2020年10月29日公開

コーチングとは?初心者でもすぐに取り入れ成果をだせる基本ポイントを解説

「コーチングの技術を身につけて、より効果的に人材育成をしたい」
「部下のモチベーションが低下し、業績にも悪影響が出ているのでなんとかしたい」

 

このような悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そこでこの記事では、下記の項目を中心にコーチングについてお伝えします。

 

・コーチングの定義とコーチングの活用シーン
・コーチングのメリット・デメリット
・コーチングの基本ポイント4つ
・コーチングとティーチングの違い

職場でコーチングを実践することで、行動力のある部下を育成できます。また自分自身のコミュニケーション力も飛躍的にアップします。

 

コーチングをやってみたい!と思われる方はぜひ参考にしてくださいね。

 

コーチングとは?コーチングの定義とコーチングの活用シーン

コーチングの定義とコーチングの活用シーンについて解説します。併せて、コーチングが向かないケースについても紹介します。

 

コーチングの定義

コーチングでは、コーチングをする側をコーチ、コーチングを受ける側をクライアントと呼びます。

 

コーチングとは、クライアントが自分で思考し、行動する習慣を身につけるための、会話スキルを指します。

 

コーチはクライアントの話を共感的態度で聴き、さまざまな角度から問いかけます。それにより、クライアントが自分の内面と向き合い、考えを整理し、自発的に行動できるよう支援します。

 

コーチングによりクライアントは、課題解決や目標達成のためにどうしたらよいか、自分なりの答えを見つけ行動します。その結果、クライアントは自分で考えてやり遂げたという自信を持ちます。

 

コーチングの活用シーンとコーチングが向かない場合とは?

コーチングの活用シーンとコーチングが向かないケースについてお伝えします。

 

コーチングの活用シーン

コーチングは、下記のような場面で活用すると効果的です。

 

・部下がやる気や自信をなくしている時
・本来持っている能力をうまく発揮できていないように見える時

というのも、コーチングは、部下に対して自己効力感を与えることができる手法だからです。自己効力感とは、「こんな風にしたらうまくいくだろう」という期待に対し、「自分はそれをやれる!」という自信を指します。

 

自己効力感が高まることで、人は本来の能力を発揮できるようになります。また自信ややる気も生まれます。だからこそ、部下のやる気が低下していると感じる時や、もっとできるはずなのにと感じる時は、部下に対してコーチングを実施するとよいでしょう。

 

コーチングが向かない場合

一方で、コーチングが向かない場合もあります。

 

・部下がやる気や自信をなくしている時

・部下が、本来持っている能力をうまく発揮できていないように見える時

このような時は、コーチングを実施しても本来の効果を発揮できないため、不向きと言えます。

 

というのも、コーチングは自問自答を支援する会話術のためです。

 

まったく変化を求めていない部下に対して、自分の内面と向き合い、自分なりの答えを見つけ行動に移せるようサポートしたとしても、本人の気づきや自己解決にはつながらない可能性が高いでしょう。

 

また、緊急性が高く本人に考える時間を与えられない場合や、経験値がほとんどない社員に指示を出して行動してもらうといった場合には、コーチングは不向きです。このような場合は、ティーチングの方が向いている可能性が高いです。

 

コーチングのメリット・デメリット

コーチングのメリット・デメリットについて解説します。

 

コーチングの3つのメリット

コーチングのメリットは以下の3つです。

 

・目標達成や課題解決に対し、働きがいを感じながら取り組める

・一人で考えて行動するよりも、多角的に思考でき、内省も深まる

・課題解決能力が高まり、自発的に行動できる

 

1つずつ詳しく解説します。

 

目標達成や課題解決に対し、働きがいを感じながら取り組める

コーチはクライアントの自主性を尊重し、自己効力感を得られるように支援します。そのため上司が部下に対してコーチングを行うことで、部下はやりがいを持って目標達成や課題解決に向けて取り組めるようになるでしょう。

 

一人で考えて行動するよりも、多角的に思考でき、内省も深まる

コーチはクライアントがいつもの思考パターンから抜け出し、異なった発想や気づきを得られるよう、さまざまな角度から質問します。つまり、上司が部下に対して、コーチングを実施することで、部下は多角的に思考できるようになり、その結果内省も深まります。

 

課題解決能力が高まり、自発的に行動できる

コーチングでは、クライアント自身が自分の行動を決め、課題解決に向けて取り組みます。また自分で決めた行動による結果であれば、どのような結果でも真摯に受け止め、かつどのようにしたら課題を解決できるか考えるようになります。

 

コーチングにより部下の自発的行動を引き出すだけでなく、コーチングを繰り返すことで、部下の課題解決能力の向上が期待できます。

 

コーチングのデメリット

状況によっては、コーチングのやり方がデメリットとなるケースがあります。

 

コーチングは、基本的に1対1で実施し、1回のコーチングは30分〜60分程度が望ましいとされています。つまり、部下の人数が多くなればなるほど、上司側がコーチングに費やす時間が増えてしまいます。そのため、定期的かつ継続的に行う場合は、上司側の時間管理が重要になります。

 

