ウェルビーイングを考える際に知っておきたいポジティブ心理学とは

ウェルビーイングを実現するための取り組みを進めている方も多いのではないでしょうか?しかしながら、どのようにウェルビーイングを実現するための施策を実施したらいいのかわからない方も多いかもしれません。このような時に参考にしたいのがポジティブ心理学です。

 

ポジティブ心理学は、成功したから幸福になるのではなく、幸福だから成功することを証明しました。そして、ウェルビーイングを実現するためにどのようなアプローチをすればよいか科学的に解き明かしています。そこで今回はポジティブ心理学について下記の項目を中心に解説します。

 

・ポジティブ心理学とは

・ポジティブ心理学の基礎知識

・ポジティブ心理学に基づいたマネジメント手法

では、まずポジティブ心理学の成り立ちや定義についてみていきましょう。

 

ポジティブ心理学とは

ポジティブ心理学は1998年に米国心理学会会長でペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・セリグマン博士によって発議、創設されました。それによりアメリカの心理学者を中心に研究が進みました。

 

それまでの心理学は精神疾患といったネガティブな面に焦点を当て、マイナスをゼロにするという考え方が主流でした。しかしながらポジティブ心理学では、人間のネガティブな面に着目するのではなく、ポジティブな面に着目し、研究しようという考えが根底に流れています。

 

ポジティブ心理学では私たち一人ひとりの人生や、私たちの属する組織や社会のあり方が、本来あるべき正しい方向に向かう状態に注目し、そのような状態を構成する諸要素について科学的に検証と実証を試みます。

 

さらに成功したから幸福になるのではなく、幸福だから成功することを証明しました。このことをハピネスアドバンテージ(幸福優位性)といい、ショーン・エイカー博士によって提唱されました。

 

現代では、ポジティブ心理学はマイクロソフト社やグーグル社などの各種大手企業だけでなく、イギリスやドイツといったヨーロッパ諸国だけでなく、韓国や中国でも政府レベルでポジティブ心理学を活用した取り組みが行われています。

 

ポジティブ心理学の基礎知識

ポジティブ心理学では、ウェルビーイングの5つの構成要素のレベルをあげることで、個人や組織、地域社会、国家の繁栄度(flourish)を向上させることを目的としています。

 

ウェルビーイングとは、『持続的な幸せ』のことを指します。身体的に健康というだけでなく、精神的にも社会的にも満たされていて、かつその状態が継続的であることがポイントです。

 

 ウェルビーイングの指標として、マーティン・セリグマン博士は、PERMAモデルを提唱しています。

 

PERMAモデル

PERMAモデルの5つの要素は下記の通りです。

 

 

上記の頭文字をとって、PERMAモデルと言われています。ただしここ近年はVitality(身体面の活力)を加えたPERMA-Vモデルが登場し、6つの要素が満たされることでウェルビーイングな状態になると考えます。

 

ウェルビーイング状態を測定するには

PERMA-ProfilerはPERMAモデルに基づいてウェルビーイング状態を測定できる心理検査です。下記のサイトで測定することができます。

 

KIT金沢工業大学心理学研究所

 

ポジティブエクササイズ

ウェルビーイング状態が低い場合は、ポジティブエクササイズによって高めることが可能です。

 

ポジティブエクササイズの代表的なプログラムがThree Good Things :TGTです。1日の終わりに、その日1日の出来事を振り返りながら、上手くいったことを3つノートなどに書き出します。この時に合わせて上手くいった理由も合わせて書き、これを1週間続けます。

 

もし興味があれば取り組んでみるといいでしょう。

 

レジリエンス

レジリエンスとは困難を克服する力です。レジリエンス研究の第一人者のペンシルベニア大学ポジティブ心理学センターのカレン・ライビッチ博士は下記のように定義しています。

 

レジリエンスとは「逆境から素早く立ち直り、成長する能力」

ポジティブ心理学では、PERMA全要素の測定値の向上を促進する力と捉えています。レジリエンスは下記の8つの要素で構成されていると考えます。

 

 

上記の8つの要素を組み合わせることで、困難や逆境に遭遇した際に、柔軟に対応するだけでなく、素早く立ち直ることができると考えます。ただし、生物学的要素とポジティブな社会制度は個人では変化させることが困難です。そのためレジリエンスを高めたい場合は、その他の6つの要素に着目しましょう。

 

ABCDE理論

ABCDE理論は、1995年頃にアメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが提唱したカウンセリング理論です。ある出来事に対する非合理な信念(Irrational belief)を合理的な信念(Rational belief) へ変えることが目的です。

 

 

A(出来事)とC(結果)の間に、B(思い込み)が発生していることに気がつき、D(反論する)ことで、新たなE(効果)を創り出す手法です。

 

例えば、仕事中に上司から会議室に来るように呼び出された時に、ドキっとして不安や困惑に襲われてしまい、その結果、気が重くなってしまったとします。このように不安や困惑してしまうのは「何かミスしてしまった?」「自分あてにクレームが入った?」「自分だけなぜ呼ばれるのか?」とあれこれ考えてしまうのが原因ではないでしょうか?

