ピープルアナリティクスとは?意味やメリットから導入の手順や課題まで徹底解説

人事データの活用は、大企業での話で、中小企業には関係ないと思われていませんか?しかしながら、テクノロジーの発達により、ひと昔前に比べると人事データをマネジメントに活かすことが容易になってきました。そこでこの記事では、ピープルアナリティクスについて下記の項目を中心に解説します。

 

・ピープルアナリティクスの意味や注目が集まる背景

・活用するメリットや活用場面

・ピープルアナリティクスに必要な4つのデータや実施の流れ

・導入時の課題や成果を出すポイント

まずは、ピープルアナリティクスの意味や注目が集まる背景からみていきましょう。

 

目次

ピープルアナリティクスとは

近年テクノロジーの発達により、人事データの活用が容易になってきました。そこで登場したのがピープルアナリティクスです。ここではピープルアナリティクスの意味や目的、注目を集める背景、日本での導入状況について解説します。

 

ピープルアナリティクスの意味

ピープルアナリティクスは、勘や経験ではなく、人材に関するデータを収集分析し、人材マネジメントを科学的に行う手法です。

 

2009年頃にグーグルが「Project Oxygen」というプロジェクトを立ち上げて、優れたマネジャーの要件を研究したのがピープルアナリティクスの先駆けといわれています。米国では2011年頃から、グーグルやフェイスブックなどの先進企業を中心に導入が進み、今では専門部署を人事内に配置するケースが当たり前といえるほどピープルアナリティクスが普及しています。

 

ピープルアナリティクスに注目が集まる背景

ピープルアナリティクス以前の日本では、異動履歴や評価履歴はデジタルデータとして管理されていました。その一方で人事配置や採用時の意思決定は、人事担当者の勘や経験で行われているケースが多いのが実情です。

 

しかしながら、人事担当者の勘や経験での人事配置や採用は、ミスマッチの可能性が高く、社内の昇格や評価に対する納得感も得られにくいことなどの問題がありました。これらの問題を解決する方法として、日本でもデータに基づき客観的な判断が可能となるピープルアナリティクスに注目が集まっています。

 

日本での導入状況

日本では大企業を中心にピープルアナリティクスの導入が進んでいます。事実、PwC Japanグループが実施した「人材データの分析活用度調査」によれば、人材データ分析に関する取り組みを既に予定/実施している企業の割合は2016年と比較して7ポイント、従業員5,000名以上の企業に限れば21ポイント増えています。

 

引用元:PwC Japanグループ「人材データの分析活用度調査」

 

このことからも、大企業を中心として人材データ分析の活用の流れが着実に広がっているといえるでしょう。また、活用データに関する現状と3年後の展望に関しては、基本的な人事データ(評価情報・経歴情報・勤怠情報・育成情報)のみならず、より広範囲なデータ活用のニーズが高まっていることがわかりました。

 

引用元:PwC Japanグループ「人材データの分析活用度調査」

 

この調査結果から、今後日本でもピープルアナリティクスの導入が進んでいくと予測できるでしょう。そのため、早い段階からピープルデータの収集や分析、活用しやすい環境整備が急務といえます。

 

ピープルアナリティクスを活用するメリット

今まで人材に関するデータの収集や分析、そして活用していなかった企業にとって、一から取り組むのはハードルが高いかも知れません。そこでここではまず、ピープルアナリティクスを活用するメリットについて解説します。

 

企業にとってのメリット

ピープルアナリティクスを活用することで、人事における重要な意思決定をデータに基づいて定量的かつ客観的に判断できるメリットがあります。

 

例えば、採用可否の意思決定の場で、最終的な意思決定を人事担当者の勘や経験に頼っていた場合、採用可否を判断していた人事担当者が退職してしまうと、後任者では同じように採用可否の判断できない恐れがあります。しかしながらピープルアナリティクスを活用していれば、後任の人事担当者でも適切な判断が可能になるでしょう。

 

また、人事配置や人事評価で人事担当者の勘や経験に頼っていた場合、これらに対する従業員の不満に対して納得のいく説明が難しいケースも多々あるでしょう。そして、納得感に欠ける人事配置は、従業員の不満を生み、生産性の低下や退職者の増加などにもつながります。

 

仮にこのような場面でピープルアナリティクスを活用できていれば、意思決定の理由についても客観的に説明ができるようになります。それにより従業員側も納得感を得られやすくなります。その結果、従業員エンゲージメントの向上につながるでしょう。

 

このようにピープルアナリティクスにより、人事における重要な意思決定や人事に関する問題に対して、分析的アプローチを採用でき、その結果、より効果的かつ公正な解決策や意思決定が可能になります。

