデバイス側も5Gと対応している必要があります。5Gの本命機能であるミリ波やデータスライシングも、それぞれインフラとデバイスの両側が対応していなければ使えないので注意が必要です。

 

高速データ通信によるデバイスとバッテリーへの負荷

5Gは大量のデータを高速でやりとりするために、エネルギーを多くの消費します。

 

それによりデバイスやバッテリーに負担をかけるとされます。更に5Gは性能が高いことで、今まで以上に活用場面が増え、その結果ユーザーが大量のデータ通信を行うことでデバイスとバッテリーに負荷をかけてしまうでしょう。。 高速データのやりとりで発熱したデバイスの熱をバッテリーのエネルギーに変換するなど、デメリットをメリットに変換させるテクノロジーの研究が期待されます。

 

まとめ

この記事では、5Gに関して下記の点を中心にまとめました。

 

・5G(第5世代移動通信システム)について
・4Gからの進化したポイント
・5Gの完成形
・5Gを使ってできること
・知っておきたい5Gの注意点

5GはIoTの発展やDXの推進にとって基盤となるテクノロジーです。5Gの「高速」「同時接続」「低遅延」どの要素が自社のどんなメリットをもたらすのか理解することが5Gの高スペックを活かすことにつながります。参考にして下さい。

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