特に繁忙期は、十分な時間を取りにくいでしょう。このような場合、日常会話の中にコーチングを取り入れるのがおすすめです。5分くらいの短時間の会話でも、部下に自ら考えさせる問いかけをすることで、部下自身が納得できる解決策を引き出せます。

 

コーチングの基本スキル

コーチングの基本スキルは以下の4つです。

 

・傾聴と質問

・ペーシング&ミラーリング

・承認

・フィードバック

 

それぞれの基本スキルについて、具体的な例とともに解説します。

 

傾聴と質問

傾聴と質問は、コーチングにおいて最重要なポイントで、2本柱と言っても過言ではありません。

 

傾聴とは、相手の話を積極的に聴くコミュニケーション技法です。受容的態度と共感的理解で、相手に興味と関心を持ちながら話を聴きます。

 

傾聴により、クライアントの自発的な気づきを促すことができます。そのため、傾聴はコーチングの基本姿勢とされています。

 

 

次に、質問とは、問いかけを行うスキルを指します。

 

例えば、コーチがクライアントに対して質問を投げかけることで、普段の思考パターンでは生まれないような発想や気づき、新たな視点を与えます。

 

コーチングの場面において、質問する際には、普段の会話で発する素朴な疑問をそのまま投げかけるのが基本です。会話の中で生じた素朴な疑問やキーワードを拾い上げて質問することで、クライアントに気づきを与えます。 具体的には下記の通りです。

 

「あなたはどうしたいの?」「どう思っているの?」

「イライラするって言ったけど、もう少し詳しく教えてくれる?」

コーチングだからといって、質問しようと身構える必要はありません。また、クライアントにとってキーワードになるような言葉や、感情に関する言葉を拾い上げて質問するのも効果的です。

 

ペーシング&ミラーリング

相手のペースに合わせることをペーシングといい、相手の見た目に合わせることをミラーリングといいます。

 

ペーシングでは、相手の呼吸、話す速度、声のトーンや大きさ、抑揚などを、できる限り相手に合わせます。それにより相手に安心感や心地よさを与えます。

 

ミラーリングでは、相手と同じような身振り手振りや座り方、相手の表情に合わせて自分の表情も変えていきます。文字通り鏡のようにふるまうことで、相手に安心感を抱いてもらうテクニックです。

 

コーチングの場面にペーシングとミラーリングを取り入れることで、クライアントに一体感や安心感を与え、信頼関係を構築します。これにより、クライアントが自分らしく話せる雰囲気を作ります。

 

承認

相手をほめる言葉だけでなく、相手を力づけるプラスの言葉がけを総じて承認と言います。

 

承認では、本心から伝えることがポイントです。上辺だけの言葉は相手の心に響きません。

 

本心から言っていると相手に伝わることで、相手は自信を深めます。具体的な承認の仕方を以下の4点にまとめました。

 

上記のように、相手をほめる言葉だけでなく、相手を力づけるプラスの言葉がけを行うことが重要です。これにより部下は、上司は常に自分の味方であるという安心感を得られ、行動の原動力につながります。

 

フィードバック

フィードバックとは、会話の中で感じたことを伝える手法です。

 

例えば、上司が部下に対してフィードバックすることで、自分では気づけなかった自分の内面や抱いている感情に気づく結果につながります。

 

フィードバックの具体例を確認しましょう。

 

フィードバックの具体例その①

 

上司| 今すごく怖い顔をしてるよ。

 

部下| (内心の声)気づかなかったけど、自分は怒っているんだな。

 

フィードバックの具体例その②

 

上司| どうしようと言いながら、うれしそうだね。

 

部下| (内心の声)そうか、今自分はうれしいんだ。

 

このように上司からフィードバックを受けることで、部下は自分の本心に気づきます。だからこそ、会話の中で感じたことをそのまま部下に伝えてみましょう。

 

コーチングは文章だけでは習得が難しいものです。そのため、練習を繰り返して基本スキルを身につける必要があります。

 

コーチングとティーチングの違い

部下との会話の中で、コーチングの方がいいのかティーチングの方がいいのか、迷った経験がある方も多いと思います。

 

どちらを使えばいいか悩む場合は、部下の経験値に応じて使い分けるといいでしょう。経験の浅い若手社員や新入社員には、まずはティーチングで業務の基本を教えます。

 

一方で、ある程度経験を積んだ社員に対しては、基本を応用して自分なりに取り組めるよう、コーチングを用いて関わります。

 

さらに、経験値が高く単独で専門的な業務を担える社員には、本人の自主性を尊重し、コーチングで本人の能力を引き出していくのが望ましいでしょう。。

 

コーチングは部下の能力を引き出すスキル、ティーチングは上司の知識や経験を教えるスキルです。部下の成長に合わせて使い分けましょう。

 

 

まとめ

今回は、コーチングについて下記の項目を中心に解説しました。

 

・コーチングの定義とコーチングの活用シーン
・コーチングのメリット・デメリット
・コーチングの基本ポイント4つ
・コーチングとティーチングの違い

部下のやる気や能力を引き出すコーチングのスキルを習得すれば、部下の育成やお互いのコミュニケーションに大きな効果を発揮します。

 

記事の内容を参考に、ぜひコーチングを効果的に活用してください。