 

従業員にとってのメリット

ピープルアナリティクスを活用することで、人事配置や人事評価の結果に対して、担当者の主観や感情ベースでの説明ではなく、データに基づいた客観的な説明を受けることで納得感を持って働けるようになるメリットがあります。

 

また、人事配置におけるマッチングの精度が高くなれば、配置のミスマッチが生まれにくくなります。その結果、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスを維持しやすくなるでしょう。

 

このように従業員にとっても、ピープルアナリティクスの活用はメリットがあるといえます。

 

ピープルアナリティクスの活用場面

ピープルアナリティクスはあらゆる場面で活用できます。ここではどのような場面でピープルアナリティクスを活用できるのかを解説します。

 

人材育成

人材育成とは、理念やミッションに共感し、企業の成長に寄与する人材を育成することです。そのため、業務に必要な知識やスキルの習得だけでなく、理念やミッションへの理解を深める必要があります。

 

ピープルアナリティクスを活用により、個人のスキルや個性に関するデータを可視化することで、上司と共有できるようになります。それにより本人のスキルや個性にあわせた、育成プログラムの構築も可能となるでしょう。

 

タレントマネジメント

タレントマネジメントとは、個性にあわせたマネジメントにより従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる環境を整えて、企業成長につなげていく取り組みです。

 

タレントマネジメントでは、採用、配置、育成、評価などを戦略的に実施する必要があります。それゆえ従来の勘や経験による判断では限界があるでしょう。

 

タレントマネジメントの場面で、ピープルアナリティクスを活用することで、人事配置の決定の際に、本人の能力やスキル、キャリアプランだけでなく、上司やメンバーとの相性など多角的に判断が可能です。

 

それにより人事配置のミスマッチを減らし、パフォーマンスを発揮できる環境を整えることが可能となるでしょう。

 

サクセッションプラン(後継者育成計画)

サクセッションプラン(後継者育成計画)とは、将来の経営者候補を育てる計画のことです。

 

サクセッションプラン(後継者育成計画)を実施する際には、「あるべき社長・CEO像」や評価基準に照らして、候補者の選定や、候補者ごとに目標レベルに到達するための育成課題を明確化し、育成方針・ 計画を策定・実施する必要があります。

 

この時に多角的に候補者の能力やスキル、ポテンシャルを判断しなければなりません。また、候補者を育成する際には、個別の育成計画の策定が必要となります。それゆえ、サクセッションプラン(後継者育成計画)場面で、ピープルアナリティクスを活用できれば、迅速かつ客観的な判断が可能となるでしょう。

 

人材採用

人材採用において、候補者の採用可否の判断の際にピープルアナリティクスは力を発揮するでしょう。

 

採用時の判断基準を、定量的かつ客観的にすることで人事担当者のスキルや経験問わず、自社で活躍する人材の採用が可能となります。

 

分析結果をもとに、活躍できる職種や部署を判断することができれば、入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。その結果、早期退職のリスクを抑えることも期待できます。

 

退職率の抑制やリテンション

過去の退職者の傾向やタイミングを分析することで、退職者の予測が可能です。事前に退職する可能性がある社員がわかれば、フォロー面談を実施するなど、対策ができます。それにより効果的なリテンションが可能です。その結果、定着率が高まり、退職率の抑制につながるでしょう。

 

LB MEDIA運営会社でもある、株式会社ロジック・ブレインのTOITOIを活用して、退職率の抑制に成功して事例についてはLOGIC BRAIN AWARD2020開催レポート【活用事例】株式会社らぶはーと 代表取締役 岩穴口廣憲氏を参考にしてください。

 

人事評価や制度の構築

ピープルアナリティクスを活用することで、被評価者への主観的な評価を排除することにつながり、公平で納得感のある評価が可能となるでしょう。

 

事前に自社で活躍している社員の共通点や資質などに関するデータ収集、分析しておけば、成果をあげている社員や活躍する可能性が高い社員を正当に評価する人事制度を構築できます。

 

 

健康経営やウェルビーイング

社員にウェアラブルデバイスを提供し、そこから得たデータをもとに社員の健康状態やストレス状態を把握することが可能です。

 

これらの情報をもとに社員の健康状態に対応した適切なオフィス環境や福利厚生の見直し、健康状態が悪い社員に対するフォローなど、社員の健康に配慮した施策を実施できます。

 

ただし、健康状態やストレス状態に関する情報はセンシティブな情報となるため、事前説明や同意が必須です。

 

 

