2021年6月19日公開
【ISOの基礎知識】規格内容から認証方法まで徹底解説
「ISO認証の取得って結局なに?」
「ISO 9001や14001はどう違うの?」
外部との取引が多い企業では、ISOについてこのような疑問を感じたことがあるかもしれません。
ISO規格は世界において信頼度の高い国際的な標準規格です。そのため外部パートナーとのスムーズな取引には欠かせません。
そこで今回はISOについて以下の項目を中心にまとめました。
・ISOの基礎知識
・認証制度について
・認証によるメリットとデメリット
ISOについて理解を深めたい方や、認証制度の申請を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
ISOの基礎知識
ISOの基礎知識を深めるために以下の項目について解説します。
・ISO、ISO規格とは
・マネジメントシステムとは
気になる項目を改めて確認しておきましょう。
ISO、ISO規格とは
「ISO」とは非政府機関である International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。
ISOは世界標準の規格を制定する機関であり、ISOが認証制定した規格を「ISO規格」と呼びます。
世界標準の規格の制定は、世界中の製品の安全性や品質を向上させる目的があります。
例えば安全基準が国ごとに異なると製品の安全性にはバラつきが出てしまい、長さや重さが標準化されていないと異なる寸法によって望まない製品が製造されてしまうでしょう。
国際的に同じ基準を持ち標準化されることによって、認識にズレのない製造やスムーズな取引が可能です。
ISOには日本を含む世界163カ国が参加しているため、国内だけでなく世界貿易の拡大にも寄与しています。
代表的なISO規格には「非常口マーク」や「ネジ」があります。
「非常口マーク」のデザインは世界標準で制定されているため、国外における非常事態の際も安全な選択をしやすくなっています。また「ネジ」は同じ基準で製造されることによって円滑な国際貿易を促進させているのです。
これらは製品そのものに対して規格を制定していますが、ISO規格にはマネジメントシステムに対する規格もあります。
マネジメントシステムとは
ISO規格には製品そのものが対象となる規格と、マネジメントシステムが対象となる規格の2種類があります。マネジメントシステムとは、組織における活動や業務に対するルールや仕組みです。
例えば会社においてペーパーレス化を目指し書類を電子化する仕組みは、組織における環境保全活動を促進するマネジメントシステムといえます。
このマネジメントシステムに対しISO規格認証の取得によって、組織の環境保全活動を促進する仕組みがISOが定めるルールに則ったものとして認められたことが示されるのです。
ISOでは不正の防止を目的とした第三者認定制度が用いられています。具体的には、認定機関から認定を受けた「認証機関」という第三者がマネジメントシステムの審査や認証を行います。
そのため、ISO規格の取得は世界的に信頼度の高いマネジメントシステムとしてみなされる効果があります。
参考:ISOの基礎知識
マネジメントシステム規格の種類
マネジメントシステム規格には大きく5つの種類があります。それぞれの内容と規格名を確認しておきましょう。
そしてここ近年注目を集めているのがISO 30414です。ISO 30414とは、国際標準化機構(ISO)によって発表されたガイドラインのことです。現状は、あくまでもガイドラインにすぎないため、他の規格と並んで、規格認証の取得ができるものではありません。ただし、ISO 30414のガイドラインに沿ってデータを取得する仕組みが機能しているかどうかを審査し、認証を受けることができます。
詳しくは下記の記事で解説しているため参考にしてください。
マネジメントシステム認証制度とは
マネジメントシステムのISO認証には、「マネジメントシステム認証制度」という仕組みが備わっています。
ISO認証の取得には、認証制度の審査を通過しなければなりません。ここからは制度の仕組みから認証取得までの流れについて、1つずつ解説していきます。
制度の仕組み
