2020年11月24日公開
【失敗しない?】OJTとは|教育担当者が研修を成功に導く進め方
「OJTを取り入れてみたけど上手くいかない。」
このように悩んでいる教育担当の方や人事の方は多いのではないでしょうか?
もしかしたら今の体制では、教育担当者や指導される側も負担になっているだけかもしれません。即戦力になる人材を育成するためにはうってつけのOJTですが、上手く使わなければ意味がありません。
そこで今回は、下記の項目を中心にOJTについて解説します。
・OJTを取り入れるメリット・デメリット
・OJTを成功させる進め方
OJTを取り入れたはいいものの上手く活かせてないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
OJTとは?実務を通して育成を行うこと
OJTとは「On the Job Training」の略称です。
具体的に説明すると、職場の上司に新人が付いていき実際の実務に触れながら仕事を覚えることや育成を行うことを指します。
入社後、多く企業では研修を実施しますが、研修の一環としてOJTを取り入れている企業もあります。
実際に間近で実務に触れ覚えることで、座学などの研修では得られない技術や知識を得ることが可能です。また、実務に触れながら覚えることができるので、効率よく学習でき、即戦力になる人材を育てる場合には特にうってつけの方法ですね。
OJTとOFFJTの違いは?
OJTについて紹介していく前に、他にも「OFFJT」という教育方法があるのを紹介しておきましょう。
OFFJTとは「Off the Job Training」の略称です。
OJTとは違い、実務には触れずに行う人材教育になります。入社後よく行われるのがこちらのOFFJTになるでしょう。職場を離れ、まずは実務に必要な知識などを学習し、業務の流れなどの確認や学習するのがこのOFFJTの役割になります。
「OJT」と「OFFJT」略称は似ていますが、本来の意味としては真反対のものになるので間違わないように注意をしてくださいね。
次は、実際にOJTを行う時、どういった進め方をすれば良いのか説明していきます。
OJTの進め方は?
OJTを行うには実際どう進めていくのが良いのでしょう?
進め方を間違ってしまうと、教える側も教えられる側も多くの時間を費やすことになり業務に支障が出かねないのでしっかりと確認しておきましょう。主な流れはこの形になります。
・指導を受ける側はわからない部分を質問し解決する
・指導を受ける側が実際にやってみる
・教育担当者からフィードバックを受ける
それでは詳しく確認していきます。
教育担当者が見本をみせる
最初に行うのは「教育担当者が実際に見本をみせる」ということ。
まず、教育担当者が通常通り実務を行い、指導を受ける側にどんなものなのか覚えてもらいます。実務を通すことで実際の流れや雰囲気などもわかるメリットがありますね。
OFFJTではできないことですし、研修後いきなり実務を行うのに比べてミスも減らせることもできるのでしっかりと見ておいてもらいましょう。
指導を受ける側は、教育担当者が行なっている実務を見て分からなかったところや、疑問点など忘れないようメモなどしておくと良いでしょう。
(指導を受ける側は)分からない部分を質問し解決する
見本を見せてもらった後は、質問をして、分からなかった部分を解決しましょう。
誰しも最初は分からないことだらけだと思います。ですので、分からなかった部分はしっかりと解決しておきましょう。
この分からなかったことを解決しなければ、実際に指導を受けた側が実務を行う際つまづいてしまう原因にもなってしまうので注意が必要です。
初めての場合は、緊張や慣れないことから分からないことが分からないといった状態になることもありえます。
だからこそ、教育担当者から「ここは大丈夫だった?」などつまずきやすい点を確認することも大事でしょう。
指導を受ける側が実際にやってみる
質問や疑問点を解決できたら、次は実際にやってみるのが重要です。
実際にやってみるというのは、OFFJTではできないOJT1番の利点です。実務を実際にやってみることで多くの経験が得られます。
また、実務を見た時には出なかった疑問点やつまずきなども出てくることがあるので非常に勉強になるでしょう。
業種によってはやはり実際にやってみないと分からない。ということも多くあります。そのため、実際に業務をやってみることは非常に重要です。
教育担当者からフィードバックをうける
実際に実務をやってみた後は、しっかりと教育担当者からフィードバックを受けましょう。
指導される側もここを改善する必要があり、ここは大丈夫だったのだと実感することで次回の実務に即反映ができるので非常に有効です。
教育担当者も実際に実務を教えるという行動を取ることで、さらなるスキルの向上にも繋がります。
このように実務を見ながら疑問点を解消し、実践、フィードバックを繰り返すことが非常に重要です。何度もフィードバックを行うことで短期間で実務を任せることができ、即戦力となる人材に育てることが可能になります。
ここまでOJTの流れについて紹介してきましたが、次にOJTを導入するメリットやデメッリットについて解説していきましょう。
OJTを導入する3つのメリット
OJTを導入するメリットには主にこの3つがあります。
・教育側のレベルアップにも繋がる
・低コストで行える
それでは詳しく紹介していきましょう。
即戦力になる
まず1つ目のメリットは「即戦力になる」という点です。
OJTは実務を間近で見て経験し、教育担当者から改善を受け、再び実践するというのを繰り返すため短期間で現場や実務を行える人材に育てることが可能です。
実務を通し教育することで、OJT終了後も即実務を行える人材になります。