ピープルアナリティクスに必要な4つのデータ

ここではピープルアナリティクスを実施する上で必要となるデータについて解説します。

 

人材データ

人材データとは、ピープルアナリティクスにおいて基本となるデータです。

 

 

ピープルアナリティクスを導入する際には、まずは上記のデータの収集から始めましょう。

 

デジタルデータ

デジタルデータとは、社内PCの利用状況やサイトの閲覧履歴などのデータです。

 

 

頻繁にやりとりしている相手と、発揮されるパフォーマンスの相関などを図る目的で活用されます。

 

オフィスデータ

オフィスデータとは、会社設備の利用状況に関するデータです。

 

 

オフィスデータから、間接的に社員の行動やコミュニケーションを把握します。

 

行動データ

行動データは、勤務時間中の社員の行動に関するデータです。

 

 

行動データから、社員の行動やコミュニケーションを把握します。

 

ピープルアナリティクス実施の流れ

ピープルアナリティクスを実施する場合、課題解決のために実施するパターンと、データから課題を発見するパターンの2種類があります。ここではそれぞれのパターンにおける、ピープルアナリティクス実施の流れついて解説します。

 

課題から進める場合

課題がすでに認識されている場合は、課題解決のために、データを収集分析して、解決策を導いていきます。

 

課題の把握

まずは課題の把握から始めましょう。必要に応じてヒアリングを実施し、課題を明確に把握します。

 

仮説を立てる

課題が明確になったら、課題が発生する原因や傾向に関して仮説を立てていきます。

 

データを収集

仮説をもとに、必要なデータを収集します。既存のデータだけでは足りない場合、この時点で新たにデータを取得します。

 

考察と解決を検討

収集したデータを分析し、解決策を検討し、実行していきます。

 

データあるが課題が不明確な場合

課題が認識できていない場合や、課題を発見したい場合は、既存のデータから課題を発見し、解決策を探っていきます。

 

データの収集と整理

部署ごとに点在している社内でデータを一箇所に集め、整理していきます。

 

仮説を立てて分析

整理したデータを分析していきます。まずは、年代別、性別、役職別といった切り口で比較するところから始めるといいでしょう。いろいろな切り口で比較することで、課題が見えてきます。

 

考察と解決を検討

分析の結果、課題が見えてきたら、解決策を検討し、実行していきます。

 

ピープルアナリティクスを実施するためには、データの収集と整理が欠かせません。スムーズに実施できるように、普段から社内に点在している情報を収集し、整理するようにしておくといいでしょう。

 

ピープルアナリティクスを導入時の課題

ピープルアナリティクスを自社で導入したいと思われた方も多いのではないでしょうか?ここではピープルアナリティクスを導入する時に起こりがちな課題について解説します。

 

活用できるデータが存在しない

ピープルアナリティクス導入の最初の壁は、活用できるデータがないことです。年齢・性別・所属部署・職位・給与・勤怠・評価歴・保有スキル・特性などの人材データはあっても、社員の行動や健康状態、個性や能力、従業員満足度に関するデータなどがないケースが多いでしょう。

 

このようなケースの場合は、まずはピープルアナリティクスを導入の目的を明確にしてから、必要な情報を集めていくところから始めるといいでしょう。

 

人事データがあちこちに散在している

活用できるデータがあっても、それらの情報が社内に散在しているケースも多々あります。

 

例えば、人事評価面談や1on1面談などの各種面談に関する記録や、個々のスキルや特性に関するデータなどは、人事部で一括管理せず、上長や部署ごとに管理していることも多いです。また、これらのデータは統一フォーマットでは作成されていないケースも多いでしょう。

 

このような場合はまずは、データを一箇所に集め、統一フォーマットで管理できる体制づくりから実施していきましょう。

 

通常業務で忙しく取り組む時間がない

ピープルアナリティクスの導入は、人事部が中心に行うケースが多いでしょう。しかしながら、人事担当者は評価や採用、労務管理などのルーティン業務に時間を取られてしまい、通常業務と並行して、ピープルアナリティクスの導入に取り組み時間を確保するのが難しいケースが考えられます。

 

このような場合は、まず人事管理システムなどのITツールを活用して、通常の人事業務の効率化から進めていくといいでしょう。

 

分析できる人材がいない

高度なデータ分析を行う場合、専門的な知識が必要となります。また、ピープルアナリティクスを導入し、戦略人事を実施する場合は、経営やマネジメントの知識やスキルも必要です。しかしながら、管理人事を行ってきた場合、これらの知識を有する人材が社内にいないケースが多いでしょう。

 

