2021年12月9日公開

ビッグファイブ(特性5因子) ~何が理解でき、どのように活用できるのか~

ビッグファイブ理論とは、心理学的にも信ぴょう性が高いとされている性格分析理論です。日本だけでなく海外でも、採用や人員配置などの場面で活用されています。

 

自社でもビッグファイブ理論を導入し、役立てたいと考えている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は下記の項目を中心に、企業が人事の場面でどのようにビッグファイブ理論を活用できるのかという点を解説します。

 

・ビッグファイブ理論は世界で最も活用される性格分析理論

・ビッグファイブ理論の特性5因子とは

・企業のヒトに関する問題ごとのビッグファイブケーススタディ

・ビッグファイブ診断の導入ならロジック・ブレインのTOiTOiにお任せ

この記事では、ビッグファイブ理論でどのように企業におけるヒトの問題を解決できるかを紹介します。

 

 はやみ|ビッグファイブ理論で個人の特性を理解することは重要ですが、組織の成功には人的資本マネジメントが鍵を握ります。

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ビッグファイブ理論は世界で最も活用される性格分析理論

ビッグファイブ理論は、1980年代に心理学者のルイス・ゴールドバーグ氏が提唱した性格分析理論です。ビッグファイブ理論では「人間が持つさまざまな性格は、5つの要素の組み合わせで構成される」と考えます。

 

 パーソナル分析(性格分析)ができると考えられるようになったのも同時期です。それ以前は、 パーソナル分析(性格分析)とされるものは重要視されていませんでした。1980年代にパーソナリティ(性格)という概念が発現し、パーソナリティ分析により行動予測ができると考えられるようになります。

 

実はビッグファイブ理論以外にも、 パーソナル分析(性格分析)に関する理論が同時期に登場しました。しかし、ルイス・ゴールドバーグ氏が特性5因子について発表したことを受け、他の理論も特性5因子に集約され、世界中で活用されるようになりました。

 

ビッグファイブ理論の特性5因子とは

ビッグファイブ理論は、誠実特性、調和特性、開放特性、外向特性、情緒特性の特性5因子の高低差によって性格を分析します。それゆえ5つの因子の高低差を見ることで、対象者の性格や特性を知ることが可能です。ここでは、それぞれの因子について解説します。

 

誠実特性

誠実特性はセルフコントロールや責任感に関する因子です。

 

 

誠実特性が高い場合の特徴は熟考的な性格で、プラス側面は「粘り強く」「まっしぐら」、マイナス側面は「強情」で「しつこい」です。

 

その一方で、誠実特性が低い場合の特徴は直感的な性格で、プラス側面は「柔軟」「自由奔放」、マイナス側面は「ずさん」で「あてにならない」です。

 

誠実特性が高い場合は自己抑制力や集中力が高く、低い場合はアドリブ力や行動力が高い傾向があります。

 

誠実特性が高い人は、自己コントロール力、忠実性、目標達成能力が高い傾向です。また問題の大小を問わず、逃げ出さずに向き合うことができます。誠実特性が高い人にはこのような特徴があるため、組織で即戦力となる可能性が高い人材です。

 

事実、所得が高い会社員には、誠実特性が高い人が多いという調査結果もあります。

 

誠実特性が高い人に対して、低い人はマニュアル、ルール、計画など何もない状態に強いのが特徴です。そのため、新規事業や独立向きだといえます。

 

誠実特性の高低差によって、このような特性の違いがあります。それゆえ自社にとってどちらのタイプが必要かという視点で、対象者の誠実特性を確認するといいでしょう。

 

組織においては、誠実特性が高い人材は即戦力となる可能性が高いでしょう。もし社内に誠実特性が低い人材がいるなら、計画の作り方や運用の仕方を学ばせることで、誠実特性を高め、即戦力となる人材に育てることができます。

 

 

調和特性

調和特性はチーム内でどのようなポジションで行動するかを示す因子です。

 

 

調和特性が高い場合の特徴は調和的な性格で、プラスの側面は「思いやりがあり」「協力的」、マイナス側面は「ナイーブ」で「従順」です。

 

一方で、調和特性が低い場合の特徴は孤立的な性格で、プラス側面は「競争心が強く」「チャレンジ精神旺盛」、マイナス側面は「理論好き」「理屈っぽい」「信頼できない」です。

 

調和特性が高いと周りに歩調を合わせて行動し、低いと自分の判断で行動する傾向があります。このような理由から、日本では調和特性が高い人ほど出世し、反対にアメリカでは調和特性が低い人の方が出世します。

 

また、チームの中で調和特性が高い人が辞めてしまうと、チームがバラバラになってしまいます。それゆえ、チームワークが必要なプロジェクトや業務には、調和特性の高い人が欠かせません。

 

調和特性が高い人に対して低い人は、カリスマ性が高く、個人で仕事やプロジェクトを進めるのを得意とします。また論理的かつ合理的な考え方をします。つまり、個人単位で業務を行う際には、調和特性が低い人の方がパフォーマンスを発揮できるでしょう。