マネジメントシステム認証制度には、第三者による審査や認定が行われることで、不正行為を防ぐ目的があります。
「認定機関」から認定を受けた「認証機関」によって審査や認証が行われます。認定が認められた場合は、「認定機関」より認定証明書である登録証が発行され、認定情報が公開されます。
認証の取得までの流れ
認証の申請から取得において、社内で取り組むべき内容を順を追って説明します。それぞれあらかじめ確認しておきましょう。
社内における準備
まずは取得するISO規格や取り組む範囲(組織や事業所単位など)、担当者やプロジェクトメンバーを決定します。
体制が整ったところで、決定したISO規格の要求事項に沿って取り組みの目的や計画を立てましょう。
決定された目的や計画は全社員に共有することで現場における混乱を防ぎスムーズな取り組みにつながります。
また目的への共感は主体的な働きを促すため、組織全体で取り組めるよう共有の工夫に努めましょう。
マネジメントシステムの構築や運用
要求事項に沿ったマネジメントシステムを構築し、PDCAを回した運営によってより良いシステムを目指します。ISOにおけるPDCAサイクルは以下の通りです。
マネジメントシステムは、PDCAによる継続的な改善によってシステムとしての有効性を高められます。
審査を経てISO認証を取得
マネジメントシステムに改善を重ね適切な運用がなされたら、いよいよISO認証の取得申請に取り組みましょう。
記載した申請書を認定機関に提出すると、認証機関によって規格の要求事項を満たしているか審査が行われます。
審査の結果、書類の不備がなく要求事項を満たし認定が認められると、認定機関より認定証明書である登録証が発行されISO認証の取得となります。
認証取得後の運用
ISO認証取得後、認証登録の有効期限は3年間です。有効期限内においては認定機関より定期的な審査が行われるため、マネジメントシステムの継続的な改善に努めましょう。
具体的にはPDCAを回し課題を見つけ解決していくことや、審査による評価を参考に改善に取り組みます。
さらに認定の有効期限に先立ち再審査が行われるため、先を見据えた計画をもとにした運用に取り組みましょう。
参考:ISO認証取得の流れ
ISO認証のメリット
ISO認証の代表的な3つのメリットがこちらです。
・社会的信頼の獲得
・社内では見えにくい課題の発見
・組織システムの継続的発展
1つずつ詳しく解説します。
社会的信頼の獲得
ISOの認証制度は第三者による審査で行われるため、認証によって社会的な信頼が得られます。
国際的な基準を満たしている証明は、国内だけでなく世界的な信頼も獲得できます。
社会的信頼の獲得は、外部パートナーとのスムーズな取引や、世界貿易の発展、ひいては業績向上と、企業の成長を実現していくでしょう。
社内では見えにくい課題の発見
ISO認証の取得後は定期的な審査や評価が行われるため、社内では見えにくかった課題に気づくことができます。
社内の人間だけで取り組む場合はシステム運用を客観視することは難しく、改善への取り組みが明確にならない可能性もあるでしょう。
認定機関による客観的な評価を受けられることで、見えにくかった課題の発見に近づきます。評価を取り入れた改善に取り組むことで、より良いシステムが構築されるでしょう。
組織システムの継続的発展
PDCAを回した取り組みや定期的な審査・評価を受けることで、システムは継続的な発展が可能です。
どんなに完璧な計画によって構築されたシステムでも、実際に運用されてみなければシステムとしての有効性はわかりません。
また一度の構築によって永続的な効果を発揮するとも考え難いでしょう。
ISO認証の取得は継続的な改善や評価によって、システムをより良いものに見直し続けるため継続的な発展に期待できます。
まとめ
今回はISOについて以下の項目を中心にまとめました。
・ISOの基礎知識
・認証制度について
・認証によるメリットとデメリット
ISO認証は国際的に信頼度の高い標準規格であり、認証の取得は企業の信頼獲得にもつながります。その一方で取得には組織全体での協力が不可欠であるため、申請に悩んでいる方も多いかもしれません。
しかし現場の社員を巻き込み取り組める環境が整えば、申請や認証の取得に大きく近づきます。
まずはISOの各規格や内容への理解を深め、自社において適切な規格を検討しましょう。