 

しかしながらこれらの不安や困惑の原因は、ただの自分の思い込みに過ぎなかった場合が多いです。

 

ABCDE理論では、A(出来事)とC(結果)の間に、B(思い込み)=思考の罠に気がつき、D(反論する)ことで、思い込みを変えて、E(新たな効果=結果)を生むことが可能です。そのためまずは、B(思い込み)=思考の罠に気がつくことから始めるといいでしょう。

 

強み(キャラクターストレングス)

ポジティブ心理学では、PERMAの土台となるものを、強み(キャラクターストレングス)と定義しています。自分の強みを発揮することで、他社に貢献し成果が出たときに、達成感や幸福感が生まれます。そのため、ポジティブ心理学では、ウェルビーイング状態を高め、維持するためには、自分の強みを知ることが重要だと考えます。そこでここでは、強みについて解説します。

 

強みとは3つのE

ポジティブ心理学の強み(キャラクターストレングス)とは、「性格の強み」や「強みとしての特性」という意味です。米国オハイオ州の非営利団体、VIA Institute on Characterのライアン・ニーミック博士は強みの特徴について下記のように紹介しています。

 

 

自分の強みが分からない時は、この3つのEを参考にして考えてみるといいでしょう。

 

24個の強み(キャラクターストレングス)

マーティン・セリグマン博士とミシガン大学のクリストファー・ピーターソン教授が中心となって、普遍的な強み(キャラクターストレングス)として下記の24個を定義しています。

 

参考:VIA_キャラクターストレングスリスト

 

ポジティブ心理学では、自分の強みを活かした活動や仕事をすることが幸せに結びつくと考えます。自分の強みを調べたい場合、下記で調べることが可能です。

 

VIAサーベイ

 

また、LB MEDIAの運営会社の株式会社ロジック・ブレインが開発提供するクラウドマネジメントツール【TOiTOi】なら、個人データベース分析とビッグファイブ診断により、より多角的に自分の強みや性格、価値観を知ることが可能です。さらに、社員の個性をAIで分析して行動傾向を把握できるため、それぞれの特性にあわせて最適なマネジメントも可能です。

 

引用元:TOiTOi公式ホームページ

 

個人分析だけでなく、強みを活かした組織マネジメントにご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

ポジティブ心理学に基づいたマネジメント手法

ポジティブ心理学では、チームに属する個人がお互いに強みを知り発揮し、弱みを補完し合うことが、チームとしてパフォーマンスを発揮できると考えます。そこでここでは、ポジティブ心理学に基づいたマネジメント手法について解説します。

 

ポジティブアプローチ

ポジティブアプローチとは、組織や個人の強みや価値にフォーカスして、より成果を生み出すアプローチ方法です。一方で、組織や個人の弱みや課題にフォーカスして、解決策にアプローチする方法をギャップ・アプローチといいます。ポジティブ・アプローチとギャップ・アプローチとの違いは下記の通りです。

 

このようにポジティブアプローチは、強みや価値にフォーカスして、それらを伸ばすことで成果をあげる手法です。今後、個人や組織のウェルビーイングが重要になる時代において、マネージャーには、ポジティブアプローチによる、組織運営が求められるでしょう。

 

AI(価値探求)

AI(価値探求)とは、Appreciative(アプリシエイティブ)Inquiry(インクワイアリー)の略で、組織コーチング手法です。ケースウェスタンリザーブ大学マネジメント大学院のデビッド・クーパーライダー教授によって開発されました。

 

AI(価値探求)では、インタビューやディスカッションを用いて基本プロセス「4Dサイクル」を実施します。AI(価値探求)の「4Dサイクル」は下記の通りです。

 

例えば、今期の目標を達成できなかった際に、上司から「目標を達成できなかった理由は?原因はなに?」と質問された場合、できないことや問題点に意識が向いてしまいます。その一方で、上司から「今期は目標を達成できなかったけど、来期の目標を達成するための、活かせる強みはなに?」「どのようにしたら強みを発揮できると思う?」と質問されると、強みや潜在能力といった、ポジティブな面に意識が向きます。

 

このようにAI(価値探求)では、問題や課題にフォーカスし、改善するのではなく、強みにフォーカスして、強みや潜在能力を引き出していく手法です。そのため従来の問題解決手法に比べると、個人やチームの活力が高まるアプローチだといえます。

 

まとめ

今回は下記の項目を中心にポジティブ心理学について解説しました。

 

・ポジティブ心理学とは

・ポジティブ心理学の基礎知識

・ポジティブ心理学に基づいたマネジメント手法

個人やチームの活力を高め、成果をあげるためにはポジティブ心理学に基づいたアプローチが欠かせません。ぜひこの機会にできるところからはじめてみてはいかがでしょうか?

 

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