 

日本の組織では、チームワークや社内の人間関係を重要視するため、調和特性が高い人の方が評価が高い傾向があります。

 

しかし業務内容によっては、調和特性が低い人の方が成果をあげる可能性もあります。そのため、対象者の調和特性を確認する際には、自社の業務に必要な人材はどちらなのか?得意とする環境はどちらの環境なのか?という視点を持つといいでしょう。

 

 

 

開放特性

開放特性は、新しい経験に対する反応を示す因子です。チャレンジ力とも読み替えることができます。

 

 

開放特性が高い場合の特徴は創造的な性格で、プラスの側面は「創造的」「感受性豊か」、マイナス側面は「予期できない」「散漫」です。

 

一方、開放特性が低い場合の特徴は保守的な性格で、プラス側面は「現実的」「データ主義」で、マイナス側面は「閉鎖的」「独善的」です。

 

開放特性が高いほど、新しいことに対して果敢に取り組み、未知なる環境を好みます。一方で、開放特性が低い場合は安定志向で、保守的な側面が現れやすいといわれています。また、開放特性は感受性を示す因子のため、開放特性が高いほど創造性が高く、芸術的なものに強い関心を持ちます。

 

開放特性が高い場合は、変化のスピードが早い新規事業や研究開発を行う部署、反対に低い場合は変化がない環境で、事務的な業務が向いています。

 

開放特性は20歳までの経験によって決まるため、誠実特性のように20歳以降に高めることができません。それゆえ採用や人員配置の場面では、対象者の特徴を把握する際に活用するといいでしょう。

 

 

外向特性

外向特性はコミュニケーションや、新しい人との出会いなどにポジティブなことに対して、どのような反応をするかを示す因子です。

 

 

外向特性が高い場合の特徴は外向的な性格で、プラスの側面は「社交的」「積極的」、マイナス側面は「目立ちたがり屋」「強引」です。

 

その一方で、外向特性が低い場合の特徴は内向的な性格で、プラス側面は「控えめ」「遠慮がち」「思慮深い」、マイナス側面は「冷淡」「自己陶酔」です。

 

外向特性が高いほど、積極的に多くの人と関わり、環境の変化にも柔軟に対応できます。一方、外向特性が低い場合、人見知りのケースが多いとされています。

 

外向特性が高い人は外部とのコミュニケーションに強く、目標に対しても積極的で野心的なため、営業の最前線など、多くの人と関わる職種が向いています。反対に外向特性が低い人は、後方で営業をサポートするなどデスクワークが向いています。

 

事実、ある外資系企業では外向特性が高い人を営業職に、外向特性が低い人を営業の後方支援をする部署に配置して成果をあげています。

 

つまり、外向特性に合ったポジションに配置されると成果をあげやすく、外向特性に合わないポジションに配置されると負荷がかかり、パフォーマンスが下がると考えられます。

 

もし営業部門で思ったより成果が出ない、もしくは期待した成果が出ていない社員がいるのなら、外向特性に合ったポジションに配置できているか見直すといいでしょう。

 

 

情緒特性

情緒特性は、ネガティブなことに対する反応を示す因子です。

 

情緒特性が高い場合の特徴は直情的な性格で、プラスの側面は「すぐに対応する」「スピード感がある」、マイナス側面は「安定感に欠ける」「感情的」です。

 

その一方、情緒特性が低い場合の特徴は論理的な性格で、プラス側面は「変化に強い」「落ち着いている」、マイナス側面は「無頓着」「無関心」「退屈」です。

 

情緒特性が高いと繊細で感受性が高く、低いとプレッシャーに強い傾向があります。

 

日本人は新しいものを生み出すよりも既存のものを改善する方が得意なことから、情緒特性が高い人が多いといわれています。

 

情緒特性は、ストレス耐性に関する因子だと考える人が多いため、情緒特性が低い=ストレスに強い=企業にとって良い人材と思われていました。

 

しかしながら、情緒特性が高い人は、ネガティブなことに過敏なため、危機管理能力が高いのです。それゆえ、慎重な対応が求められる業務や、細やかな対応が求められる業務には、情緒特性が高い人の方が向いています。

 

反対に情緒特性が低い人は、ストレスには強いですが、リスクに対して楽観的に捉えてしまい、危機管理能力が低いでしょう。一方でノルマや納期、締め切りが厳しい仕事など、プレッシャーがかかる仕事には向いています。

 

このように情緒特性の高低差によって、特性が異なります。それゆえ情緒特性に着目することで、最適な人員配置が可能になります。

 

企業のヒトに関する問題ごとのビッグファイブケーススタディ

ここでは企業のヒトに関してよくある問題を5つピックアップし、ビッグファイブ理論を活用した解決方法を紹介します。

 

ケース1:社内の営業チームを強化したいが、個人プレーヤーばかりだ。 チーム力を上げたい場合、どの因子が必要?

