2022年12月1日公開
シリコンバレーから学ぶ!VUCA時代を生き抜くために求められる人材とは?【前編】ー人脈の作り方ー
先行きが読めない時代を生き抜くためのヒントがシリコンバレーにありそうと思ったえるビーちゃんは、スタンフォード大学に留学経験があり、シリコンバレーだけでなく、世界規模で新規事業の立ち上げを行っているVision Planner株式会社代表塚田勝之氏に根掘り葉掘り聞いてきたよ。今回は前編として、シリコンバレーと日本の違いについてお伝えします。
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シリコンバレーから学ぶ!VUCA時代を生き抜くために求められる人材とは?【後編】ー経営者にとって最も大事なスキルとはー
ー登場人物ー
塚田 勝之氏
Vision Planner株式会社代表
東京生まれ。同志社大法卒。 Stanford univ. MMS 大手IT等での大型提携、事業企画、投資、サービス企画、商品企画の責任者を歴任 スタンフォード大学:マネジメントサイエンス(MS)、建築環境工学研究所、デザイン研究所、国際高等研究所、世界経営者会議運営、シリコンバレー、フィンランド、スウェーデン、イスラエル、中国等共同プロジェクト の実施やロボットベンチャーを経営。また2020年よりVision Planner株式会社を設立し、現在に至る。
Vision Planner株式会社ホームページ:https://vision-planner.com/
えるビー
LB MEDIAのインタビュー記事に出没。得意技はインタビューの時に、なんで?どうして?とどんどん突っ込むこと。趣味は名言集め。今年の目標はLINEスタンプになること。
なぜ、シリコンバレーから世界有数の企業が誕生するのか?
えるビー| 塚田さん!スタンフォード大学に留学されていたそうですが、留学時どのような勉強や活動をされてたんですか?
塚田 勝之氏|2000年から5年くらいスタンフォード大学に在学していました。スタンフォード大学は日本の大学とは異なり、学生だけでなく社会人も多く出入りしています。多くの国際プロジェクトが行われることもあり、その際には様々な人種、様々なレベルの人が集まります。そしてその近くにはシリコンバレーがあり、さながら一つの街を形成しています。
えるビー| 一つの街ですか!日本とは規模が全然違う感じがしますね。ちなみに塚田さんは具体的にはどのようなことを研究されていたんですか?
塚田 勝之氏|スタンフォード大学在学中に3つの研究所に所属しました。最初に所属したのが、建築工学の研究所。次にデザインの研究所、最後に平和研究をしている研究所に所属しました。
えるビー|建築工学やデザインはなんとなく研究内容がイメージできるんですが…平和の研究って何を研究するんですか?
塚田 勝之氏|平和研究とは、諸国家間の紛争の原因やそれが起こりうる背景などから紛争回避の手立てや方法を研究する学問です。諸国家間の紛争が起こる背景には地政学的な理由だけでなく、各国の経済システムの動きの影響があります。そのため平和研究=経済研究とイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
えるビー|なるほど!ちなみにその研究所に在籍していた時には、どのようなことをしていたんですか?
塚田 勝之氏|研究所に所属していた時には世界貿易機関(WTO)に中国が加盟する際のレポート作成の仕事などをしていました。
えるビー|すごい!ちなみにシリコンバレーはハイテク企業の聖地と言われ、AppleやGoogleといった世界有数の企業が集まっていますが、他の地域との違いって何かありますか?
塚田 勝之氏|例えば東海岸、ワシントンDCとかニューヨーク、ボストンなんかの伝統的なアプローチは、全体戦略を打ち出して、組織にはめていく傾向があり、日本の組織と似たようなところがあると思います。
えるビー|トップダウンの組織が多いということですか?
塚田 勝之氏|そうですね。東海岸や日本企業がトップダウンの組織ならシリコンバレーの企業はここが大事なんですけど、良い技術をつくってしまうというような企業が多いです。また、シリコンバレーの企業は自社内で完結せずに、業種問わず他社と提携して、様々なサービスをどんどん作っていきます。
それだけでなくシリコンバレー内で研究所とファンド、そして企業が一緒になって、買収したり、売却したりを繰り返して大きくなっていきます。だからこそ、シリコンバレーにはAppleやGoogleのように他の地域では考えられないようなスピードで企業が大きくなるケースが多々みられます。何も言わなくてもダイナミックに混ざり合います。
えるビー|なるほど〜シリコンバレーにある企業が世界有数の大企業になる秘密ってそこにあるんですね。
シリコンバレー式人脈の作り方
えるビー|仕事をする上で、日本との違いみたいなものはありますか?