ですので「すぐにでも使える人材が現場に欲しい」「実務を早く覚えてもらいたい!」という場合にはOJTを行うというのが非常に有効な手段であるでしょう。
教える側のレベルアップにも繋がる
次のメリットは「教える側のレベルアップにも繋がる」という点です。OJTは実務を通しながら、指導を受ける側に教えるので通常の実務を行うのとは少し勝手が違います。
「教える」ということで、教育担当者も実務の振り返りや業務の理解度向上にも繋がるのでさらなるレベルアップにも繋がります。
また、OJTを行うことで指導する側とコミュニケーションをとる必要もあり、教育を行いながらコミュニケーション能力の向上も狙うことが可能です。
低コストで行える
最後に紹介するメリットは「低コストで行える」という点です。
例えば、OFFJTの場合、研修を行う場所や施設、講師の手配や日程の調整など準備する手間やかかるコストが必要なうえ、OFFJTを行う期間の確保が必要です。
ですがOJTは、実際の実務を通して行うので特別場所や準備などもOFFJTに比べると非常に少なくて済みます。
教育担当者さえいれば行え、低コストで即戦力となる人材を育成できるOJTは非常に魅力的ですね。
OJTを導入するデメリットや課題点
先ほどメリットについて紹介しましたが、反対にOJTのデメリットとはどんなものでしょう?主なデメリットはこの2つです。
・教える人によって習熟度が変わる(つまり仕組み化できてない)
それでは詳しく紹介していきます。
教育担当の負担が増える
最初のデメリットは「教育担当の負担が増える」という点です。
実務を通し教育するOJT。即戦力になる人材を育成するにはとっても良い教育方法ですが、教える側の負担は増えてしまうのが現実です。教育担当者は本来の実務とは違い、教えるという「実務+教育」も行わないといけなくなるため負担が大きくなってしまいます。
OJTは教育をする側にも少なからずメリットがありますが、人によっては大きな負担になりかねないので注意が必要です。
教える人によって習熟度が変わる(つまり仕組み化できてない)
次に紹介するデメリットは「教える人によって習熟度が変わる」という点です。
実務自体は変わりませんが、教育担当者側が教え慣れている場合と、教え慣れていない場合では指導される側の質も変わってしまいます。
やはり、教え慣れている人や人に教えることが上手い人の場合、指導される側も上手く教わることができます。ですが、教え慣れていない人が教育担当者になってしまった場合、指導される側も教育担当者側も上手くいかず大きな負担になることも…。
このように教え方や手順まで仕組み化できていないと人によって、習熟度に差が出てしまうのはOJTのデメリットと言えるでしょう。
ではこのデメリットを踏まえたうえで、OJTを成功させるには一体どんなことを行えばいいかを次の見出しで紹介していきます。
OJTを成功させるには?
教育担当者の負担や習熟度の差を解決し、OJTを成功させるには一体どんなことを行えばいいのでしょうか?OJTを上手く活用し低コストで即戦力となる人材を育成するためには以下のことが重要になります。
・研修内容を計画する(指導内容をマニュアル化する)
・PDCAサイクルを回す
それでは詳しく解説していきましょう。
目標決める
OJTを成功させるには、まず目標を設定することが重要です。
「なんとなく実務を見て実践し指導してもらう」というのはあまり良くありません。確実にしっかりと実務を行えるようになるため、明確な目標を設定しましょう。
例えば「いつまでにここまでの実務を行えるようになる」という目標を細かく設定する必要があります。設定した日までに習得できなかった場合は下記の問題が考えられます。
・指導される側の疑問点を解消できてなかった
このように、何かしらの問題が発生している場合があるので改善する必要があるでしょう。
細かい目標を設定することにより、指導される側もどこまでできればいいのかイメージしやすくなります。
研修内容を計画する(指導内容をマニュアル化する)
次に重要なのが、指導内容のマニュアル化を行うことです。
というのもOJTは教育者によって習熟度に差が出やすいデメリットがあります。ですので習熟度に差が出にくいように指導内容をマニュアル化するのが非常に重要です。
研修内容や指導内容をある程度マニュアル化することで、教えることに慣れていない教育担当者でも一定の習熟度にまで教育することが可能になります。
また、内容を明確化することで、教育担当者も教えやすい環境になり教育にかかる負担の軽減もできますね。
PDCAサイクルを回す
最後は「PDCAサイクルを回す」ということです。
PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(振り返り)」「Action(改善)」の頭文字です。
OJTを行ううえで、しっかりと研修計画や指導内容を立て、実行する。そして実行した内容を振り返り、問題点を改善する。
ということを繰り返すことでOJT全体の質を向上させることに繋がります。常にPDCAサイクルを回し、OJT全体の質を向上させていくことでOJT自体を成功に導きます。
PDCAサイクルに関しては、『PDCAサイクルとは?もう古い?メリットや問題点やOODAを解説』を参考にしてください。
まとめ
今回はOJTについて下記の項目を中心に解説しました。
・OJTを取り入れるメリット・デメリット
・OJTを成功させる進め方
OJTには、即戦力になる、教育側のレベルアップにも繋がる、低コストで行えるといったメリットがあり、短期間、かつ低コストで即戦力になる人材を育成できます。
しかし一方で、教育担当者の負担が増える教える人によって習熟度が変わるといった問題点も抱えているのが現状です。
OJTを取り入れ即戦力になる人材を育成するために、まずはツールの導入やマニュアル化の検討を行いましょう。