チームのメンバーが個人プレーに走ってしまう場合は、チームメンバーの調和特性は低いと考えられます。そのためこのケースの場合、調和特性が高い人をチームに加えることで、チームワークの向上が期待できます。

 

ケース2:目標達成できないチームにはどの因子が必要か?

目標達成できない、もしくは計画を立てても計画通りに進めることができない場合、誠実特性の低いメンバーが多い可能性が高いです。このような場合には、個人がバラバラに計画を立てていたり、PDCAサイクルを回していたりする恐れがあります。

 

この状態を改善するためには、誠実特性の高い人材をチームに加えたり、徹底的に計画の運用の仕方を教えたりすることで、改善が期待できます。

 

ケース3:自発性や突破力を上げるためにはどの因子が必要か?

組織が安定してしまい、新しいことに挑戦しようとする機運がないのなら、開放特性が低い人が多い可能性が高いでしょう。そのため開放特性が高い人を加えることで、状況が改善する可能性があります。

 

開放特性が高い人は、新しいことを考えたり行ったりすることが苦になりません。特性5因子は、過去の経験によって得た特性のため、開放特性が高い人は、過去に新しい企画を立ち上げ実行した経験があるケースが多いでしょう。

 

これらの理由から、現状を打破し、新しい取り組みを行いたい場合には開放特性が高い人を加えるといいでしょう。

 

ケース4:社外や他部署との関係性が弱いチームを強くするためには、 どの因子が必要か?

他部署と上手く連携できず、自分たちのチーム内だけで完結してしまったり、密室での会議だけで物事が決まってしまったりすることが多い、また情報収集の際に、本やネットの情報だけで生きた情報が獲得できないのなら、外向特性が低い人が多い可能性が高いでしょう。

 

このようなケースの場合、外向特性が高い人を加えることで、他部署との協力関係や、他社とのコラボなどが進みやすくなります。

 

外向特性が高い人を一人加えるだけで組織の風通しも改善します。このように社外や他部署との関係性が弱い場合は、外向特性の高い人を加えるといいでしょう。

 

ケース5:ブランディングや設計が弱いチームには どの因子が必要か?

ホームページやパンフレットのデザインに統一性がなく、ブランディングがしっかりできていない場合は、情緒特性の低い人が多い可能性が高いでしょう。なぜなら、情緒特性が低い人は、大雑把に物事を決めてしまう傾向があるからです。

 

このようなケースでは、情緒特性が高い人を加えることで、細部にわたってチェックができ、細かく指示を出すことが可能です。それにより、ホームページやパンフレットのデザインに統一性がなく、ブランディングができないといった事態を避けることにつながります。

 

このようにビッグファイブによる性格診断を企業で活用する場合、対象者の特徴を把握するだけでなく、今の組織の課題をまず明確化し、その課題を解決するために、どのような人(どの因子が高い人)を加えたらいいのかを判断する材料にするといいでしょう。

 

ビッグファイブ診断の導入ならロジック・ブレインのTOiTOiにお任せ

引用元:株式会社ロジック・ブレインTOiTOi公式ホームページ

 

TOiTOiは、株式会社ロジック・ブレインが企画開発、運用を行っているクラウドHRMシステムです。TOiTOiなら、下記の3つの視点で、対象者の個性や能力を可視化できます。

 

 

TOiTOiでは、対象者の今までの環境要因や努力によって身につけた後天的な性格・特性を把握する手段として、ビッグファイブ診断を採用しています。

 

TOiTOiのビッグファイブ診断なら、Web上で60の質問に回答するだけで、ビッグファイブ診断を実施できます。診断結果はレーダーチャートによって表示されるため、対象者の特性5因子の高低差を一目で確認できます。

 

さらにTOiTOiのビッグファイブ診断は、特性5因子ごとの平均値を偏差値に落とし込んで、それぞれの因子ごとに偏差値を算出し、ABCの三段階で評価します。

 

これにより、対象者の特性5因子を他者と比べた際に高いのか低いのかという点を、客観的に判断できます。TOiTOiのビッグファイブ診断なら、採用活動や人員配置などの場面で簡単にビッグファイブ診断の導入が可能です。

 

 

まとめ

この記事では、下記の項目を中心に、企業が人事にまつわる場面でどのようにビッグファイブ理論を活用できるかという点を解説しました。

 

・ビッグファイブ理論は世界で最も活用される性格分析理論

・ビッグファイブ理論の特性5因子とは

・企業のヒトに関する問題ごとのビッグファイブケーススタディ

・ビッグファイブ理論の導入ならロジック・ブレインのTOiTOiにお任せ

ビッグファイブ理論からわかる特性は、本人の今までの環境要因や努力によって獲得されたものです。採用や人員配置の場面で企業側がこれらの特性を把握することで、適切な部署に適切な人材の配置が可能となります。それにより企業は成果をあげることができ、社員は高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

 

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