塚田 勝之氏|人脈の作り方が違います。日本は、取引先を増やすため、企業の規模を問わず、初対面では必ずといっていいほど名刺交換をします。でも、実際のところは名刺交換しただけなので、あとから名刺を見てもそこに書かれている人が、どのような人なのか?パッと思い出せないことが多いですよね。
えるビー|たしかに……。「どんな人だっけ?」と思うことはすごく多いです。
塚田 勝之氏|その原因は、人間関係での付き合いではなく、取引関係の付き合いになってしまうからです。取引関係だけでの付き合いだと、名刺に書かれた名前の人が組織と役職だけで、どのような人物だったか、お互いに思い出せなくなってしまいます。
えるビー|そうですね!〇〇さんという名前よりも〇〇株式会社の担当者さんって認識してしまいます。シリコンバレーでは違うんですか?
塚田 勝之氏|シリコンバレーではあまり名刺交換から始めません。「〇〇企業の〇〇さん」担当者として付き合うのではなく、「〇〇さん」という人物を知ることから始まります。もちろん売り込みも企業連携もあるので、どこの会社、所属は教えますけど……。
だからこそ仕事の話だけでなく、お互いのキャリアの話をすることもあります。その人の人柄、考えを知り、そこからお互いを理解し合って仕事をします。そのためにも、「自分が何者か?」を知る必要がありますし、話せるように準備しておく必要があります。
えるビー|外国人の方が仕事とプライベートを明確に分けるため私生活などはいちいち話さない人が多そうなイメージがありましたが、日本人の方がその傾向は強いかもしれませんね。人間関係を作るために具体的にどのような話をするんですか?
塚田 勝之氏|今やっていること、興味関心があること、どのようなスキルを持っていて、どのようなキャリアを積んできたのか。または勉強をしてきたのか。さらには、シリコンバレーには多種多様な人たちが集まっていますから、自己主張とまでいきませんが自分が何者かは話をします。このように色々な話をすることで、どんな人かお互いに判断し連携していきます。特にシリコンバレーでは、お互い自分が何者か話をしないと繋がりませんよね。
だからこそ人脈を築くためには、自分の事がわかっていないとそもそも厳しいですよね。例えば日本でもマッチングイベントがたくさんあり、出た方もたくさんいらっしゃると思いますが、名刺交換して何も会話せずおわっていませんか?会社でも隣の人が勝手に思ってるだけで、誰なんだか分かってますか?
えるビー|身近な人のことですら……わかっていない気がしてきました。いろんな話をするほど「相手を知る」ことにつながりそうですね。
塚田 勝之氏|そうですね。40代50代でこれからどうしようとか考えている方が多いのですが、退職して、何か新しいことを始めようと思った時に、「〇〇企業の〇〇です」として仕事をしてきた人は、人脈を築いてこなかったため、苦戦するかもしれません。
今まではそれでよかったかも知れませんが、これからは『個』の力が求められます。だからこそ企業に属している時から、人間同士の付き合いをすることを意識する必要があります。これからの時代を生き抜くために求められるのは、個人としてつながり、お互いのことを深く知っている人間関係を築いておくことだと思います。
えるビー|個人同士のつきあいを深めた方がいいって言われても、いきなり自分が何者かについてペラペラと話せない人の方が多いと思うのですが、どこから始めたらいいのでしょうか?
塚田 勝之氏|自分のことを知り、整理整頓することから始めるといいでしょう。例えば子供の頃、自分がどういうことに関心を持っていたのか。自分が何に感動をするのか。お父さんお母さんの愛情の中で過ごしてきたことも、また自分のルーツを探すことも、自分のことを知る手がかりになると思います。あとは人と話をすることで、整理整頓していくしかないと思います。
シリコンバレーで仕事をしている人は、どのような場所でも自分のことをきちんと話せる人が多いです。それは決して特別な人だからできるのではなく、会話量の問題です。いきなり取引先の人や、イベントやセミナーで初めて会った人に自分のことを話すのは、ハードルが高いと思います。だからこそまずは自分のことを家族や隣の席の同僚と話をしてみることから始めるといいと思います。少し切り口を変えてみたら相手の反応が違ってたり、逆に自分が興味を持ったりということがありますよ。
えるビー|これからの時代に次につながる人脈を作ろうと思ったら、お互いに理解し合える間柄をどれだけ多く作れるかが鍵になってきそうですね。
後編に続く