 このような場合は、これらの知識を有する人を採用したり、専門家の力を借りたりする必要があります。

 

個人情報の取扱い

ピープルアナリティクスを導入する際には、社員の個人情報を適切に扱う必要があります。また、人事に関する情報や行動ログ、健康状態に関する情報を取得する際には、プライバシーに配慮するとともに、事前に同意が必要となるでしょう。

 

個人情報が漏洩したり、不適切な扱い方をしてしまうと、トラブルに発展する恐れもあるため注意が必要です。ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会では、情報の取り扱いに関して留意すべき点をまとめています。

 

①データ利活用による効用最大化の原則

②目的明確化の原則

③利用制限の原則

④適正取得原則

⑤正確性、最新性、公平性原則

⑥セキュリティ確保の原則

⑦アカウンタビリティの原則

⑧責任所在明確化の原則

⑨人間関与原則

引用元:一般社団法人ピープルアナリティクス&HR テクノロジー協会『人事データ利活用原則 』

 

どのように個人情報を取り扱えばいいかわからない場合は、上記の原則を参考にするといいでしょう。

 

ピープルアナリティクスで成果を出すポイント

ここでは、ピープルアナリティクスを導入し、成果を出すポイントについて解説します。

 

中長期的スパンで取り組む

ピープルアナリティクスによる、分析結果は必ずしも課題解決につながるとは限りません。それゆえ分析結果と仮説を突き合わせていく作業を繰り返しながら精度をあげていく必要があります。

 

またピープルアナリティクスに活用できるデータがない場合は、データの蓄積から始める必要があります。

 

このようにピープルアナリティクスは、短期的に結果が出る施策ではありません。ピープルアナリティクスで成果を出していくためには、中長期的スパンで取り組む姿勢が欠かせません。

 

専門の部署を設置する

専門の部署を設置することも、成果を出すポイントです。より高度な分析をする場合は、専門的知識やスキルを持った人材が欠かせません。

 

ピープルアナリティクスの先進国のアメリカでは専門の部署を設置している企業が多いです。このような理由からも将来的に専門の部署を設置することを視野に入れて進めていくといいでしょう。

 

ピープルアナリティクス導入に関して社員の理解を得る

ピープルアナリティクスを実施するためには、社員の理解を得る必要があります。社員の個人情報を提供してもらうことになるため、社員にメリットを提供するという視点で活用を進めた方がスムーズに進むでしょう。

 

また、社内に散在している情報を集めたり、新たな情報を収集したりする際には、現場の社員の協力が欠かせません。

 

このような理由からも、ピープルアナリティクス導入に際しては、必要性やメリットなどをしっかり伝え、協力してもらえる体制を整えていきましょう。

 

最終的な意思決定は人が関与する

ピープルアナリティクスによる意思決定は、時に社員の人生を左右してしまうほどの影響を与えてしまいます。特に、人事異動や退職は、社員の人生に与える影響が大きいでしょう。だからこそ、データ分析の結果から自動的に意思決定することだけは避けるべきです。

 

そのため、データ=回答ではなく、あくまでも分析結果は意思決定の補助材料として取り扱うようにし、最終的な意思決定は人が関与するようにしましょう。

 

ピープルアナリティクスの最初の一歩としてTOiTOiを導入してみませんか?

ピープルアナリティクスを導入するためには、社員に関するデータを多角的に収集する必要があります。株式会社ロジック・ブレインが提供するTOiTOiなら、時間を掛けずに、個性や強みを把握できます。

引用元:株式会社ロジック・ブレインTOiTOi公式ホームページ

 

TOiTOiでは下記の3つの視点で、対象者の属性及び特性を把握します。

 

 

これらのデータをAIによって分析することで、対象者の職務適正・適材適所・組織分析・現在の心理状況・意思決定パターン・行動特性を把握することで社員エンゲージメントの向上を支援します。

 

また、TOiTOiなを導入しただけで終わらないようにするために専門知識を有した、コンサルタントのサポートも提供しています。詳しくは、TOiTOi公式ホームページよりお問い合わせください。

 

 

まとめ

今回は下記の項目を中心にピープルアナリティクスについて解説しました。

 

・ピープルアナリティクスの意味や注目が集まる背景

・活用するメリットや活用場面

・ピープルアナリティクスに必要な4つのデータや実施の流れ

・導入時の課題や成果を出すポイント

今後、テクノロジーの進化により、大企業でなくても、多くの企業でピープルアナリティクスの導入が進んでいくと考えられます。ぜひ、この機会にピープルアナリティクス導入への最初の一歩を踏み出してみませんか?

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